【タイトル】
ALWAYS 三丁目の夕日'64
【概要】
2011年の日本映画
上映時間は142分
【あらすじ】
前作から5年後の1964年、東京オリンピックが開催される年を舞台に夕日町の様子を描く。
【スタッフ】
監督は山崎貴
音楽は佐藤直紀
撮影は柴崎幸三
【キャスト】
吉岡秀隆(茶川竜之介)
小雪(石崎ヒロミ)
須賀健太(古行淳之介)
堤真一(鈴木則文)
薬師丸ひろ子(鈴木トモエ)
堀北真希(星野六子)
もたいまさこ(大田キン)
三浦友和(宅間史郎)
森山未來(菊池孝太郎)
大森南朋(富岡裕一)
米倉斉加年(茶川林太郎)
高畑淳子(奈津子)
【感想】
「ALWAYS 三丁目の夕日」のシリーズ3作目。売り上げは前作から下回ったが、34億円を超えるヒットを記録した。また、3D仕様になっており、後に発売されたソフトでも3D版は確認することができる。
シリーズ3作目にして、おそらく最後の作品。1作目でこの「三丁目」にやって来た六子や淳之介が「三丁目」から出ていくという1作目と対の構成を意識していると思われる。ただ、六子や淳之介が出ていくにしてはかなり強引である。また、茶川が暴れて部屋を滅茶苦茶にするところや、鈴木がブチ切れるところも1作目と同じである。というか、堤真一の髪を逆立たせるのを実写でやってどうする。子供だましにも程がある。こんな安い演出に付き合わされる堤真一がいくらなんでも可哀そうだ。
本作での新キャラクターである菊池がシリーズでお馴染みの「最初は悪い奴と思われていたが実は良い奴」ポジションを任されている。もたいまさこ演じるキンが、「菊池が女たらしで、ヤクザとも関係している」という噂を聞きつけ、それを六子に話すという展開がある。観客は「菊池はどうせ良い奴」だと察しており、六子がそれをどう捉えてどう行動するかが重要である。ヒロミの後押しを受けて菊池を信じることにするが、六子が菊池を信用するにはそれまでのエピソードがあまりにも雑で、六子がイチかバチかに賭けている向こう見ずな人間のようにすら映ってしまう。製作者側は描いた気になっているだけだ。
終盤にかけて、菊池の「無罪」は宅間先生によって晴らされる。「偶然」にも鈴木オートで2人は再会し、菊池がどれだけ良い人かを宅間先生が「全部」知っており、「全部」説明してくれる。「偶然」にしては話が過ぎるし、セリフで「全部」説明するのも芸がない。というか、女たらしの話はどこへ行ったんだ。この一連の騒動を巻き起こしたキンは、おそらく小津安二郎監督の「お早よう(1959)」に登場する杉村春子がモデルと思われる。
一方の茶川は、絶縁状態の父親が危篤状態となりヒロミの後押しを受けて帰省する。危篤と言った割には元気だった父親とまた喧嘩をして東京に帰って来る。すると、父親が死んだとの知らせでまた帰省するのだが、いったん東京に戻るという設定は必要だったか。1回で済ませられたし、こんなことをしているから上映時間が142分という前作並みの長尺になるのだ。2度目の帰省で叔母さんが「実は…」と言って、茶川の父が茶川の小説を本棚に所有し、付箋を貼って感想まで記していたことを茶川は知ることになる。このドラマを用意するためとはいえ、茶川の親が茶川を追い出す理由も、小説家として芥川賞候補になるほどの活躍を見せても意地になって疎遠であり続ける理由も、それを1度目の帰省で茶川に叔母が伝えない理由も分からない。このエピソードは終盤に淳之介を茶川が追い出すところで回収しているつもりかもしれないが、すでに漫画家として成功している淳之介を追い出す理由はないだろう。登場人物らの行動原理が意味不明になっているところが多い。
大音量の音楽を使った演出や「偶然」や「説明過多」の脚本は相変わらずである。お金よりも大事なものがあってそれを観客に伝えたいのなら、それをそのまま登場人物に言わせてはいけないと思う。奇しくも茶川がモノクロテレビを見て「カラーテレビだと想像力が失われてしまう」と言っているが、それこそ想像力を何も掻き立てない、説明過多で演出過剰の本作を指しているようにも思えるぞ。
【感想】
「ALWAYS 三丁目の夕日(2005)」…シリーズ1作目
「ALWAYS 続・三丁目の夕日(2007)」…シリーズ2作目
「ALWAYS 三丁目の夕日'64(2011)」…シリーズ3作目
取り上げた作品の一覧はこちら
【配信関連】
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<DVD(通常版)>
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音声特典
├オーディオコメンタリー(山崎監督インタビューバージョン)
映像特典
├キャスト・スタッフプロフィール(静止画)
├劇場予告/テレビスポット
<DVD(2枚組/豪華版)>
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音声特典
├オーディオコメンタリー(山崎監督インタビューバージョン)
映像特典(Disc1)
├キャスト・スタッフプロフィール(静止画)
├劇場予告/テレビスポット
映像特典(Disc2)
├「三丁目の夕日`64」の舞台裏(メイキング)
├プロモーション映像
├未公開映像
├新・VFXの秘密
├3Dへの挑戦
├BEFORE AFTER'64
├「グッドラック」~巣立ちゆく人へのエール~
├イベント映像集
封入特典
├豪華パンフレット「記録 ALWAYS 三丁目の夕日'64~お帰りなさい、三丁目の町角へ~」
├新・昭和玉手箱
<BD(通常版)>
収録内容
├上記DVD(通常版)と同様
<BD(豪華版)>
収録内容
├上記DVD(豪華版)と同様