【タイトル】
ALWAYS 続・三丁目の夕日
【概要】
2007年の日本映画
上映時間は146分
【あらすじ】
前作から4か月後。茶川の家に再び川渕が淳之介を迎えにやって来る。
【スタッフ】
監督は山崎貴
音楽は佐藤直紀
撮影は柴崎幸三
【キャスト】
吉岡秀隆(茶川竜之介)
小雪(石崎ヒロミ)
須賀健太(古行淳之介)
堤真一(鈴木則文)
薬師丸ひろ子(鈴木トモエ)
堀北真希(星野六子)
もたいまさこ(大田キン)
平田満(鈴木大作)
浅利陽介(中山武雄)
三浦友和(宅間史郎)
小日向文世(川渕康成)
上川隆也(山本信夫)
【感想】
「三丁目の夕日(2005)」の続編は、前作を上回る45億円を売り上げ、同年の邦画では3番目に売れた映画となった。
本作のオープニングは「ゴジラ」襲撃シーンである。前作の紙飛行機から大幅にスケールアップしているが、所詮は山崎貴監督のやりたい映像を表現しているだけである。わざわざ鈴木オートがゴジラから車で逃げるシーンなんていらない。映画館で「ゴジラ」を見てビビる子供たちで十分じゃないか。「男はつらいよ」シリーズの冒頭の寅さんが見る夢のシーン的なことを狙ったのだろう。
それ以降は、前作で淳之介を迎えに来て逃げられた川渕が再び茶川のもとへやって来るところから話は展開していく。川渕はプライドの塊みたいなキャラクターの癖に、あの逃げられ方をしてよく茶川のところへ何食わぬ顔で戻って来れたな。もし戻って来るなら、川渕がどうしても淳之介を自分のもとへ置いておきたいと思わせる何かを描かないとダメだろう。やはり所詮はかませ犬的なキャラクターなだけなのだ。
その茶川と言うと、前作のあの奮闘は何だったのかと思わせるほど元通りになっている。自力で小説を書くことに成功しているが、それはそもそも小説家なら当たり前のことである。しかもそれでいきなり芥川賞候補になるなんて。このシリーズにおけるこの主人公ならもっと小さな文学賞の方が良かった。
また前作から、最初に登場する時に悪く描いて、何かをきっかけに良い人になるという展開も踏襲している。鈴木家にやって来ることになった美加は、食事や風呂に関して不平不満を平気で口にする嫌なキャラクターとして登場したが、ある出来事を機にすっかり「良い子」になってしまう。どうせ「良い人」になるって分かっているから、登場場面の下りがどうもわざとらしい。
説明過多であるところも前作と同じだ。芥川賞候補になった茶川の小説を求めてヒロミが書店に行く場面。先輩の言った「夢見るな」発言を思い出して、小説を買うことを思い留まるのだが、その先輩の発言を観客にまで聞かせているのだ。そこまで説明しないと観客には伝えられないのだと思ったんだろう。というか、そもそもそんな先輩の発言如きで自分の大事な人が書いた小説を読むことを思い留めるかな。この程度で思い留めるなら所詮はその程度にしか思っていない相手だったと観客には伝わると思う。後で新幹線でその小説を読んで、やっぱり帰って来るというドラマにしたかったんだろうが、それありきの安っぽい展開にしか見えない。というか大阪行の話は急だし。
そして前作以上に感じたのは「偶然」の多さである。登場人物が「偶然」何かを目にしたり耳にしたりする場面が多発する。茶川は同窓会に参加すると、茶川の落とした招待状を「偶然」にも踏みつけて茶川の悪口を言うところを「偶然」にも聞いてしまう。トモエが橋を渡る時に戦前の思い出を話していると、その思い出の人がそこを「偶然」にも通りかかる(トモエをフィーチャーしたエピソードにする意図は分かるが、映画的には真っ先に削るべきどうでも良い場面)。鈴木と茶川がヒロミのところへ行くと、「偶然」にも悪い知らせを聞き、六子が自転車に乗っていると、「偶然」にも武雄が悪事を働いているところを目撃する。東京と言えど所詮は箱庭の小さな世界。にしてもこんなに「偶然」があるだろうか。「偶然」に頼ってストーリー展開としては近道をしているのだが、そもそも登場人物が多すぎるのだ。でも、この「偶然」に頼らなければ、この映画は146分どころでは済まなかっただろうな。
さらに音楽による過剰演出は前作を凌ぐほどだった。感動を煽る場面では登場人物ではなく音楽が主役になる。前作の焼き直しのような茶川と淳之介のやり取りが始まる時に、音楽が鳴らなかったので「外してきたか」と思ったが、その後にヒロミが登場してやはり音楽がでかでかと鳴り始め、頭を抱えてしまった。
前作がヒットしたことで味を占めて、前作と同じような焼き直しが続き、過剰な演出も磨きがかかっている。登場人物が多すぎて、彼らに出番を与えるだけの場面もあり、内容が薄っぺらいのに上映時間が146分とはいくら何でも長すぎる。
【関連作品】
「ALWAYS 三丁目の夕日(2005)」…シリーズ1作目
「ALWAYS 続・三丁目の夕日(2007)」…シリーズ2作目
「ALWAYS 三丁目の夕日’64(2011)」…シリーズ3作目
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