【作品#0167】ALWAYS 三丁目の夕日(2005) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ALWAYS 三丁目の夕日


【概要】

2005年の日本映画
上映時間は133分

【あらすじ】

昭和33年の東京を舞台に、小さな自動車会社の鈴木オート、向かいの駄菓子屋で小説を書いている茶川、小料理屋の石崎などの交流を描く。

【スタッフ】

監督は山崎貴
音楽は佐藤直紀
撮影は柴咲幸三

【キャスト】

吉岡秀隆(茶川竜之介)
小雪(石崎ヒロミ)
須賀健太(古行淳之介)
堤真一(鈴木則文)
薬師丸ひろ子(鈴木トモエ)
堀北真希(星野六子)
もたいまさこ(大田キン)
三浦友和(宅間史郎)
小日向文世(川渕康成)
 

【感想】

 

西岸良平の「三丁目の夕日」の映画化。32億円を上回るヒットを記録し、日本アカデミー賞では13部門にノミネートされ、12部門で受賞するという評価を得た。

 

古き良き日本の昭和時代へ観客を連れて行ってくれるのかと思いきや、まるで箱庭で、きれいなところばかりを切り取った懐古主義の世界である。冒頭の紙飛行機が明らかなCGなので、リアルな世界観を再現する気など甚だなかったのだと感じる。堤真一がブチ切れて扉が吹っ飛ぶところなんかももはやコントレベルである(どうやらこれで笑わせようとしているらしい)。お話も古臭い、日本人好みのお涙頂戴人情ドラマである。

 

なので登場するキャラクターすべてがとても命を吹き込まれたキャラクターに感じず、薄っぺらい人間ばかりに見える。ちょっとしたことでカッとなる堤真一はとある勘違いからの出来事を機に急に人が変わったように良い人になり、落ちこぼれ小説家の吉岡秀隆も美人が連れてきた捨て子の面倒を見るようになってから良い人になり、捨て子を他人に預けるという酷いことをした小雪も実は借金を抱える良い人で…というように人物設定も描写も浅はかである。

 

ちなみにこの、血縁関係のない子供を大人が嫌々ながら育てていくというプロットは小津安二郎監督の「長屋紳士録(1947)」からの拝借だと思うが、あちらは子供の親を悪い人として描いていないことで成立していた。一方で、本作の小日向文世が演じた突然現れる淳之介の父は「いかにも嫌な奴」である。「この人が悪役です」という名札を付けて登場しているようなもので、茶川や石崎の側に観客の気持ちを置くためだけのキャラクターと言っても良い。「これからは一流の物を持つんだ。そんな三流の物は捨てなさい」と言う辺り、露骨すぎる。

 

終盤はメインキャラクターそれぞれに焦点を当てたお涙頂戴エピソードが次々に展開する。役者の演技は仰々しくなり(特に吉岡秀隆)、音楽はこれでもかと大音量で流れ、役者のセリフや他の音などをかき消すほどである。音楽で観客の感情を導くこと自体は悪いとは思わないが、ここまで来ると酷いと言わざるを得ない。習慣としてこのような演出を当たり前にしているのか、役者の演技だけでは自信がないのか分からないがとにかく止めるべき。

 

あとは、登場人物が自分の思っていることや身の回りで起こっていることを「1」から「10」まで説明してしまう脚本もどうかと思う。音楽をでかでかと流さないと演出できないのと同じように、全部セリフで説明しないと演出できないだけなのだろう。

 

【関連作品】

「ALWAYS 三丁目の夕日(2005)」…シリーズ1作目
ALWAYS 続・三丁目の夕日(2007)」…シリーズ2作目
ALWAYS 三丁目の夕日'64(2011)」…シリーズ3作目

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【配信関連】

<Amazon Prime Video>

言語
├オリジナル(日本語)

 

【ソフト関連】

<DVD(通常版)>

言語
├オリジナル(日本語)

音声特典

├オーディオコメンタリー(山崎監督インタビューバージョン)

映像特典

├キャスト・スタッフプロフィール(静止画)
├劇場予告&テレビスポット収録

 

<DVD(3枚組/豪華版)>

言語
├オリジナル(日本語)

音声特典

├オーディオコメンタリー(山崎監督インタビューバージョン)

├オーディオコメンタリー(映画館泣き笑い音声)

映像特典(Disc1)

├キャスト・スタッフプロフィール(静止画)
├劇場予告&テレビスポット収録

映像特典(Disc2)

├メイキング
├特撮メイキング
├未公開映像
├パイロット映像
その他特典(CD-ROM)
├「ALWAYS 三丁目の夕日」公式サイト

 

<BD(通常版)>

収録内容
├上記DVD(通常版)と同様