【作品#0220】踊る大捜査線THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!(2003) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

踊る大捜査線THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!

 

【概要】

 

2003年の日本映画

上映時間は138分

 

【あらすじ】

 

会社員の役員の死体が発見され、警視庁は湾岸所に捜査本部を設置し、新たに就任した沖田警視正が捜査の指揮を執ることになる。青島や恩田ら所轄はその手伝いをさせられることになる。

 

【スタッフ】

 

監督は本広克行

脚本は君塚良一

音楽は松本晃彦

撮影は藤石修

 

【キャスト】

 

織田裕二(青島俊作)

柳葉敏郎(室井慎次)

深津絵里(恩田すみれ)

水野美紀(柏木雪乃)

ユースケ・サンタマリア(真下正義)

いかりや長介(和久平八郎)

真矢みき(沖田仁美)

 

【ちょっと感想】

 

邦画(実写)歴代興行収入第1位に輝く本作(2022年現在)。当時中学生だった私はリアルタイムで本作を観ていないが、多くの人がこんなものにありがたくお金払っていたのかと思うとゾッとする。

 

警視庁も女性をトップにすることをアピールする狙いというように言っていたが、沖田は意地の悪い無能な人間として描かれ、最終的に上層部から降ろされるという結末を迎える。能力ではなく世間へのアピールのために女性をトップに起用すること自体がどう見ても差別的であり、「やっぱり女はダメだ」と言わんばかりである。この映画を見た特に女性はどう感じたのだろうか。それにこれが失敗ともなれば彼女を起用した本庁の人間の失態にも繋がるのだが、別に本庁のやり方が間違っていたと言う描写ではなく、あくまでこの沖田がダメだったと言う描写に着地している。

 

そして、青島と恩田が殺人事件の捜査中に別の事件の容疑者を“偶然”発見する場面がある。この“偶然”はさておいて、沖田から「そんなものは無視しなさい」と言われ、その容疑者を逃した青島と恩田が不満を感じることになるが、これはどう見ても沖田が正しい(表現として言い過ぎなところはもちろんあるが)。恩田は「事件の大小で仕事をしていない」と言っており、それはごもっともであるが、残念ながら物事には優先順位がある。自分の追っている事件の容疑者が目の前にいたからと言って、殺人が起こるかもしれない現場を離れようとするような刑事は勘弁である。彼らはそこで自分たちが現場を離れて殺人が起こっても何とも思わないような人間なのか。

 

それから、ネゴシエーターの真下が電話の内容から「声にストレスがないから無職だ」と言っていたが、明日の生活に不安の無職にストレスがないとは思わないのか。90年代末から企業ではリストラが増え、新卒も採用されない氷河期世代を生み出した時代である。青島を煽る構造という意図は分かるが、時代を反映したにしてはあまりにも安易である。それに、柏木の写真を5年も持ち続けるどう見ても気持ち悪い真下の仕事ぶりを見て、柏木に「すごい」と言わせる脚本ははっきり言って気持ち悪い。

 

前作よりも登場人物が増え、それぞれに見せ場を作って無理やり交差させようとしたことから、キャラクターの設定や行動に矛盾が生じており、脚本としては明らかに破綻している。コメディ要素を挟み込むタイミングも不自然。映画のヒット自体を否定するつもりはないが、少なくとも内容が伴っていない作品をメディア戦略によって無理やりヒット作に仕立て上げる構造もどうかと。

 

【関連作品】

 

踊る大捜査線 THE MOVIE(1998)」…劇場版シリーズ1作目

「踊る大捜査線THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!(2003)」…劇場版シリーズ2作目

踊る大捜査線THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!(2010)」…劇場版シリーズ3作目

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望(2012)」…劇場版シリーズ4作目

交渉人 真下正義(2005)」…劇場版スピンオフ1作目

容疑者 室井慎次(2005)」…劇場版スピンオフ2作目

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【配信関連】

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