アスク・ミー・ホワイ | 風と木の主婦日記

風と木の主婦日記

ドラマや映画をいろいろ見つつ、小説、コミック、音楽ネタや舞台についても書きます。
好きなものはBL、ブロマンス、ときどき百合。韓国BL強力推し。GagaOOLala民。
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面白かった!


この小説、初めて出会うテイストでした。


BL小説っぽいけどBLの定型じゃない。
それが新鮮。




BL小説は30年以上読んでるのでたいていの流れは分かります。


盛り上がりもハラハラも胸キュンもパターン化されていて先が読める。


でもこの小説はそこを微妙に外してきます。最後までどうなるのか分からなくて、読むのが止まらなかった。


それもそのはずで作者さんは社会学者の男性。


しかもご自身は恋愛や性的行為にはかなり淡白な方らしい。


女性の書くBL小説とも違う、ゲイ男性の書く同性愛小説とも違う。



「もしも同性を好きになっちゃったら」というストーリーを、性欲アッサリ男性目線で描いてみたら…


こんな清涼感のあるロマンチックな小説が生まれてしまったって事!?


▼あらすじなど知りたい方はこちら




2020年に出た本なので、話題になってすぐ読んだ方も多そう。



お話はゲイの俳優とノンケ一般人男性が海外で出会い友人関係になり、次第に一般人男性は俳優に惹かれていき…という展開。



物語の舞台がオランダのアムステルダム。



異国の風景や食事、文化などもたっぷり楽しめるのも魅力。



主人公のヤマトは恋人の女性についていく形でオランダ移住を決めたものの、数年後に彼女にフラれ、そのまま目的もなくオランダに住み続けている青年です。



日本食レストランで働いているけれど人間関係も希薄で、仕事への意欲もイマイチ無くて海外生活の目的も見失っていて…という迷える若者なんですよね。



そんなある日、ヤマトは昔の友人経由で突然芸能人のイケメン青年と出会います。



彼は誰もが知っている有名俳優で、薬物スキャンダルで電撃引退、今はヨーロッパを周遊しているとのこと。



アムステルダムにしばらく住みたいと言う俳優のためにヤマトはビザの手続きなどを手伝ってあげるのですが、俳優がヤマトをなぜか気に入って二人はだんだん距離が近付いていくんですよねぇー



ヤマトは俳優の綺麗な顔にほぼ一目惚れ状態で、距離が近づくとドキドキしちゃうし、もう早々にロマンスの予感はビシバシです。



でもこの高揚感は相手がイケメン芸能人だからであって決して恋ではない!とか自分に言い訳してる。このへん完全にBL。良いです。すごく楽しいです。



彼への恋心を自覚してからも、自分は他の男性だったら決して好きにはならない、彼だからこそ好きなのだ、というスタンス。この辺もゲイ小説じゃなくてBLっぽいです。



一方俳優の彼は性的に奔放でゲイの出会い系アプリとかワンナイトもしてる。でも特定の相手は作らなくて、ヤマトに対してもそういうアプローチはないのです。



華やかな世界にいて文句なしのルックスの彼だけど、過去に信頼していた人に裏切られたりたくさん傷を負っていて…



ヤマトはなぜ彼みたいな人が自分と一緒にいるのか不思議に思うんだけど、彼はきっとただ信頼できる人を求めていたんだろうなぁ。



ヤマトも俳優に対しては憧れの延長の恋心って感じで、やっぱりBLと違ってそうそうすぐ恋愛関係にはならないか、と思いながら読んでたのですが…



この後ヤマトが俳優の彼の裸に反応してしまうくだりがあって、性的にも惹かれていると完全に分かるわけです。(このシーンが面白すぎて声出して笑った)



で、そんなこんなの手探り状態からお互いに気持ちが通じ合っていることが分かって…



二人はついに愛を交わすんだけど、そのシーンがテンプレじゃないオリジナリティというか、繊細なお互いを想い合うような描写で好きでした。



いわゆるBLお約束の熱いラブシーンじゃないけど、優しい。



ラストも幸せです。

ほんわかして、さわやかな気持ちになります。



そしてこの小説、とっても読みやすい。



私は2時間半で読了したのであまり小説読まない方にもオススメします。



もちろんBL読み慣れてる人は絶対楽しめるし、一般小説しか読まない方もロマンチックな気持ちに浸れると思います。



ふだんはコッテリ激情系のBL小説が好きな私ですが、たまにはこういうレモネードみたいなテイストも良きです。



とは言えちゃんとキスやセックスという相手を求める熱も描かれていて、なのにそれがどこか軽やかで清潔なのが作者さんならではの感性でしょうかね。



ちなみにこの俳優の彼、きっとあの俳優さんがモデルなんだろうなー、ってたぶんみなさんも思いながら読みますよ…ね。