舞台ピサロは渡辺謙と宮沢氷魚での上演が記憶に新しいところ。
舞台は見に行けずじまいで、それからずっと戯曲が気になってました。
絶版でなかなか手に入らず、色々探し回ってやっと見つけて読みました。
ところがこちら同じ内容のものが「ピサロ」のタイトルで「アマデウス」と収録されてる文庫も出てました。そちらはわりと手に入れやすいみたいです。
▼ハヤカワの文庫
▼単行本
ストーリーはスペインのインカ帝国征服をモチーフにしたもの。
メインの登場人物はスペインの初老の将軍ピサロ、そしてインカ帝国の若き王、アタウアルパです。
舞台ではピサロを渡辺謙、アタウアルパを宮沢氷魚が演じています。
史実としてはインカ帝国はスペインに征服されインカの王はスペイン軍に殺される、というのが大筋です。
戯曲もそういう流れなのですが、創作ドラマ的な旨味として老将軍ピサロが太陽を父とするインカ帝国の若く美しき王に奇妙な憧れのような感情を抱き、友情に近い何かが二人の間に芽生える、という部分があります。
これ、戯曲をさらっと読んだだけだとピサロの複雑な感情とか屈折した想いとか、太陽の息子アタウアルパのエキゾチックな魅力とか官能的なオーラとか、そのへん気付かないで読み終わりそうなのですが…
事前に「ピサロとアタウアルパの関係性にフォーカスすべし」と頭に入れておけばきっと何かをキャッチできると思います。
もしこれから読んでみようかな、という方はぜひそういう視点からじっくり探ってみてください。
劇作家のピーター・シェーファーはゲイだったそうですので、ストーリーの中にどこか同性愛的要素があるような、もしくは作者自身の感性が私らのそれに響くのか、彼の戯曲には妙にザワザワドキドキさせられる何かがあります。
同じくピーター・シェーファーの戯曲の舞台「エクウス」にもそれを感じて以前に記事にしました。
▼韓国で上演された「エクウス」
▼こちらも戯曲本は絶版
私は今まであまり戯曲は読んでこなかったので最初はとっつきにくく感じたですが、今は小説と違った魅力のある戯曲が好きになりました。
ロイヤルハントオブザサンは映画化もされています。
そちらもぜひ見てみたいのですが、配信などはされていないようでした。
▼常に半裸のインカ帝国の王アタウアルパ
「ピサロ」もし今後再演されることがあったら、今度こそ見に行きたいなと思っています。
▼「アマデウス」も読めてお得
▼「アマデウス」腐女子の原点?
▼表紙が良い