気になってた小説「影裏」
読んでみました。
ハードカバーでたったの94ページ。
文字も大きい。
さくさく読めます。
読み終わるまでの時間はきっちり1時間。
そう、1時間あれば読めてしまう小説。
なので。
映画化で気になってる方。
お気軽に読んでみたらいいと思います。
とってもライトなボリュームです。
まず、私は映画は見てません。
なので単純に小説のみの感想ですが…
うーん。ちょっと退屈でした。
淡々とした小説。
ミステリー要素はいちおうあって、後半に畳み掛けるようにいろいろ明かされるんだけど。
謎が解けた!というカタルシスは無し。
そして恋愛要素もトキメキはなかった。
私は最初から「主人公はゲイ」という前知識があったからすんなり理解できたけど。
知らずに読んだらかなり分かりにくいかも。
でも序盤から主人公が同僚の男を見る目がやたらねちっこいので、勘の良い人ならただの友情じゃない?って気づくかな。
この小説が芥川賞をとってるということで、みんな「難解」とか言ってるけど。
べつに難解でもなんでも無い。
地味なコミュ障のゲイの男が会社で出会った自分と違うタイプのワイルドめなミステリアスな男と仲良くなった。
2人で釣りをしたり酒を飲んだりしているうちにゲイは男に惚れた。
でもその男は嘘つきで金にもだらしなくて人を騙す男だった。
それだけの話。
それだけの話をそれとわからないようにぼやかして書いてるから「難解」に感じるだけです。
なによりゲイの主人公がベタ惚れしてる同僚の男に私は人間的魅力を感じなかったので…
「男を見る目がないゲイのお話」としか思えなかったです。
文学的に解釈すると「人は誰にも見せない他の面があるんだよ」という事かもしれませんけど。
それを直感で嗅ぎ分けるのが「人を見る目」じゃない?
俺の知っていたあいつは本当のあいつじゃなかったのか。
みたいなショックを受けられてもな…
いやぁーそんな感じのうさんくささは無かったの?恋に目がくらんで見極められなかったのかな?
って。そんな気がしちゃいました。
人は恋すると良い面だけ見ようとするもんですかね。
まぁこういうことはよく起こるかも。
主人公はとにかく男に惚れてるので彼のやることなす事にウットリ。
前半は延々と「オレが惚れた男ってこんなに自由で謎めいててイケてるんだ…」というノロケを聞かされてる気分。
なんだかあやしげな男にひっかかるダメな女みたいな…
もちろんあやしげでもとびきり魅力的な男はいますよね。この男になら破滅させられてもいい、と思えるくらいの。
でもこの同僚の男にそれは感じなかったな。
男の、崩壊の美学に惹かれるデカダン気質みたいな面?それをもっと魅力的なエピソードでセクシーに見せてくれたらさ…
ゲイの主人公が惚れたのも納得!みたくなったんやん?
え?そんな俗っぽい恋愛小説じゃないって?
そうなんでしょうね…
私の脳みそが残念なのか、とりあえずそんな感想でした。
ただし!!
これが映画で綾野剛と松田龍平がやるとなったら話は別。
ビジュアルが良ければ、話も違ってくる。
うさんくさいダメンズに惚れる根暗なゲイの話もグッと魅力的になる可能性大。
私は小説読んでまったくこういうビジュアルは頭に浮かんでこなかったので。
これはある意味「盛ってる実写化」です。
トキメキ感を追加する意義ある実写化。
エモが生まれる予感がします。
でもいかんせん原作読んでテンションが下がってしまったので。
映画は見に行かないかな。
一部の新聞の映画評がやけに低かったのも気になりました。
もちろんこういうのは合う合わないの話だとは思います。
どこがいいの!?って男がどこかの誰かにはたまらなく魅力的に思える。
それが恋。
ちなみにこの小説はゲイの方からすると「ノンケに惚れたゲイのひとり相撲」的お話で身につまされるらしい。
こちらのレビューがとても分かりやすかったのでオススメです。