「振り返れば奴がいる」
1993年のドラマです。ファミリー劇場で一挙放送されました。
これは2人の医師の壮絶な憎しみと激しい愛のドラマです。
あれ。そんなドラマだっけ?
この記事の様子がおかしいことに気付いた普通のドラマファンは引き返してください。
石黒賢が織田裕二の顔面を見つめている時間がいちいち長いです。
石黒賢演ずる石川は正義感の強い白い医師。
対する織田裕二演ずる司馬は権力や金で動く黒い医師。
(ほんとは悲しい過去があったりして愛に飢えてるかわいそうな人です)
正反対の2人は初対面から火花バチバチです。
天才外科医でありながら無慈悲でアウトローな司馬が許せない石川。
偽善者な石川が気に入らない司馬。
2人は衝突を繰り返します。
猛烈に反発し合う2人の関係が熱い。
愛と憎しみは紙一重。
何かにつけて相手が気になって仕方ない2人です。
石川は司馬の悪行を暴き病院を追放することに命をかけるほどに憎むようになります。
そんな中、石川のスキルス胃癌発覚。
それを知った司馬の動揺。なぜ憎いはずの相手の病気に動揺するのか。
しかも司馬は自ら石川の手術の執刀を申し出ます。
「なんでそんなにやりたいんですか」
外科部長のセリフです。
「難しいオペに興味があるだけです」とかわす司馬。理由はそれだけじゃないことは私が知っています。
手術前。2人きりの病室。
司馬は石川に言います。
「俺はドクターとして、おまえはクランケとしてスキルスと闘う。
はっきり言う、助かる可能性はゼロだ。
それを俺が10パーセントまで引き上げる。おまえは20パーセントまで上げてくれ」
命を預け預かる、究極の愛です。
手術は成功。握手を交わす2人。
しかし…
術後石川の容態が急変。
鬼気迫る表情で必死に蘇生措置を行う司馬。
「戻ってこい!石川ぁあーー!!!」
この時の司馬の声がほとんど悲鳴です。
クールでニヒルでポーカーフェイスな司馬がここまで取り乱し自分を見失うとは…
ここでやっと見ている側は「あぁこれは2人の愛のドラマだったのか」と気付くのです。※個人の見解
そしてラスト。
石川を失い病院を去る司馬の顔が徐々にゆがみ、うっすらと目ににじむのは涙!?
まさか司馬先生泣いてる?!
他人との接触も他人からの理解も拒んで生きてきた孤独な司馬。
そんな彼に唯一全力で向かってきた石川。
この涙はそんな彼を失った悲しみか、それとも救えなかった無念さか…
悲恋ものでした。※個人の感想
このドラマ、手術シーンもリアルでカッコいいです。ゴーグルに映り込む赤々しい内臓とか作り込みがすごかった。
ちなみに最終回後に放送されたスペシャル版「最後の戦い」も見ました。
本編ラストは、司馬が彼を恨む医師に刺されたところで終わりましたが…
スペシャル版では過去の2人が描かれます。憎しみ合っていた熱い2人再び。
そして!!
ここにきて恐れていた事態がついに起こってしまいました。
ドラマ本編でも毎回ヒヤヒヤさせられたきわどすぎる顔面接近。
たいてい石川が司馬のやることに激怒して胸ぐら掴んで…という流れで起きます。
これがついに放送事故りました。
いつか起こると思ってたけど
…最後の最後でやってくれたわ。
念のため言っておくと、これはあくまでも2人の演技が白熱した結果起こった事故です。