大井川鐵道井川線の終点に建つ日本で最初の中空重力式コンクリートダム、井川ダムです。
新接岨大橋から細く曲がりくねって落石も多い山道を抜けて(数年前の改修でだいぶきれいにはなったが)、ダム湖右岸の駐車場へ。
右岸から天端を見る。
天端は県道となっており車両の通行が可能。
見ての通り堤体は直線で、左岸の端はそのままトンネルへつながっている。
堤体の親柱(っていうのか?)の銘板は「井川堰堤」の表記。下流側は「昭和三十二年九月竣工」。
ダム名で言うと井川ダムの他に「井川五郎ダム」という呼び方もあり、右岸の崖にはそちらが掲げられている。
私はてっきりこれは野口五郎岳のように、井川+岩がゴロゴロしている場所を表すゴーロ、ゴローから名づけられた、地名に由来する名称かと早合点してしまったが、実際はダム建設を指揮した中部電力初代社長の井上五郎から採ったものとのこと。
Wikipediaによると
竣工式の際にダム工事を担当した間組社長・神部満之助の「フーバーダムの様に人名を冠したダムがあってもいいじゃないか」という提案がきっかけとなっている。
ということらしいが、それなら井上五郎ダムにすべきであって、二つを足して井川五郎ダムにしたら別人になってしまうと思うのだが。
井川ダム下流側。
冒頭書いた様に、井川ダムは中空重力式コンクリートダムという形式で建設された日本で最初のダムだ。
普通の重力式コンクリートダムの堤体にはみっちりコンクリが詰まっているのに対して、中空重力式では名前の通り内部の多くが空洞となっている。
この形式は施工が複雑になる代わりに当時高価だったコンクリートの使用量を減らすことができるために採用され、大井川では続いて上流に同形式で畑薙第二ダム、畑薙第一ダムが建設されている。
その後コンクリートの価格が下がり人件費が上昇したことでこの形式のメリットが薄れ、新規で建設されることはなくなった。
そういう珍しい形式ではあるのだが、外観はフツーのダムと変わらないためアピールには欠ける。
私は形式抜きに単純にこのダムの雰囲気は好きだが。
ゲート部のアップ。
下流の眺め。堤高は103.6m。左岸の建物が発電所。奥に吊橋が見える。
左岸の段々になった擁壁が苔むしていて、なんかマチュピチュみたいでカッコいい。
天端からの井川湖の眺め。このダム湖の風景も美しいと思う。もうちょっと水量がある時がいいかな。
ダム上流にはダム建設当時の資材搬入に使われた廃線が散策路に転用されており、トンネルも残っているとのこと。
また右岸の高台には井川展示館があり、ダムの詳細や建設中の様子などを見ることができる。
ちなみにこの歩道橋にはちゃんと銘板があって、「ふれあい橋」というイージーな名前が書かれていた。
上からの井川ダム。
結構ここまで来るのが大変ではあるが、ダムの周りの景色がいいのに加えて希少な形式でもあるのでダム好きにはおススメできる。
また、せっかくここまで来たならさらに奥の畑薙第二ダム、畑薙第一ダムも合わせて訪ねてみて欲しい。
井川水神社。