日銀の金融政策決定会合の後、円安の流れが急激になった。為替介入により若干もどしたもののその流れは止まりそうになく、年内に170円にもなる可能性もある。更に最終的には日本円崩壊のシナリオも全くない訳ではないという話が、証券会社の現役為替アナリストとして著名な佐々木融氏により為されている。

https://www.youtube.com/watch?v=okRlXPrUcZg

 

この恐ろしい話が成立する背景に、日本の個人金融資産2100兆円の半分以上1100兆円が預貯金としてため込まれていることがある。その円預金が、新NISAを利用した海外通貨建ファンドなどに既にかなり向かっている。より大きな利息や今後の為替差益を考えるなら、それが賢いと証券会社に教えられるからだろう。

 

これ以上の円安の流れが確実となれば、その傾向が益々大きくなる可能性が高い。日本では、国民の間に時として巨大な流れが出来る文化の国である。その流れを米国のヘッジファンドが見た時、円売り攻勢を仕掛け、円安の流れを大きくして利益を得ようと考えることは容易に想像できる。

 

更にそれに呼応する形で、日本の個人預貯金のお金が外国に流れる。そのようなスパイラルな円安進行が恐ろしいシナリオである。全体としては、ヘッジファンドなどが円安の流れを煽ることで日本円預貯金の外国への流出を助け、その手数料と売り買いの差益を得るということになる。

 

日本に残された金融資産は相当減少し、残った分も大きく目減りすることになる。金融資産を日本円で持っている人は、超円安で貧困化しその中であえぐことになる。勿論、日本はインフラも整備され技術をもった人材も豊富なので、企業の日本回帰などが盛んになり、そこからの輸出が大きな富を生み、どのくらいかは分からないが一定期間の内に経済規模も人々の生活も元に戻るだろう。ただし、かなり犠牲者を出した後である。

 

この波が日本円崩壊と言えるほどに極端な場合も全くない訳ではないだろう。その時、日本円は通貨価値をまともな数値で言及できるように所謂デノミが行なわれる可能性もあるだろう。預金封鎖後に、これまでの100円を1円とするなどの改訂である。日本では第二次大戦後に行われたし、外国でも通貨危機後に行われている。

 

纏めると: そして、真面目に働き稼いだ金を少しづつ蓄財した国民のかなりの部分が貧困化した結果、大部分を占める中流以下の日本国民の間に大きな貧富の差を作り上げる。借金が大きく目減りして得をするのは、放漫財政の挙句大きな借金を作り上げた国家やそれを見越して債券を発行しまくった一部の法人だろう。その事態は日本全体としては本当に愚かである。

 

勿論、これは最悪のシナリオで殆どあり得ないのだが、同じメカニズムでもっと小さい景気のうねりが発生する可能性が高い。日本は食糧とエネルギーを輸入に頼っているので、これらの価格高騰により、貧困層は危険な情況に追い込まれる可能性がある。更に、日本国民に発生した貧富の差は、日本のお互いに他人を思いやるという稀有な文化を破壊する可能性も高くなる。

 

 

2)異次元の金融緩和の評価

 

日銀がまともに為替を安定させるための金融操作が出来ないのは、前の記事に書いた様に、”異次元の金融緩”の結果日銀が保有する多量の国債残高である。それは、アベノミクスの一環として黒田日銀総裁の時に行なわれた市場からの国債の大量買い付けと、政策金利のマイナス化である。

 

この議論で最初に思い出すべきことは、赤字国債の発行と日銀が国債を引き受けることは、財政規律を無くする危険性を防ぐために禁止されていることである。財政法には以下の様に書かれている。

 

第四条: 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。 但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。更に、第五条すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。 但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。

 

1955年以降約50年間続いた下劣な政治の付けを、大量の赤字国債発行とその日銀による引き受けという財政法に違反した形の金融緩和策で乗り切ろうとしたのは、自民党政府の殆ど犯罪的政治である。勿論、官僚のワル知恵を借りて特例法などを制定し、法律違反は形の上では避けている。

 

今では、内閣は赤字国債発行という事態に悩んだ時の蔵相の気持ちなど完全に忘れ去っている。(補足1)下のグラフを見てもらいたい。赤い棒グラフはその本来違法である赤字国債の金額である。この30年近く、国家の予算の40%近く或いはそれ以上を国債に頼っている。

 

繰り返しになるが、自民党政府は法で禁止されていることを、その法の思想を完全無視して、毎年税収よりも40兆円程余分に支出している。マスコミ等が報道すべきは、このような問題の原点からの経緯・歴史である。そのような本質的で真面目な議論が全くこの日本と言う国には欠けている。日本国は残念ながら、まともな近代国家ではない。

 

いささか脱線気味だが、以下のことはブログ記事毎に書いておきたい。明治の時代、日本はに西欧に出来上がった政治システムを移植したが、その精神に学ぶことはしなかった。 これは財政だけでなく政治の全ての部分について言えることである。

 

尚、以前のブログ記事で、日本株にはむしろ明るい将来があると書いたが、上記のような円安スパイラルが起こった場合には、日本は貧困化し輸出で稼ぐ会社以外の日本株は実質的価値を大きく下げるだろう。

 

終わりに

 

以下の動画を見てもらいたい。元財務官僚で嘗て内閣参与をされていた方が現在の円安について話している。為替レートについて一片の真実を語っている(=本来一ドルは110円位)と思うが、平衡論であり動的議論は一切無視している。因みに、この方は「アベノミクスで日本経済大躍進がやってくる」という本の著者である。

 

https://www.youtube.com/watch?v=KCU3R2LDWVA

 

話の内容は書き下ししないので、直接聞いてもらいたい。この円安に関する話は、例えば「その住宅地は海抜2mなので、この100年や200年の間に海に沈む危険性は全くありません。例外的に20m程高くなったりしますが、すぐ収まるので気にすることはありません」に似ている。

 

物理でも化学でも、現象の解析・議論には平衡論と動的議論の2つがある。上記動画の主は、平衡論で「ドル・円は110円が正当なレートであり、たまに2割3割ズレることはあっても、すぐに元に戻るのだ」と語る。しかし、そのプロセスの中で一部の日本人の金融資産が数分の1になり、(他の1部の人の資産はほぼ全される)その他の人々の資産はかなり目減りするもののかなり保全される。その結果、大勢が貧困に突き落とされることになるが、そんなことは些細なことだとして無視を決め込むのである。

 

このように発信する動機は、自分の内閣参与時代の間違いを隠すことと、極めて強い自尊心だと思われる。この国には、このような議論を論破する人物が、近くに現れない。また、もし現れても何の利益にもならないとして、放置するだけである。日本には議論の習慣がない。議論は口論となり喧嘩となるからである。それはあらゆる面で、日本病の根本原因である。

 

以上は、一素人のメモですので、コメント或いは間違いの指摘を歓迎します。

 

補足:

 

1)赤字国債の発行は昭和50年にはじまった。この年の12月25日,「昭和50年度の公債の発行の特例に関する法律」(特例公債法)が公布され,赤字国債がはじめて発行された。赤字国債の危険性を知る時の大平蔵相は歯止め装置を置いた。しかし、それも撤廃されて無制限に発行されるようになった。その切っ掛けは、自民党の人気低下だったと思う。一時発行を止めていた赤字国債が再度大量に発行されるようになったのは、自社さ政権の村山総理の時である。

https://www.jsri.or.jp/publish/research/pdf/81/81_02.pdf

(13:00 編集あり;15:45 本文§2最後の文章に”実質的”を追加; 22:00 最後の§の打消し線部分を修正後、最終稿)

 

 

日銀の金融政策決定会合の結果、今後も金融緩和を続けることになった。日銀の植田総裁は為替レートの変化が直接物価に影響する部分を物価上昇の第一の力と呼び、日本国内の景気循環の効果(第二の力による物価上昇)とは関係が薄いとして無視するようだ。目標2%とは、後者による物価上昇に限っての話のようだ。https://www.youtube.com/watch?v=k4LHqEHOd3s

インフレ率2%を目標に続けたアベノミクスの金融緩和は単に円安誘導であり、輸出業者に対する不景気対策としての短期的効果はあったものの、本質的な経済対策ではあり得なかった。そして、今日の様に日銀がほとんど金融政策が実行できないという大きな副作用を残した。つまり本質的な経済改革の必要性に対する誤魔化しとなり、時間を浪費するだけとなった。(補足1)

今回の記者会見では、3月の会合の時と殆ど何も変わらない話に終わり、結果として今後更に円安が続く可能性が高くなった。実際、会見後一日でドル円レートは2円程円安方向に動いた。記者会見の中で(上の動画12分ころから)、為替介入の他にも国債買入量を減少させるかどうかの話もあったが、それも3月の時の話と変わらず、何らかの行動に出る可能性は無いようだ。

この円安の効果だが、タイや台湾等東南アジアから日本に来る人達には物価が安くて助かると言う人が多く、我々日本人にはまるで経済破綻近くの国として馬鹿にされているように感じる。最低賃金などもタイなどの国よりも安いと言われると、日本はアルゼンチンの様に再び途上国状態になるのだろうと思ってしまう。

円安の原因は周知の通りである。日本はゼロ金利だが米国は金利が5%以上であり、その金利差による。FXでも何でも1万ドル買って持っていれば、一年後にはほゞ500ドル分の利子が付いていることになる。差し当たりドルを買っておこうと考えるのは極普通である。

植田総裁への記者会見では、ドル売り介入しないのかという質問が多く為されていた。植田総裁にはその意思は無いようだ。つまり、出来ないか効果があまり見込めないのだろう。この為替介入をしない理由を分かりやすく説明しているのが、楽天証券のアドバイザーの方の話(以下の動画)である。https://www.youtube.com/watch?v=YhiNmVDf01s



一般に為替介入は何らかの異常があって発生したことなら短期にそれを是正する効果はあるが、本質的な原因で起こっている場合には、為替介入の効果は一定時間後に無くなり、結局資金の無駄遣いに終わってしまう。国債買い入れ量を減少させることの可能性についても聞き手から質問があったと思うが、様子見状態だという話だった。

つまり、本質的な円安に対して為替介入をすれば、FXや株式で、その動きについて行けない素人が損をして、それを利用する玄人が金を稼ぐだけということになる。為替介入は外貨準備を用いて行うが、その資金を無駄に使うだけであると言う。(補足2)

現在、日本の外貨準備高は12000億ドル程度とG7中最大であり、原資に不足はないという。今後本質的な理由で更に円安が進めば、この外貨準備金がより有効に使うことが可能である。今無駄遣いして、投機筋に儲けさせるのは得策ではないだろう。(補足3)

 

上記動画で、日銀は国債買い入れを急激には減らさないと言う植田総裁の話については、十分な解説が無かった。多分それは政治つまり財政の問題だからだろう。本ブログでは、巨額の財政赤字の累積が日銀の利上げを阻止していることを説明するために書いている。

 

2)国債買い入れを減らさないこと

植田総裁は、国債保有の減額を能動的な金融政策として使いたくなく、将来自然に減額していくことに期待しているようである。日本円の価値が急激に低下する今日、政治的にも非常に不安定化した日本国の国債の価値は、10年前に比べて大きく低下している。そんな中で国債買い入れを減額すると、国債価格が市場で決定されることになる。

 

ゼロ金利時代の長期国債の価格は、大きく低下することが予想される。前回ブログ記事にも書いたことだが、日銀が保有する500兆円以上の長期国債の価値が既に実質的に大きく低下しており、日銀は実質債務超過であることが明確になる。つまり、国債価格を市場が決定することになれば、日本国債の利率を相当上げなければさばけなくなり、金利を上げることにつながる。

従って、日本政府の放漫財政が原因で、日銀は国債を買い入れざるを得ない。そうしなければ、国家財政が破綻する可能性が高くなる。(補足4)日銀の金融政策よりも国家財政が上にあり、それへの対応として日銀が買い入れる量を決める必要があるということである。

 

この問題は、以下の動画の6分15秒から、為替アナリストとして著名な佐々木融氏により解説されている。是非、最初の10分程を視聴してもらいたい。https://www.youtube.com/watch?v=KysROBY3Xc8

 

 


政府の巨額財政支出継続の結果、日銀は現在約500兆円以上の巨額の国債残高を持つに至った。もし、この国債を市場に徐々にでも放出するとなると、国債値下がりは防止できない。国債値下がりは金利上昇から2%よりも遥かに高いインフレを招く可能性がある。つまり、日銀の資産の実質的価値の減少は、同時に円の信用下落に繋がる。(補足5)

国会議員には、この国家の財政に対し安易に考えているように思う。前回引用の江田憲司議員の言葉もそうだが、他にも自民党の西田昌司議員の以下の動画での言葉も、上記のような危険性への配慮が全く感じられない。https://www.youtube.com/watch?v=vnjDuA8IVJg

以上から、この円安に対して日銀には打つ手が無いのである。つまり、黒田前総裁の時に行った異次元の金融緩和の付けを、今になって日本は支払わされているのである。日銀にはとり得る金融政策の幅が殆どなく、米国連銀の金融政策に同期して、ドル円レートが上下することになる。

 

為替が不安定な現在、円安だからと言って日本の企業の国内回帰が進んでいない。それは、米国が利下げをすれば、直ぐにでもまた130円からそれ以上の円高に振れることになる。そんな情況では、危なくて国内回帰することが出来ないのだ。

大まかに言って日銀券発行の裏に同額の国債発行がある。日銀に十分な幅で金融や為替政策がとり得る余地を残すことを考えれば、財政赤字の対GDP比が諸外国の値と比べて大きく乖離していることは深刻な本質的問題である。この巨額の国債残高の意味を、今思い知っている情況であると思う。

 

 

3)適正な為替レートは2010年に達成されていた1ドル80円だった

 

相応しい為替レートは、名目実効為替レートと実質実効為替レートが同じ場合だろう。そこで以下のニッセイ基礎研究所による解説記事を引用する。https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=71027?site=nli

 

下の図は、この解説記事から抜き出した国際決済銀行による日本円の名目及び実質の実効為替レートである。

 

 

これを見れば、2010年までの為替レートは大きく円安に振れていたことが分かる。1990年頃でも実質としては、円の実力は名目の倍程度あった。しかし、そこから急激に円の価値が減少し、2010年ごろには名目と実質がほぼ一致している。

 

つまり、2010年の1ドル80円のレートは円高などではなく、正しいレートだったのである。その時の不況を円高不況と呼ぶのは間違いで、前日銀総裁の黒田氏の時におこなったマクロな金融政策で円安誘導することは、一時的な対症療法的な意味はあったかもしれないが、根本的に間違った対策だったと言えるだろう。

 

デフレ不況の原因を三本の矢で克服するというアベノミクスは言葉の上では正しいかもしれないが、日本の経済が円滑でない原因を正しく追及しないで、安易に円安誘導に走ることになった。三本の矢の最初の一本だけ放ち、あとの二本が放たれなかったことが問題なのである。日銀による大量の国債買い入れによるマネーサプライを増加させる金融政策だけでは副作用が大きい。

 

その結果、日本円の信用は下落し、中央銀行が自国都合で金融政策が実行できないほどになったのである。この悪政に手を貸した前日銀総裁の罪は重い。


 

日銀も日本政府もこの失敗は隠すだろう。(補足6)

 

以上は、元理系の一素人の文章ですので、批判や間違いの指摘等歓迎します。

 


補足:

1)このことは何度も議論している。2022年に書いた以下の記事を観てもらいたい。

https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12723713884.html

 

2)SMBC日興証券の宣伝では、57万円程の証拠金で10万ドルの買いポジションが持てる。一か月の間に今の金利差が続けば、金利差分の儲け(スワップ)が54900円にもなる。それに加えて円安が1円進めば10万円の儲けが加算される。為替介入して円高に振れれば、その時がFXを楽しむチャンスとなる。正義(悪だくみを砕くタイプ)なき為替介入の愚かさが理解できるだろう。

 

3)田中氏によると、外貨準備は約12000億ドルであり、現在の為替では約170180兆円となる。現在外貨準備をこんなに大量持つ必要がないので、為替介入で得た円はそのまま国債残高を減少させることに利用可能だという。つまり、NTT株を売って5兆円ばかり欲しいと政府が思うなら、NTT法改訂などという姑息なことをせずに為替介入をすれば簡単に稼げるという話である。

4)このままの情況で日銀が国債をゼロに近づければ、国債価格は著しく低下し、ハイパーインフレになる可能性が高い。日銀がそれを防いでいるのだが、その副作用として金融政策が自由にとれないというのが現在の円安である。

 

5)この問題に答えるだけの知識を、現在の私は持ち合わせていない。ただ、増資という形で帳尻を合すか、貸借対照表に国債の価値を額面で記載するかの何方かの方法をとるだろう。何れにしても、日銀の信用は減り、高いインフレの原因になると考える。

 

6)明治に始まった日本は、長州の下級武士たちが英国系の金融資本の指導で作り上げた国であり、日本民族が独自に作り上げた国ではない。かの国の支配者である金融資本家たちは、人類が長い年月を費やして作り上げた近代西欧文明の「真や善」を無視して、利己的に国家を支配し運営する習性がある。それは、ガザ地区の陰惨な情況や、ウクライナ戦争のインチキを見ればわかる。その指導で作り上げた日本も、同様に自分たちの国家支配を優先し、不都合は隠して済ませる体質である。

 

編集履歴: 15:25、18:45;翌日朝再度編集及び改題して最終稿とします。(以上)

1)2025年日経平均5万円の可能性

 

日本の株は日経平均で4万円を超えた後、直近では7‐8%下落している。今後のイスラエル対イランの戦争が本格的になり、更に米国のウクライナ支援予算が通ることでウクライナ戦争の帰趨が不明確になれば、もっと下がるだろう。(補足1)

 

ただ、これらの戦争が局地的に留まり世界戦争に発展しなければ、更なる円安やインフレの影響も重なり、2025年には日経平均は5万円以上になるだろう。これは経済アナリストとして高名なエミン・ユルマズ氏(補足2)の予言を元にしたシナリオである。https://www.youtube.com/watch?v=2PE6B4-x13g

 

 

このエミンユルマズさんの動画が公表されたのは日経平均が未だ30000円に到達していなかった時であり、その後株価が上がり4万円を一時超えたことから、上記仮定が満たされればだが、予言は的中する可能性が高い。結論として、円預金は日本株に投資した方が賢明だろう。

 

エミン・ユルマズさんが挙げる今後の日本株価上昇の根拠は、日本企業の実力がこの10年間で増加したことと未だ割安であることである。彼は更に、新たな冷戦構造の下で、日本に製造業などが戻ってくることや、金融における日本の役割が大きくなるなど、株価上昇の好条件が揃っていると指摘する。

 

今後更に進むと予想されるインフレの影響もあり、日経平均株価は2050年には30万円になる。新NISAが始まったのも、株価引き上げに対する効果は大きいだろう。ただ、一般人の資金のかなりの部分がバブルの米株へ向かっているようだが、それはあまり良い決断ではないと語る。

 

実際、世界三大投資家の一人ウォーレン・バフェット氏も日本株を買いだしたことがネットに紹介されている。最近世界最大の投資会社のブラックロックが割安の小野薬品の株を買い増したというニュースもある。

 

あの堀江貴文氏も、日本株を推奨している。(https://www.youtube.com/watch?v=WNEsSTOZnq0230あたり)米国株があまり推奨されないのは、既に人気株がバブル状態だからである。次図は、GDPと株価総額のシェアをしめしている。

この図を見れば、米国の株が如何に高いかがわかるだろう。成長する国と停滞又は衰退する国では勿論株価は異なるが、通常の範囲にある国なら、株価とGDPのシェアがあまりも離反するのは何か変だということになる。その意味で、米国と中国の株には注意が必要だろう。

 

実績純益で計算した株価利益率(計算株価と直前期純益の比率)も、米国株の場合23.22023)であり、日本の14.6や世界の先進国平均の18.8より相当高い。(補足3)これらからも、下手な政治によるリスクを除外すれば、日本株への投資が推奨される。https://myindex.jp/global_per.php#google_vignette

 

エミン・ユルマズ氏は、最近の動画でも上記自説を繰り返す他、独自の日本の経済循環モデルなどからも日本株の優位性を説いている。明治以降、日本の経済は75年程の周期を経験しており、1950年代の日本の経済復興に対する朝鮮戦争特需と似た冷戦の効果が、今回の新冷戦構造でも考えられるというのである。現在、米国は日本を過去30年よりも強く必要としており、製造業などの日本回帰も起こると言うのである。https://www.youtube.com/watch?v=fAA9jZbZ9IM

 

この冷戦によって米国経済がより日本を必要とすることは、現在産業の米である半導体関連の情況にも表れている。半導体の素材や部品が供給できる主要国は、中国、台湾、韓国、日本の4ヶ国であるが、台湾有事や南北朝鮮対立などの影響が最も小さいのは日本である。

 

そう考えると、最近のTSMCの日本進出に日本政府が大金を出したことも、米国の意向が絡んでいるだろうと想像できる。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240224/k10014369011000.html

 

 

2)日本円安の影響

 

エミン・ユルマズ氏の解説する日本株が上がって当たり前の情況は、この10年の間に日本企業の経営が大分よくなったと言う話だった。ただ、日本人が感じている株価の急上昇は、米ドルで株価を見る外国人には実は幻である。為替レートを考えれば、ここ数年間、むしろ下がり気味だったと言えるだろう。

 

例えば、202121日の為替レートは104.914円でありその時の株価28966円を、2024419日の米ドル154.63円で換算して計算すれば、42692円に相当する。従って米ドル換算で見れば、昨年秋から年末の日本の株価急上昇は2021年初めの株価に比べて非常に低くなったので、急激に調整が進んだが未だ追いついていないということになる。(補足4)

 

 

 

円安が今後進行して短期間に200円になるという人もおり、そうなれば日本はエネルギーや原材料などのコスト増によって、経営環境が悪くなる可能性もある上、日本という国そのものに対する信用も低くなる。そもそも、ここ数年ドル換算で日本の株が安くなって来たのは、それが原因ではないのか?

 

 

上図は、各国の債務残高の対GDP比の比較である。これは政府の運営効率の比較とも言える。この大きな政府債務の多くは国債残高であり、その半分以上は日本銀行により保有されている。日銀の総資産額は740兆円余りだが、その内の約586兆円が日本の長期国債である。https://www.boj.or.jp/about/account/zai2311a.htm

 

その事実と既に述べた異常に高い日本国の債務対GDPの比は、日本円の信用低下の原因になっている筈である。日銀は金利引き上げをすれば、それは自動的に日銀保有の国債の実質的価値低下をもたらし、直ぐに実質債務超過となるだろう。

 

勿論、満期まで待つのだから、価値は変わらないと強弁することは可能である。しかし、通常の経済の感覚では、金利を1%上げれば満期まで10年ある債債の価値は10%以上下がる。日銀の純資産は5兆円ほどであり、586兆円の国債の価値がそれ程低下すれば、実質的に債務超過である。

 

その時、円で発行された日本国債の引き受ける外国機関は完全に無くなるだろう。現在、外国が保有する日本国債の総額とその全国債残高に対する割合は、下図にあるように、2021年以降は緩やかに下降している。今現在、外国人保有の割合が大きく低下していないのは、“ドル建ての日本国債”が多く売れているからだろうと推測する。

 

このドル建て日本国債だが、直接財務省が発行する債券ではなく、日本国債を為替と組み合わせた商品である。詳細は日経新聞の有料記事を読んでもらいたいが、日本円と日本国債の暴落を誘う危険性を大きくする仕組みだろう。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41429820Y9A210C1EN2000/

 

「日本国債は円建てなので、日本が財政破綻することはない」のは、日銀が日本政府の子会社的存在なので真実である。しかし、日本円の価値が急激に下がる可能性は、最近毎年貿易赤字であることと、新NISAで一般国民のお金が米国のインデックスファンドに向かっていること、更には上記”ドル建て日本国債”の増加などから、増加しつつある。

 

政府とその子会社の日銀が目指すべきなのは、長期的に無理の無い範囲のインフレを起こし、主として老人層に溜まっている個人金融資産の実質価値の減少を非常に大きな不満を引き起こさない形で実現し、国家債務を実質的に減少させる金融政策である。

 

現在のような情況下で国債大量発行と日銀買い上げが続けば、日銀の信用低下と過度な円安をもたらす。現在既に、日本円は安全資産などではなく、投機の対象になっているという記事もある。https://toyokeizai.net/articles/-/635176

 

上にも書いたように、日本人の多くが新NISAを利用してNasdaq100SP500などのインデックスファンドを買っている事が円安に拍車をかけている。それは将に、日本円の信用低下が既に国内でも発生しているということである。

 

このような情況でも、政府が国債をドシドシ発行して、景気刺激すべきだという人たちが居る。(補足5)所謂リフレ派と呼ばれる人たちである。財務省や日銀には流石にいないだろうが、このような意見が国会でも聞かれる。私も素人でたいして解っている訳ではないが、無責任な国会議員も居るものだと呆れる。https://www.youtube.com/shorts/dJHfQJw4TEc

 

 

補足:

 

1)この件については、しっかりフォローされている以下のブログ記事を参照してもらいたい。https://ameblo.jp/docomo1923/entry-12849277548.html 更にその中に引用されているシェリルさんのブログ記事 https://ameblo.jp/sherryl-824/ を推奨します。

 

2)トルコ・イスタンブール出身のエコノミスト、為替ストラテジスト。1997年に日本に留学。一年後に東大理科一類に合格、2004年に東大工学部を卒業、2006年に同大学新領域創成科学研究科修士課程を修了後、野村証券に入社。投資銀行部門、機関投資家営業部門に勤務後、2016年に複眼経済塾の取締役・塾頭に就任。

 https://toyokeizai.net/list/author/エミン・ユルマズ

 

3)株価利益率とは、株価総額を一年間の純益で割り算した値(PER)である。株価の評価に頻繁に使われる。その他のパラメータとして株価純資産比率(PBR)、更に総資産利益率(ROA)などがある。尚、エミン・ユルマズ氏が今後株価が10倍になる可能性がある企業の見分け方として、①過去4年売り上げ成長20%以上、②営業利益率10%以上、③上場5年以内、④オーナー企業かトップが筆頭株主の4条件を挙げている。この最後の情報が、今回のブログ記事で最も価値がある?!

 

4)為替レートで米ドル建てで見た日経平均のグラフは以下のサイトにある。

 

5)このような人たちは、日本政府が必死に財政出動を繰り返してきたことが、国家債務残高対GDPの比をあらわした図を見ても分からない人たちなのだろう。日本の中道から保守と言われる議員たちが、日本が基軸通貨発行国でもないのに米国の極左議員の主張するMMT理論に毒されているのは、非常に奇妙である。

 

(翌早朝補足5を追加し、語句の修正後最終版とする)