新型コロナ肺炎:日本は検査数を増加させている

 

新型コロナ肺炎の感染者数が世界で増加している。しかし、日本では検査数を抑えているため、感染者数が少ない。これについて、世界は疑惑の目を向けている。その所為か、日本もオリンピック延期がほぼ決まってから、検査数を増やしている。

 

世界の感染者や死者数などは、WHOなどのデータを基にして、John Hopkins 大の特設ページなどで発表されている。それによれば、各国のデータをほぼ同一の条件で利用できる。(尚、日本のデータには、クルーズ船のデータは含まれていない。)

 

下の図は、3月中旬から下旬の日本と韓国の死亡者と感染確認数の比である。これは、通常の致死率と定義されている数値である。(本ブログでは、致死率2と定義している。)

韓国では、新規感染確認数が減少気味であり、一方、検査闘病中の感染者の一部が死亡するので、致死率は上昇する。新感染者がなくなり、闘病中の者全員が回復するか、死亡するかした時点で致死率は確定する。韓国の場合は、2%を多少上まった値が致死率となるだろう。

 

一方、日本のデータを結んだ線は、不思議な屈折を示している。頂上は3月24日である。25日頃何があったのか? オリンピックの延期決定である。日本の致死率の数値が減少を始めたのは、検査数を増やした結果、新規感染確認数が増加しているからである。

 


 

Diamond online(ヤフーニュース)3月27日6時5分配信の上記表題の記事について反論をしておきたい。何故なら、このブログ・サイトでは、この記事と全く反対の意見をアップしてきたからである。つまり、日本では感染が既に拡大していたにも拘らず、感染クラスターと関係のある者だけを優先的に検査し、その結果、多くの深刻な発病者を見逃してきたと思うのである。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12585094598.html

 

表題の記事では、日本が感染者の検査数を抑えたことによる、深刻なケースの増加はほとんどなく、もともと重症患者の発生が少なかったという主張である。その原因として、日本の人たちは、マスクの装着、手洗いの励行、学校閉鎖などの適切な措置をして、感染を抑えたと記している。(補足1)

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200327-00232937-diamond-soci

 

日本の感染者数をめぐる 検証すべき「論点」として、以下を挙げている。

 

1)検査数の少なさの影響は多少あるが、実際は日本の感染者は欧米ほど増えてはいない。

 

この点についての筆者の文章のみ、以下議論する。その他に、2つほど論点を挙げているが、それは補足に書いておく(補足2)

 

上記論点について、筆者は、検査漏れの感染者がいるだろうが、欧米のように何万人もいると言うことはないと書いている。その根拠として挙げているのが、以下の二つである。

 

①日本は死者数42人と他国と比較しても一桁以上少ない。そして、②「新型コロナによる死亡者の把握漏れがあって、実際の死者はもっと多い」などということは、起こり得ない。

 

更に、この記事では以下のように書いている:

 

日本では高熱が4日続く症状が出るなど、感染した可能性が高い人しか検査を行わない方針をとってきたことから、把握されていない感染者が一定数いることは、現実問題としてあり得ます。その人数を推論で見積もるならば、「コロナの致死率は実際は低く1%程度だ」という学説に基づき、日本の死亡者数から逆算した場合、把握されていない人を含めた日本の本当の感染者数は4000人程度いる可能性があると考えるべきです。

 

COVID-19の致死率を1%とするいい加減な説を用いての上記議論は、非常にレベルが低い。上記青色の文章で言いたいのは、実際に発見された約1500名以外の感染者は(この人の計算では2500名)、全て軽症者で、死亡するほど重篤化する人は殆どいないはずだと言っているのである。これは酷い議論である。

 

私は上記②の成立は、非常に不確かだと思う。その根拠を以下に記す。先ず注目すべきは、この病気が急激に進行することを特徴とすることである。更に、この種の流行性肺炎の場合、死因は普通複数の要素が絡んでいるだろう。老齢の者や基礎疾患を持つ者が、急激に重症化するこの病気から生還するには、早期診断が不可欠であると思う。(補足3)

 

この急激に進行することに関しては、例えば、Bloombergの記事に以下のような記述がある。(COVID-19は)軽度-中等度から重度への進行は“非常に急速に”起こり得ると、合同調査を共同で率いたWHOのブルース・エイルワード事務局長補は指摘した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-03-10/Q6WVA9T0AFB601

 

全く元気な人がこの肺炎に罹って死亡した場合、死因は明確にCOVID-19だと言える。しかし、COVID-19で死亡した人には、高齢者や、基礎疾患のある人が多い。そのような人が、COVID-19の病状が悪化し、それら基礎疾患との相乗作用が原因で死亡した場合、そして、その人がCOVID-19の診断を受けていない場合、通常の肺炎や心不全などが死亡診断書に書かれるだろう。その時、死亡者のPCR検査は絶対にしていないだろう。

 

もしPCR検査をして陽性だったなら、COVID-19肺炎を想定して治療していなかったことが、死亡の大きな原因とも考えられ、医療ミスとなる可能性が高いからである。

 

つまり、日本でCOVID-19での死亡者が少ない一つの原因とてし、この肺炎での死亡者を数え落として居る可能性が大きいと思う。

 

このような状況が実際に起こっていると思うのは、韓国などに比べて日本の致死率が高いからである。韓国が検査を積極的に行っているからという理由だけではないことを以下に示す。

 

ここで2つの致死率を定義する。(以前は死亡率という言葉を用いたが、致死率に変更します。)

 

致死率1= 死亡者数/(死亡者数+回復した人数)                (1)

致死率2= 死亡者数/確認者数                                           (2)

 

検査件数が非常に多くて、症状の無い人まで検出している場合、致死率2は低くでるだろう。しかし、致死率1、つまり、死亡者数の、死亡か回復かの決着がついた人に対する比率は、検査の早いか遅いかには依存しないと、「検査数をあまり多くしない方が良いのだ」という主張の方は思うだろう。

 

しかし、事実はそうではなさそうである。これら致死率を日本、韓国、台湾で表にしたのが下の図である。データは全て、John-Hopkins 大の29日午前6時のデータからとった。

https://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6

 

図で明らかなように、致死率1では、日本は韓国の4倍ほどである。診断をできるだけ多くして、早期隔離と早期治療することが大事であることがわかるだろう。致死率2は、韓国の倍程度である。これは、韓国の検査件数が圧倒的に多いからだという理由で説明可能である。韓国と日本は、人種的にも近く、中国との接触の度合いも最近は殆ど同じぐらいだと思われ、非常に良い対照を為していると思う。

 

(編集あり、22:00;微修正、翌日午前6時)

 

補足:

 

1)同様の議論が以下のサイトでもなされている。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200329-00010000-nishinp-sctch

 

2)残りの論点は:(2)検査数が少ないことについては、その是非について議論すべき論点が存在している。(3)別の問題として、「日本の公的統計は国際的な信頼を一度失っている」ことを憂慮すべきである。

 

3)著効を示す治療法が無いのだから、早期に入院しても、救急車で入院しても、結果は同じであるという意見もあるかもしれない。しかし、そうではない。例えば、フランスとドイツでのこの病気のデータ(同じJohn Hopkinsd大のページからとった)を比較すると、患者発生数は3月始めから同程度であったが、ドイツの方が圧倒的に死者数は少なかった。ドイツでは、基礎疾患があればそれへの配慮を十分にするなど、フランスと比較して、緻密な治療がなされたのだろう。

1)「中国でのCOVID-19肺炎の二度目の大流行の可能性」については、既に3月14日の本ブログに書いた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12581994035.html

 

妙佛DEEP MAXさんが、YOUTUBE動画で同じ指摘をする一方、その二度目の大流行を外国の所為にする準備を、中国政府は行っていると言っている。https://www.youtube.com/watch?v=d56Hs4fYogY

 

中国習近平は、最近、新型コロナ肺炎(COVID-19)を完全に征服したと宣言し、その宣言と一見整合性のある感染者数等のデータを発表している。その上で、中国人留学生を中国に呼び戻しているという。その理由を兼ねて、「今や中国は、外国(米国など)よりも、安全だ」と、宣伝しているという。

 

妙佛DEEP MAXさんによれば、中国はCovid-19の完全征服を演出し、海外にプロパガンダとして流しているというのである。更に、米国などの感染者数や死者数と比較して、中国の優れた対策、ひいては、国家としての能力が欧米より優れていると、全世界に(特に一帯一路のルートにある諸国に)宣伝しているというのである。

 

しかし、既に何度か書いたように、中国のCovid-19完全勝利は、闘病中の人たちを完治者として病院から追い出して得た、誤魔化しの勝利である。それは、経済活動を再開するためであり、そうしなければ、国家財政の破綻から、習近平政権の崩壊につながるからである。

 

それは、高い確率で二度目の大流行が起こることも承知の上での決断である。DEEP MAXは、その言い訳も既に用意しているといっている。つまり、海外から入国した人間が持ち込んだということにして、外国に責任転嫁を行うのである。

 

恐らく、民事的には、その責任は海外から従業員を入国させた企業の責任となり、その企業の資産没収の口実となるだろう。また、その所属する国家に対して、適正なCOVID-19対策を怠ったとして責任追求し、アジア・アフリカの一帯一路の仲間の国々にそれを唱和させ、それらの国々が多くの票を持つ国際機関を動かして、主張の正統性を構築する可能性すらある。

 

このような中国の動きを見て、「民主主義の先進国は、中国と経済的デカップリングをすべきだ」と、トランプ政権は主張するだろう。しかし、中国はそれをさせない様に、このCovid-19を利用する戦略を建てているのだろう。つまり、Covid-19すらまともに克服できない共和党トランプ政権というプロパガンダを幅広く展開するのである。

 

デカップリングを政策の中心に置いているトランプ、ペンス、ポンペオの政権を潰し、親中派の民主党の人間が次期大統領に代わる様に、運動しているのではないだろうか。(民主党の議会も今や経済的に中国とデカップルする方針に賛成だと聞くが、本当だろうか?)

 

2)中国におけるCovid-19からの偽りの克服:

 

3月20日の記事で、中国は死亡していない感染者を殆ど完治者として病院から出して、SARS-Cov-2ウイルスとの戦いの勝利を捏造したことについて書いている。そして、それ以降、海外のこのウイルス肺炎との戦いを支援するという姿勢を示している。自国民の命を軽視して、現在の政権の安定と成長にCOVID-19を利用するのである。

 

下の図は、3月11日から28日までの、武漢市を含む湖北省での感染者数、死者数、回復者数の日毎の変化である。全て、28日の値を1.0に規格化している。数値データは全てジョーン・ホプキンス大の特設ページからとった。

 

この図が示すように、中国湖北省ではこの2週間ほど、回復者が急激に増加する一方、死亡者や感染者はほとんど増加していない。この傾向は、他の省も解析したところ同じであった。これは、患者が新たに発生せず、しかも、長期入院中の患者が殆ど回復して退院したことを意味する。特段新しい有力な治療法が発表されていないので、このような結果にはなり得ない。

 

 

更に、武漢を含む湖北省以外の地域での死亡者の比率(死亡率1=死亡者/(死亡者+回復者))が、この肺炎を抑え込む点で非常に優秀だった韓国での数値よりも、遥かに低い点も不思議である。3月28日の時点での湖北省以外での死者は僅か117名である。そして、それら地域の平均の死亡率1は、0.87%である。因みに韓国の死亡率1は、28日午後8時のデータで、2.9%である。

 

それでも、中国のCovid-19を抑える技術が非常に優れているという言い訳は可能である。しかし、香港やマカオのデータでは、上記中国本土のデータとは全くことなった推移を示しているので、その言い訳も難しい。

 

例えば香港の感染者数は、28日夕刻現在、519である。そのうち、死者は4,回復者は110である。殆どの感染者は未だ回復者としてカウントされていない。中国本土では殆ど治療中の人がいないのに、何故、香港では圧倒的に闘病中の人が多いのか?

 

更に、最近中国は43000人の発病しない感染者を統計から外したといっている。(昨日引用)これを同説明するのか?これを上記死亡率に入れれば、もっと小さい死亡率になってしまう。これらを中国はどのように説明するのだろうか?

(終わり)