ロシアのプーチン政権は、憲法改正案を国民投票にかけ、新憲法案は投票率67.97%、賛成77.92%、反対 21.27%で可決された。(補足1)新聞等の文字での報道もあるが、これらよりも、及川幸久氏のyoutubeでの解説が、最も分かりやすく適確である。改正点200以上の大幅改訂は、プーチンの知性の高さを示しているように思う。他国から見れば、非常に悪賢いということになるかもしれない。

 

https://www.youtube.com/watch?v=H9wZOdvVcdI

 

改正点から帰納的に導いた基本理念は、主権国家体制を基礎にし、神(ロシア正教)と英霊(戦没者)、更に当然ながら論理を大切にすることである。及川氏は3つの項目に分けて、改正点を解説している。その範囲について、多少の新聞の記述を参考にしながら以下解説し、私の考えも示す。

 

1)第一点は、大統領の任期についての改正である。

 

及川氏のスライドでは「大統領任期延長」と書かれているが、正確にはそうではなく、「大統領の任期は、通算で最長二期12年である。但し、憲法改正前の期間は算入しない」である。つまり、改正前の憲法下では、プーチンは最初二期8年、現在二期目の12年の合計20年務めるが、この部分は新憲法の大統領任期に算入しないのだ。

 

そして、新憲法下の2024年の大統領選で新たに大統領になった人は、最長通算で12年間しか大統領の椅子に座れない。その後、選挙に立候補もできない。その代わり、終身上院議員となり不可侵権が与えられる。(補足2)

 

更に、この改正とともに、現在大統領の権限下にある首相、副首相、財務大臣の人事権(承認)を議会(下院)に譲る。財務省を支配する権限を大統領から議会に移す件、非常に面白い。首相が赤字国債を出すことに、財務大臣は許さないという事態も想像される。つまり、首相と財務大臣は横並びということになる。

 

ただ、憲法を新しくしたのだから、ここで大統領選挙をすべきだと思うが、その点はどうなっているのだろうか? また、大統領の弾劾の規定はどうなっているのだろうか?

 

 

2)第二点は、国家の保守化である。

 

主権国家体制を基本とすることは、“憲法と整合性のない国際機関の決定は適用されない”という条項にあらわれている。これは、全ての国家の権威と権力を超える権威と権力を夫々備えた国際機関ができない限り、当然のことである。つまり、国際共産主義革命や国家主権を侵すレベルのグローバリゼーションに対する反対の明確化である。

 

その他、ロシア語を公用語とするという項目、「大統領、首相、閣僚、判事など国家安全保障に関わる人物は、二重国籍を禁止する」項目、「大統領候補は外国の市民権保持を禁止する」項目、などを挙げている。

 

二番目に領土割譲の禁止と国境策定作業は禁止の対象外:この項目、毎日新聞4面の「憲法改正の主なポイント」では、「周辺国との国境策定作業を除く領土割譲やその呼びかけの禁止」と書かれている。

 

「国境策定作業を除く」とあるが、恐らくその場所は明確にしていないだろう。国家の命運を握ると判断したとき、プーチンは歯舞色丹を日本に返還出来る。しかし、それはロシアがよっぽど経済的に困窮したとき、且つ、日本がその状態からの脱却の鍵を握るときしかないだろう。

 

三番目に神への信仰を明記している。ロシア正教の国教化である。

 

四番目に、結婚は男女間のみで成立するとある。つまり同性婚は事実上禁止されている。この件、性転換の禁止項目、或いは「男女は生まれながら普遍であり」とか言う男女の定義文がなければ、同性間でも性転換後に結婚することが可能である。

 

五番目に、祖国防衛者たちの追悼の項目である。毎日新聞の「主なポイント(上記)」では、「祖国防衛に関する国民の偉業を貶めることの禁止」と書かれている。この明記は、主権国家体制維持に不可欠だろう。(補足3)

 

 

3)第三点は、社会保障についての改正である。

 

一番目に、最低賃金は最低生活水準を下廻ってはならない。最低生活水準の定義は、明確ではないが、日本では生活保護に相当するだろう。年金は、インフレに合わせて毎年調整する。これも、妥当な項目であり、及川氏によると、反対勢力がプーチン攻撃の材料にしてきた項目だという。

 

この社会保障に関する改正は、国民を憲法改正に賛成しやすくするためだと、及川氏は解説する。その通りだろうが、至極まともな内容である。

 

4)最後に

 

毎日新聞では、カーネギー国際平和財団のコレスニコフ主任研究員の言葉「投票の形式をとり、国民を共犯者にして、プーチン氏が権力にとどまることを正当化する」を引用して、その背景としている。確かにその通りだろうが、それを払拭する方法は、この憲法下で大統領選挙を直ちに行うことである。

 

このまま現在の任期の2024年まで大統領にとどまるのなら、プーチンは上記の言葉を裏付けることになるだけでなく、憲法の上にプーチンが存在することになり、憲法はプーチンの道具となってしまうだろう。

 

更に、憲法にどのような国民の権利と義務が書かれているのか、気になる。言論の自由、報道の自由、学問の自由など、国民の権利が明記されていなければ、民主国の憲法とは言えない。その点、及川氏或いは別の方(例えば北野幸伯氏)の今後の解説に期待したい。

 

最近、北野幸伯氏は、ロシアではプーチンの政治にたいして悪口を言えないと言っている。日本では、森友問題、加計問題、桜を見る会など、国家の最高指導者に対し、不信感を引き起こすような内容の報道は日常的である。しかし、ロシアでそれに相当する報道をすれば、その報道機関はただでは済まないと、youtubeで解説している。

 

もしそのようなら、プーチンは皇帝であり、大統領とは言えないという類の反論は可能かもしれない。しかし、大衆のいい加減さにウンザリする西部邁さん(故人)の言葉には共感する上、それを利用する悪しき連中或いは外国勢力の存在を、この日本国に強く感じる。その様な場合、少なくとも大統領の任期中に、弾劾とそれに関する項目を報道する場合を除き、三流週刊誌的なゴシップを禁止することは、政権の安定と国家国民の安寧のためには必要かもしれない。

 

 

補足:

 

1) 新憲法の投票結果と内容の概要は、毎日新聞の朝刊にも記載されている。ネットでは、朝日新聞https://www.asahi.com/articles/ASN722PD3N72UHBI001.html 及び時事通信https://www.jiji.com/jc/article?k=2020070200192&g=int 後者にAFPの報道を加えたヤフーニュースがある。https://news.yahoo.co.jp/articles/b2f4a793c64affdc9e48d23248e463494d2fc662

 

2)おせっかいかもしれないが、韓国はこの部分を参考にすべきである。

 

3)大日本帝国憲法には、それに変わるものとして、天皇の統治権があった。(因みに兵役の義務は帝国憲法20条に記載されている。)更に、各地に戦没兵を祀る忠魂碑が建立されていた。一方、日本国憲法には、何も書かれていない。つまり、国家の核についての記述が現憲法には何もない。有るのは国家の核の象徴として、天皇が書かれているだけである。

お断り:ここで引用した東京都のPCR検査人数のグラフは、東京都が発表したグラフと大差があります。東京都のグラフでは、5月上旬から検査人数は1000人から1500人であり、東洋経済ONLINEのデータ(いつの間にか修正されています。7月4日)と異なります。従って、この記事は残しますが、以下の議論はWithdraw(撤収)させていただきます。

 

 

最近、東京都の新型コロナ肺炎(COVID-19)感染者数が急増しており、全国民を不安にしている。同時に、それは現職の小池都知事には、選挙戦において不利に働いているだろう。東京アラートとか、独特のネーミングで存在感を示しているつもりだろうが、どうも成果とはチグハグである。最近の感染者数の急増は、余計にその印象を深める。(補足1)

 

しかし、東京都の感染者数だけ大きく増加している理由がどうも分からない。そして、どうも変だとの印象が拭えなかった。それは元々、東京都を含めて日本のPCRテストの少なさと、COVID-19の被害統計は信用できないからでもある。そこで、以前から最も詳しいデータを掲載している「東洋経済ONLINE 新型コロナウイルス国内幹線の状況」というサイトで調べたところ、予想が的中した思いである。(補足2)つまり、東京都知事選が告示され候補者が出揃った6月18日から、東京都のみ急激にPCR検査人数が増加しているのである。

つまり、日本のPCR検査を行う基準が明確でないため、感染者数の統計など全て確度を持たない。感染者数は、検査数の関数として大きく変化しうる数値なのだ。 もっと具体的な表現を用いると、前回指摘したように、日本では検査数を絞って、感染者数を抑えてきた。その結果、東京でのCOVID-19関連の死者数も当てにならない。従って、東京での3−4月の超過死亡数の1400名と、COVID-19の死者数との関連は全く不明である。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12607719481.html 

 

この日本のいい加減な検査基準の設定と統計データの信頼性の乏しさには、一旦は相当批判されたが、政府とマスコミがその批判を打ち消す方に働いて、それ以降大きな問題にならなかった。

 

一方、欧米諸国では、統計データに信頼性が高いので、この3月−5月の超過死亡のかなりの部分がCOVID-19による死亡として説明できる。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12607719481.html

 

上記グラフで明らかなように、不思議なことに6月18日から、東京都のみ急激に検査人数(上図最下段)を増やしているのである。都知事選告示以前のPCR検査人数は200人以下であったが、告示された18日以降は平均2000人以上と、一桁階段状に増加している。そして、6月15〜17日の感染者数は、(48, 27, 14)と減少傾向にあったが、そこから増加傾向になり、7月2日は100名を超えることになった。

 

死者数は、6月に入ってから、増加しているわけではない。もし、検査を以前同様に実施しておれば、感染者数も最近の急増はなかったのではないだろうか。

 

以上から、「PCR検査を担当する都の部署(保健所)の姿勢が豹変したのが、都知事選の公示と同じ日付なのは偶然なのかそうでないのか?」という疑問を持つのは自然ではないのか。民主主義国を標榜する我が国だが、選挙もまともに行えないレベルなのだろう。

 

同じ形式で、全国のデータを下に示す。(補足3)

PCR検査数を見ると、6月18日からの急増分は、ほとんど全て、東京都の検査件数の増加である。感染者数も同様である。全国の他の地方公共団体では、検査基準等においてこの間特別の変化が無かったのだろう。この東京の検査基準の急変には、合理的な説明がない限り、東京都か厚生省による小池百合子氏に対する落選工作と取られるだろう。

 

(20:30 全体的に編集)

 

補足:

 

1)私は、以前から小池都知事の政治手腕に懐疑的である。豊洲市場の移転延期のとき、その印象を強くもった。部外者であるにもかかわらず、腹立たしくさえ思った。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2017/03/blog-post_20.html

 

2)データは全て、「東洋経済ONLINE新型コロナウイルス国内感染の状況」から取った。図はそのデータを加工して、独自に作成した。東洋経済ONLINEの図中説明によれば、データは厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について」>「国内の状況について」>「入院治療等を要する者」、から採ったと書かれている。https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/ 

 

3)なお、データ処理の都合で、全国PCR試験者数のスティックが約1500人から上の表示となってしまった。最後の6月30日の検査人数は4651名、6月28日の検査人数は1513人であっが、28日の棒は隠れてしまっている。

実際に新型コロナ関連でどの程度死者が出たか、日本の不完全な検査実施と統計ではわからない。おそらく実際の数字の数倍程度の被害が出ていただろう。それを考える情報として、いわゆる超過死亡という統計がある。数年間の(例えば週間)平均死者数のグラフから今年の死者数の曲線のはみ出た部分が超過死亡数である。下図にフランスの超過死亡の図を示す。点線が5年間の平均死亡数を表す。https://ourworldindata.org/excess-mortality-covid

今年1−3月の平均死亡数より低い死亡者数は、気候の問題や、インフルエンザがあまり流行しなかったなどの理由があったのだろう。(補足1)3月中旬から死亡数が急激に増加している。恐らく新型コロナ関連の死亡者だろう。その中には、別の死因として届けられた死亡者数も入る。赤い部分に相当するのは発表された新型コロナの死者数を上の部分においた結果である。

 

4月中頃から赤い部分が平均値以下のところに食い込んでいるのは、それ以前に老齢の方が多数新型コロナで死亡したので、それ以外の原因で死亡する人が減少したのだろう。このようにわかりやすく表示できたのは、フランスでの新型コロナの被害が大きかったことと、フランスの統計の信頼性が高いことを証明している。

 

東京の場合、

週毎の統計でないので、わかりにくいが、3月と4月の合計で超過死亡は1380名である。つまり、5年間の平均からのズレは3月325名、4月1055名だ。そのうち新型コロナでの死者とされた人数は200人程度だろうから、全く解析にしようがない。尚、2月に相当のマイナスの超過死亡があった。これは下に示す諸外国でも共通している。このことについては、後でもう一度触れる。

 

3月と4月の統計を見る限り、新型コロナでの死亡者は東京都の発表の少なくとも5倍程度あったと考えられる。兎に角、日本のデータは最初から誤魔化しのための数字が並ぶだけで、そこからなにかの情報が得られる類のものではない。

https://www.sankei.com/life/news/200612/lif2006120051-n1.html

 

最下段に示したのは、その他の場所での超過死亡のグラフである。何れも、超過死亡数は発表された新型コロナでの死者数とずれているが、実際のコロナ関連死やそこでの統計と情報公開のあり方など、有用な情報がえられるだろう。例えば、スウェーデンの超過死亡数は、平均死亡数の上に、追加された状況である。これは、他国とことなる集団免疫戦略をとっているためだろう。つまり、5月に新型コロナ以外での死亡数が平年値にほぼ等しいのは、フランスのところで説明したようなメカニズム(余命わずかの人たちが、1−2ヶ月早く新型コロナ肺炎で死亡したため)が、働かなかったからだろう。

 

上の東京を含め、多くの国や市で、今年2月ー3月に死亡数が平年値より減少している。それは、新型コロナの発生を報道で知り、警戒する人が増加したためと思われる。つまり、かなりの割合の人が衛生的な生活に心がけるようになったためだろう。下図では、唯一の例外はNew York 市である。これも、今年のシーズン、米国はインフルエンザが流行したことで、説明がつく。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55312830W0A200C2000000/

 

(最後の節は、6月30日午前5時追加;更に全体の修正)