お断り:ここで引用した東京都のPCR検査人数のグラフは、東京都が発表したグラフと大差があります。東京都のグラフでは、5月上旬から検査人数は1000人から1500人であり、東洋経済ONLINEのデータ(いつの間にか修正されています。7月4日)と異なります。従って、この記事は残しますが、以下の議論はWithdraw(撤収)させていただきます。
最近、東京都の新型コロナ肺炎(COVID-19)感染者数が急増しており、全国民を不安にしている。同時に、それは現職の小池都知事には、選挙戦において不利に働いているだろう。東京アラートとか、独特のネーミングで存在感を示しているつもりだろうが、どうも成果とはチグハグである。最近の感染者数の急増は、余計にその印象を深める。(補足1)
しかし、東京都の感染者数だけ大きく増加している理由がどうも分からない。そして、どうも変だとの印象が拭えなかった。それは元々、東京都を含めて日本のPCRテストの少なさと、COVID-19の被害統計は信用できないからでもある。そこで、以前から最も詳しいデータを掲載している「東洋経済ONLINE 新型コロナウイルス国内幹線の状況」というサイトで調べたところ、予想が的中した思いである。(補足2)つまり、東京都知事選が告示され候補者が出揃った6月18日から、東京都のみ急激にPCR検査人数が増加しているのである。
つまり、日本のPCR検査を行う基準が明確でないため、感染者数の統計など全て確度を持たない。感染者数は、検査数の関数として大きく変化しうる数値なのだ。 もっと具体的な表現を用いると、前回指摘したように、日本では検査数を絞って、感染者数を抑えてきた。その結果、東京でのCOVID-19関連の死者数も当てにならない。従って、東京での3−4月の超過死亡数の1400名と、COVID-19の死者数との関連は全く不明である。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12607719481.html
この日本のいい加減な検査基準の設定と統計データの信頼性の乏しさには、一旦は相当批判されたが、政府とマスコミがその批判を打ち消す方に働いて、それ以降大きな問題にならなかった。
一方、欧米諸国では、統計データに信頼性が高いので、この3月−5月の超過死亡のかなりの部分がCOVID-19による死亡として説明できる。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12607719481.html
上記グラフで明らかなように、不思議なことに6月18日から、東京都のみ急激に検査人数(上図最下段)を増やしているのである。都知事選告示以前のPCR検査人数は200人以下であったが、告示された18日以降は平均2000人以上と、一桁階段状に増加している。そして、6月15〜17日の感染者数は、(48, 27, 14)と減少傾向にあったが、そこから増加傾向になり、7月2日は100名を超えることになった。
死者数は、6月に入ってから、増加しているわけではない。もし、検査を以前同様に実施しておれば、感染者数も最近の急増はなかったのではないだろうか。
以上から、「PCR検査を担当する都の部署(保健所)の姿勢が豹変したのが、都知事選の公示と同じ日付なのは偶然なのかそうでないのか?」という疑問を持つのは自然ではないのか。民主主義国を標榜する我が国だが、選挙もまともに行えないレベルなのだろう。
同じ形式で、全国のデータを下に示す。(補足3)
PCR検査数を見ると、6月18日からの急増分は、ほとんど全て、東京都の検査件数の増加である。感染者数も同様である。全国の他の地方公共団体では、検査基準等においてこの間特別の変化が無かったのだろう。この東京の検査基準の急変には、合理的な説明がない限り、東京都か厚生省による小池百合子氏に対する落選工作と取られるだろう。
(20:30 全体的に編集)
補足:
1)私は、以前から小池都知事の政治手腕に懐疑的である。豊洲市場の移転延期のとき、その印象を強くもった。部外者であるにもかかわらず、腹立たしくさえ思った。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2017/03/blog-post_20.html
2)データは全て、「東洋経済ONLINE新型コロナウイルス国内感染の状況」から取った。図はそのデータを加工して、独自に作成した。東洋経済ONLINEの図中説明によれば、データは厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について」>「国内の状況について」>「入院治療等を要する者」、から採ったと書かれている。https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/
3)なお、データ処理の都合で、全国PCR試験者数のスティックが約1500人から上の表示となってしまった。最後の6月30日の検査人数は4651名、6月28日の検査人数は1513人であっが、28日の棒は隠れてしまっている。