昨日の東京都知事選では、現職の小池百合子氏が当選した。その得票数は前回選挙を上回る300万票をこえたという。55%という地方自治体の選挙では非常に高い投票率だった。この結果は、民主主義の本質的欠陥を指摘する際の良い例の一つだと思う。(補足1)その他、既に国政での“新進党騒動”などを、我々は見ている。何れも、中心にいた人物は有能者とは言い難い。それに気づかないのは、有権者がまともに考えていないからである。

 

小池百合子氏の政治家としての無能は、新型コロナ肺炎への対応との関連で、今年5月28日に指摘している。(https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/05/blog-post_28.html)今回選挙で、有権者が切実な問題として勉強していれば、別の人が選ばれただろう。しかし結果は、西部邁(故人)が批判した大衆政治そのものとなった。

 

ただ、世界はインターネットの時代となった。政治に関しても何でも、我々は多少の勉強は出来る。ここで言いたいのは「投票に行こう」ではなく、「近現代史と政治を勉強し、議論しよう」ということである。それが政治を変える鍵だと思うからである。

 

1)小池氏の政界での無駄な大暴れ

 

5月28日の記事で書かなかったのだが、小池氏は都知事の第一期の最初から豊洲問題で、無駄に移転を1年以上先に延ばし、大きな損害を東京都に与えた。その大きなミスについては、ウィキペディアに詳しく書かれている。(https://ja.wikipedia.org/wiki/築地市場移転問題)これも、小池氏のカッコ良く振る舞うことにこだわる無責任から来ている。

 

小池都知事は東京都知事になる前は、衆議院議員だった。そこから、自民党の引き止めを振り切って東京都知事選に無所属で立候補し、カッコよく当選した。この勝利は、自民党という無能な政治家の集団しか、保守勢力を持たない日本人の気持ちを掴んだからだろう。それは、総理の椅子を得たあの小泉純一郎人気と同じ種類のものだった。

 

当選した直後、豊洲市場の地下の僅かな土壌汚染を事件化して、国民の耳目を集める一方、、都民ファーストの会を結成し、都知事選で自分を公認しなかった政府与党の自民党に対し報復した。そのカッコよさに惚れ惚れした国民を扇動し、政治団体「日本ファーストの会」を結成した。この辺りは、政治屋小沢一郎と非常によく似て、焚き火に風を送って大火事にするような技を持つ人である。(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%8C%E6%9C%9B%E3%81%AE%E5%85%9A

 

その後、衆議院の解散が発表されたので、総選挙のために「日本ファーストの会」を国政政党「希望の党」に進化させたのが、2017年9月25日であった。このあたりの小池都知事が引き起こした政界の嵐は、一度見た小沢劇場の安物時代劇のように感じた。そこで、結党の日に小池百合子氏の政治姿勢を批判した。

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2017/09/blog-post_98.html

 

自分は表に出ないで、裏で実権を握る小沢氏のように、10月22日の総選挙には出なかった。両者に共通するのは、自分の政治家としての無能を自覚していることである。民進党からの合流は受けるが、一部排除するという「絞り込み」の発言で、民進党を解体するなどのゴタゴタは、記憶に新しい。

 

これだけの負の成果をあげた第一期だが、最初に引用した5月28日の小池批判の記事に書いたように、今回の新型コロナ肺炎対策でもミスを繰り返している。その原因は、小池氏は現象を見る観察力が著しく低いことである。その低い観察力や事態の変遷に対する感覚の鈍さを誤魔化すのに、カタカナ語を多用しているのである。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/03/blog-post_24.html

 

 

このカタカナ語の多用は、日本の政治全体で見られる現象である。直前に引用した私のブログにも書いたが、他者のものとして河北新報の記事も引用しておく。そこで取り上げられているのは、パンデミック(世界的大流行)クラスター(感染者集団)ロックダウン(都市封鎖)オーバーシュートなどである。オーバーシュートは誤用であることも書かれている。

https://this.kiji.is/618970549935735905

 

2)民主主義の過ち

 

今回、小池氏に高得票を与えた東京都知事選の結果を見て、民主国家の根本的欠陥を再度より印象強く見た思いである。そして、今年11月の米国大統領選挙も同様だろうと思うと、背筋が凍る思いである。

 

心配するのは中国による日本の属国化である。頼みの綱の米国が経済でゆらぎ、中国に世界制覇を許すことになる可能性があるからである。中国は、相当な覚悟で香港の自由を奪い取った。その覚悟とは、昨日書いた「計画経済に戻る覚悟」である。一方の日本を始め、欧米民主主義圏は、一時とは言え、小沢や小池を選ぶ愚鈍な大衆の支配する国々である。(補足2)(追補1)

 

ある有名な女優が、今回の都知事選でも「投票に行こう」とtwitterで呼びかけた:

投票に行っても変わらない?変わります!昔は女性に選挙権なかったけど、今はある。社会は変わるんです」。

 

しかし、政治は投票では変わらない。民主主義が成功するもっとも大事なポイントは、皆が投票に行くことではない。皆に投票を呼びかけるのは、政治を変えるためではなく、政治を変えないためである。それは例えば、ある偏った思想をもった投票率100%の団体がある場合、投票率が低いと政治は激変する。投票率を上げることは、彼らの誘導による政治の激変を防止するためである。

 

民主主義が成功するには、有権者が歴史特に近現代史を勉強し、互いに議論して自分の意見を作り挙げることが必須条件である。大衆にそれが期待出来ないとしたら、民主政治の国は必ず破綻する。それが中国共産党の考え方である。中国文化に、他人を思いやる心が加われば、中国の共産党政権は世界最強の政治制度に変わる。

 

つまり、エリートが政治の実権を握るのが、強力で精巧な政権樹立の上での近道である。米国の政治がそれに幾分近いのは、少数派エリート(ブレジンスキーやキッシンジャーという人たちやあのスカル&ボーンズの人たちなど)が、民主政治の化粧と服装をして、米国の政治を支えたからである。選挙は儀式にすぎない。

 

日本にはエリートを選抜する制度がない。それは議論がない社会だからである。本来エリートであるべき国会議員が、日本では田舎の票田を運営する家業となっている。(補足3)

(9:00、11:00 編集)

 

追補1(16:30):

 

時々紹介している中国人youtuberのMOTOYAMAさんも、その中国の覚悟或いは方針を伝えている。それは元ウクライナ大使で退職した中国の元中央政府官僚による文章で、自分からの発言なのか中央からの指示なのか分からないという前置きで紹介している。要するに、将来米国との関係が悪くなったときの準備をしようという内容である。その主なものは、サプライチェーンと産業の移設である。つまり、自給自足体制への準備だと紹介されている。

 

ただ、それでは中国の経済は1980年代へ戻るとMOTOYAMAさんは指摘する。このMOTOYAMAさんの分析が正しい。中国も日本同様輸出立国なのだ。日本の経済をささえるのは、輸出でなく内需だという誤った把握をする人が多い。日本の中国も輸出により(正確には資本収支も算入する)、自国通貨の価値を保っている。輸出がなければ、自国の通貨安になり、必需品で国内にないものは買えないだろう。その理由は、6月25日と昨日の記事の中に書いた。https://www.youtube.com/watch?v=07D6LT4vZ0c&t=1261s

 

中国の高官(副部長は高官である)が、日本の経済を語る一部のひとのように、「国内の需要は世界第二であり十分大きい。自給自足(或いは計画経済)で、やっていける」と思うのはとんでも無い間違いである。中国の場合は1980年代、日本の場合は1960年代に戻るだろう。

 

追補2(7/7/17:30):この中国の高官の記事は、党の対外連絡部副部長の周力氏という方が環球時報の7月3日に書いたものでした。石平氏が7月5日、youtubeで紹介しています。https://www.youtube.com/watch?v=FzP8FX_zAFA

 

補足:

 

1)最も良い例として、頻繁にヒトラーの選出があげられる。しかし、第一次大戦の過大な賠償を背負わされ、不況の中で苦しんだドイツの情況とは、現在の東京は全く違う。それに、ヒトラーはフォルクスワーゲンを創業するなどで、その不況を乗り越える上でおいて大きな成果を出した。つまり、選挙でヒトラーを選んだのは、ドイツ人が無能な人間を選んだのではなく、有能だが危険な人物だったことが見抜けなかったということである。それは、民主主義の欠陥の結果ではなく、人間の知性と感覚が万全ではないことの不幸な結果である。

 

2)そもそも、小沢一郎や小池百合子が前面に出ないで、影で政治を操ろうと考えるのは、鄧小平のモノマネである。否、書記長という「同志」が国家の実権を握るという共産主義国の実態を真似たものである。嘘は付きたい放題、国民に対する責任など皆無の利己主義者たちである。彼らのやり方に強力な権力を追加したのが、共産党独裁の政治である。

 

3)総理大臣、副総理、環境大臣だけではない。自民党には家業を継いだ政治家が多い。中川秀直氏を最近見なくなったと思って調べたら、しっかりと次男の方が家業を継いでいた。経産大臣の方も、自民党大物梶山静六のご子息である。これらの方々の殆どは、有名だが三流大学のご出身である。一流大が良いわけではない。官僚という安定職の最高峰は、他人の指示に従うことが仕事である。それを人生として選択したひとたちを、政治家にする道を大きく開いた吉田学校(吉田茂)が、日本の政治を破壊した戦車であった。

香港大紀元新唐人ニュースの7月4日のyoutube動画などによると、中国共産党政府常務委員会は、6月30日に香港に国家安全法(国安法)の適用を可決、その内容を7月1日午前0時に公表し、直ちに施行した。条文は6章66条からなり、その内容は香港の自由と法治の基礎を徹底的に破壊するものであるという。https://www.youtube.com/watch?v=j4zcv-KbqC4

 

ある評論によると、中共の命運を懸けて最後の戦いに出たと解釈される。国安法第38条には、「香港特別行政区の永住権を持っていないものが、香港特別区以外の場所で国安法に違反したものも、この法が適用される」と書かれている。(補足1)

 

従って、中国人以外が中国の外で国安法に違反するような行為や発言、例えば「中国共産党政権は無くなった方が良い」と言う類の発言、をしただけでも、この法により罰せられる。つまり、香港に入ったとたんに逮捕される可能性が高くなる。まるで、世界中の自由と法治を重視する人々に対し、挑戦状を突きつけるような法律である。

 

中国は常々、「内政干渉をすべきでない」と言う言葉を使うが、今回の国安法は世界中の国家の内政に重大な干渉をしていることに気付いていないのだろうか?気が狂ったとしか思えない。

 

また、香港行政長官は、国安法の裁判をする裁判官の指名と認定の権限、更迭の権限を持つことになる。この規定は、司法の独立を完全に無視したものである。大紀元時報のコラムニストは、「国安方は中共に対して不満を持つ人を漏れなく消すために作られたもの」と言っている。

 

ポンペオ国務長官が、「中共が各国に選択を迫っている。その選択とは、米中のどちらかではなく、自由と暴政のどちらかを選ぶかである」と指摘した。

 

米国議会が制裁のために用意した香港自治法案は、既に上下両院を通過しており、トランプ大統領の署名を待つだけとなっている。この法案では、香港自治の抑圧に関係した高官、官僚、組織、金融機関に対して米国が制裁を課すことができる。

 

中国高官の制裁としては、該当個人の資産凍結や米国入国のビザの発給差し止めなどが考えられ、多くの資産を米国に持ち込んだ中国高官にとっては非常に厳しい内容である。この法律にトランプが署名して成立すれば、この香港国安法制定に携わった者たちに対する反感が中国国内でも起こるだろう。

 

それを知っているので、中国はこの香港自治権法が成立した場合、制裁措置を取ると脅かしている。例えば、第一次貿易交渉での700億ドルの取引破棄も考えられるが、もはや問題はそのようなものよりも遥かに大きくなっている。米国の反発は、共和党民主党を問わないだろう。700億ドルの取引のために、香港自治法案に署名しないという選択はトランプにはないだろう。

 

今後、香港の金融センターとしての機能がなくなり、中国は経済的に欧米諸国から離反するだろう。それは巨大な損と世界に新型コロナ以上の強烈なインパクトを与えるだろう。例えば、中国は外貨の殆どを香港の銀行を通して入手してきたと言われる。その香港の銀行は、米国が支配する金融システムSWIFT(補足2)を通して、海外の銀行から国際通貨の米ドルを入手してきた。それが出来なくなると、その影響は甚大である。

 

勿論、輸出で得た米ドルを使っての取引は、あまり迅速(SWIFT)でなくて良いなら、できるだろう。しかし、利便性を失った香港や中国からは、外国企業は脱出する筈で、中国経済は破綻状態になるのではないだろうか。

 

6月25日に、「米中経済隔絶は起こらない:大山鳴動ネズミ一匹?」と題して、中国高官の私的メモらしきものを、youtubeでみて紹介した。そこに書かれていたのは、中国政府が計画経済に戻ることも考えているのではないかという内容である。 

https://www.youtube.com/watch?v=7-fgFfPO67Q

 

そうはならないだろうと思って書いたのだが、安全装置として最後に?をつけた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12606678556.html 今後、そのシナリオに沿って多少(又はかなり)動く可能性が出てきたと思う。

 

 

補足:

 

1)同法の38条は、引用動画の画面では、「不具有香港特別行政區永久性居民分份的人在香港特別行政區以外針對香港特別行政區實施本法規定的犯罪的、適用本法。」と読める。これを“グーグル翻訳”で訳すると、「この法律に基づき、香港特別行政区外の香港特別行政区に対して犯罪を犯した香港特別行政区の永住権を持たない人は、この法律を適用するものとします。」となる。

 

2)日本国内でも銀行間の送金は、日銀当座預金の残高を書き換えることで為される。それと似た考え方で、国際間の銀行間取引も理解されるという。そのシステムをSWIFTと呼び、ベルギーにその運用本部(民間の株式会社)がある。この件、DEEP MAXさんが、解説しています。https://www.youtube.com/watch?v=e3MFg9haNFc

ただ、本質的に外貨の中心は米ドルであり、ニューヨークの連銀の発行する通貨である。従って、そこの口座にアクセス出来なければ、SWIFTであれもっと不便な方法であれ、外国からの資本の導入など不可能になる。勿論、連銀も民間の株式会社なので、金融制裁にはその筋の方の強烈な反対があれば出来ないかもしれない。

昨日書いたブログで、「東洋経済ONLINE新型コロナウイルス国内感染の状況」からPCR検査に関するデータを取得し、その解釈を書いたが、東京都のページにあるデータとかなり異なる。その理由は不明だが、東京都のデータを信用すべきなら、訂正しなくてはならない。https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

 

上の図は東京都のデータである。これも、よく分からない点が多いのだが、それはともかく、大きくPCR検査数が増加したのは、5月の7日以降であった。更に目立って検査数が増加したのは、6月上旬以降であった。東洋経済PNLINEでは、データを厚労省のページから取ったと書かれているので、上記が正しければ、何らかの手違いがあったのだろう。

 

尚、4月上旬の検査数は平均300〜500人くらいであり、陽性率は最大32%程度である。最近の陽性率は高々4%(7月1日)程度である。もし、4月上旬に検査人数を2000人にまで増加させれば、恐らく感染者数は500人程度になっただろう。

 

兎に角、この間違い大変失礼しました。オリジナルに遡らないで、データを使ってしまったこと、反省しています。どうか、ご容赦ください。