今日からドイツでG7首脳会議が開かれ、食糧危機やエネルギー危機についての話が、ロシア批難の合唱とともに出されるだろう。それに続いて29日と30日には、スペインでNATO首脳会議が開かれる。NATOメンバーではないものの、日本、韓国、オーストラリアの首脳も参加する。


 

これらの国々は、米国と軍事同盟の関係にある主な国々全てである。NATOの太平洋バージョンの結成ではないかと勘ぐる向きも多いだろうが、ホワイトハウスの報道官は否定している。


 

今回の拡大NATO首脳会議の意味と、その会議に日本、韓国、オーストラリアが参加し、ニュージーランドが参加しなかったことの意味を、夫々考えてみる。


 

1)ニュージーランドの首相が参加しない決断をするまでの経緯:

 

618日、ニュージーランドのメディアNewsHubは、NATO事務局長Jens Stoltenberg氏がオーストラリア、日本、韓国、ニュージーランドの指導者を今回のNATO首脳会議に招待したと報じた。(補足1)

 

Stoltenberg氏は、この招待は、アジア太平洋地域の志を同じくする国々とのNATOの「緊密なパートナーシップ」の「強力なデモンストレーション」であると述べた。今回のNATOサミットで、次の10年間の戦略を設定し、同盟が直面しているセキュリティ上の課題と、それらに対処するために何をするかを決定するとのこと。

 

また、防衛力の強化、ウクライナの更なる支援、フィンランドとスウェーデンの加盟申請についても話し合う予定だという。

https://www.newshub.co.nz/home/politics/2022/06/jacinda-ardern-first-new-zealander-to-be-invited-to-speak-at-nato-leaders-summit.html

 

しかし、25日になって同じメディアがNATO事務次長の言葉「ニュージーランドは今回の首脳会議に招待されない。しかし、ニュージーランドとの協力は、ロシアや中国などの独裁国の台頭と対抗するために大事である」を報じた。

https://www.newshub.co.nz/home/politics/2022/06/nato-says-new-zealand-will-not-be-invited-to-join-at-summit-but-develop-its-partnership.html

 

18日の報道は、招待の打診(または予定)を、間違って招待と報じてしまったのだろう。実際、下に引用の20日の記事では、招待される予定と書かれている。当然受け入れる筈だと思ったが、ニュージーランドの女性首相のJacinda Ardernが、世論and/or 中国との関係などを考慮して参加しないことに決めたのかもしれない。

 

そのNewsHub620日の記事の表題は、「何故連合王国会議(20日、ルワンダ)に出席しないでNATO首脳会議に出席するのか?」というものである。ニュージーランドは、連合王国会議に外相を派遣した。同じ会議にオーストラリアが副首相を派遣したのは、首相がNATO首脳会議に出席しなければならないからだろう。

 

アーダーン首相が連合王国会議に欠席しながらNATO首脳会議に参加しなかったのは、最初からNATO首脳会議には欠席の予定だったが、決してNATOを軽く見たのではないという姿勢を示しす為だったのだろう。


 

2)NATOサミットへの日韓首脳の招待は、ウクライナ戦争の真の意味をあらわしている:

 

611日の私のブログ記事「米国ネオコンが心に抱く新しい世界:ウクライナ戦争の今後」において、伊藤貫氏のウクライナ戦争の性質に関する指摘:「今回の戦争は100年間に一度起こる世界の構造転換の戦争であり、かなり長期に及ぶ可能性がある」を紹介した。

 

ここで再び最初に紹介したNewsHubの記事の中での専門家の指摘を引用する。ニュージーランド最古の大学オタゴ大学の国際政治の教授であるRobert Patman氏は、「この招待は重要で、現在の国際情勢の重大性と現時点のヨーロッパが極限状況にあることを現わしている」と語る。
 

また、「ニュージーランドとオーストラリア、韓国と日本は地理的にNATOから遠く離れているが、価値観と国際秩序へのアプローチの点でNATO諸国と多くの共通点があるという認識がNATO諸国にある」、「ウクライナでの戦争の劇的な背景を考えると、私たちがNATOに招待されたのはおそらくその様なNATO諸国の認識があったからだと思う。」(補足2)

 

ウクライナでの戦争の劇的な背景の意味だが、恐らく米国の代理として、ウクライナがロシアと戦っているということを意味しているのだろう。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12735014774.html

 

これだけ重要な会議だと同じ国の専門家が言っているにもかかわらず、アーダーン首相が欠席するのは、NATO首脳会議の期待が何かを彼女が予想できており、且つ、ニュージーランドがその期待に答えられない、或いは答える積もりがない、と分かっているからだろう。

 

NewsHubの記事の最後の方で、「サミットで、アーダーンはNATOの指導者たちに、この国が決定的に依存している規則に基づく国際秩序の重要性を再確認することを望んでいる」だろうというパットマン教授の言葉を紹介している。

 

ニュージーランドの女性首相は左派の政治家として知られている。今回のウクライナ戦争は、「規則に基づく国際秩序の原則」に何重にも違反しているのだろう。ロシアが規則に基づく国際秩序の原則に違反したことは言うまでもない。それは、彼女が参加しない理由にはならない。

 

今回のロシアによるウクライナ侵略は、NATOの総元締である米国による「規則に基づく国際秩序の原則に」に反したウクライナへの政治干渉の結果であることが、まともな政治家なら分かっている筈である。

 

このブログ筆者の想像だが、NATO首脳会議の共同声明の内容が、ウクライナを当事者的に支援すると概ね決定されていることを知ることになったのだろう。彼女の理想の実現が果たされる可能性がなければ、ニュージーランドの利益にはならないと結論した可能性が大である。


 

3)日本と韓国は第二のウクライナになる

 

NATOは、これらの太平洋地域の国々とも様々な協力関係を持っているが、日本や韓国まで招待して首脳会議を開催するのは初めてである。それだけ、拡大しなければ、今回のウクライナ戦争に対する十分な対処が出来ないということを意味する。
 

この辺りでウクライナ戦争を止めさせるべきだと、米国のキッシンジャー氏がダボス会議で発言したのだが、そのように出来ないと現在のNATO首脳、つまりバイデン政権が考えて居るのではないだろうか。

 

それが全子分国を集めて、スペインで会議を開く理由だろう。つまり、これまでのレベルでのウクライナ支援ではウクライナは敗れ、ロシアが殆ど弱体化しないということだろう。そこで考えるのが、これも筆者の想像だが、ロシアに東の方から嫌がらせをする作戦である。

 

この会議の後、日本や韓国が軍事力を増強するだけでも、西方で戦うロシアには大きな圧力になると考えられる。もし、東アジアで一発でも銃声が響けば、ロシアは二面作戦を強いられるからである。

 

日本は、これまでのウクライナ支援でも、ロシアから敵国指定されている。更に、ロシアの有志議員は、これまでの93日の戦勝記念日の名称を「軍国主義 日本に対する勝利と第2次世界大戦終結の日」とする法案を下院に提出したようだ。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220624/k10013687671000.html
 

つまり、今後恐らく100年ほどは、日本と冷たい関係になることを確信しているということだろう。それは、中国の支配下にはいる日本の将来の姿を、より一層鮮明にすることを意味している。今回のNATO首脳会議に参加することは、そのような重大な決断であることを岸田首相は承知しているのだろうか?

 

もし、戦争があと半年から一年まで続けば、ロシアは核兵器を使う可能性がある。その場合のターゲットとして、日本の北海道周辺が心配される。既にロシアは北海道の領有権を主張しているのだから、ポーランド国境よりもモスクワから遠く離れた北海道周辺の方が落としやすいだろう。ロシアも、ヨーロッパとの敵対関係を決定的にするよりも、日本との敵対関係を明確にする方が荷が軽い。
 

その時、NATO諸国は挙って日本支援を叫ぶだろう。つまり日本は第二のウクライナである。

 

今回の米国による日本や韓国の招待は、非常に重い意味がある。参加せずに済ませることは非常に困難である。しかし、喜んで参加することはないだろう。つまり、参加するにしても、ぎりぎりの判断で参加したというポーズをとるべきだったと思う。

 

勿論、主権国家なら、今回のNATO首脳会議への参加は、断ることも可能だった。それはニュージーランドの決断を見ればわかる。マスコミなどを使って反対の世論を醸成することも可能である。日本国民の一人として、あまりにも当たり前の顔をして、或いは喜んで参加する首相には腹が立つ。

 

追補: 集団的自衛権は、日本の防衛上非常に大事であると、今日午後の「そこまで言って委員会」で、ある評論家が言っていた。しかし、戦争を好んでする国家との同盟関係を考えれば、それは逆かもしれない。たとえば、第二次大戦で米国との戦争になったのは、三国同盟が主原因である。
(17時編集、追補の追加)

 

補足:

 

1)念のため原文を示す。NATO's Secretary General, Jens Stoltenberg, has invited the leaders of Australia, Japan, South Korea and New Zealand to attend the military alliance's meeting in Spain held 28-30 June.(下線はブログ筆者による)


2)これも念のために原文を示します。"There's a recognition among NATO that although New Zealand and Australia and South Korea and Japan are geographically a long way from NATO, they share a lot in common in terms of values and in their approach to international order.

"So I think that's probably why, given the dramatic backdrop of the war in Ukraine, that we've been invited to NATO."

6月7日、サンフランシスコの有権者は、刑事司法改革における国内で最も先駆的な実験の1つに終止符を打った。現金保釈を廃止し、刑務所に送られる人々の数を減らすために働いた地区検事のChesa Boudin氏をリコールしたのである。
 

このニュースは日本ではあまり報じられていないが、香港系のyoutube動画「役情最前線」で、今年の米国や中国等での重要な選挙に関する話の中で解説されていた。この犯罪者減らしの話は以前にも聞いた記憶があるが、あまりにも異常であり、真偽は明白ではないとして放置してきた。https://www.youtube.com/watch?v=9TFrzgf5RQg

 

 

この動画によると、Chesa Boudin氏は、2019年の選挙では50.8%の得票率で当選したが、今回60%程の票で、リコールされることになった。地区検事が選挙で選ばれるというのは、日本では考えられないが、他の地区での結果などもネットに公表されており事実だろう。(補足1)
 

サンフランシスコ地区検察の方針は、HPはその理想主義的方針の考え方が記載されている:https://www.sfdistrictattorney.org/about-us/
 

Chesa Boudin地区検事はこの2年間の在任中に、極端な実験とも言うべき検察改革を行った。主なものは、①Cash Bail(現金保釈制度;補足2)の廃止、②”生活の質が低いことが原因の犯罪”は起訴しないこと(補足3)など。その左翼的な改革は、結果的に強盗などの犯罪増加の原因となった。

 

の「生活の質が原因の犯罪」は分かりにくいが、強奪や強盗でも950ドル以下のものはその範疇に入るという。つまり、スーパーで900ドル程度の品物を万引きしても、罪には問われないのである。全く信じられないという人が殆どだろうが、それは真実である。次の動画がそれを証明している。https://www.youtube.com/watch?v=2n10KfB1zPs
 

 

 

民主党左派の極端な思想を背景にした運動として、他にもシアトルでのBLM運動の延長上での解放区の設営があった。この解放国は民主党の市長により黙認されていたが、一ケ月ほどして多発する犯罪で敢え無く店じまいとなった。いずれも、単純な理想論に走った結果であり、失敗に終わるのは当然である。https://diamond.jp/articles/-/247423 

 

民主党左派は、暴力共産革命やアナーキズムを主張する人たちも含む。かれらの政策が実現されても、多くの悲劇とともに失敗に終わるのが必至である。そしてこの共産主義的理想主義が、米国の政治だけでなく、法曹界にも影響を及ぼしていることが分かる。「生活の質が原因の犯罪は罰しない」というBoudin検事の方針も、共産主義的理想論に基づくだろう。

 

人は全て平等で、現代文明の恩恵を等しく受けるべきである。ある人が非常に裕福であり、別の人は非常に劣った生活しかできない場合、後者は生活苦故に窃盗などの犯罪に走る可能性が高い。それを罰するのは、本質的に不公平である。

 

この考え方は、ある程度説得力を持つ。しかし、この検察の方針では、社会を維持する基本的なルールが崩壊し、その被害は全ての人に及ぶ。そして、人の性格や価値観には分布があるので、生活苦など主観的な感覚は社会のルールに持ち込めない。それらのことを意図的に見落としている。
 

その方針は、いったい何に由来するのか? 民族的怨念によるのか、Boudin氏の偏った思考癖によるのか分からない。異常な背景を持つ非常に優秀な頭脳は、突飛な理想論で一般人を不幸にするのだろう。「役情最前線」の動画では、この地区検事が生まれ育った環境などを紹介している。
 

2)Chesa Boudin氏の略歴から地区検事当選までの経緯

 

リコールされた地区検事の略歴を知ることは、個人攻撃に堕することがなければ、このような思想の背景などを知る上で有用だと思う。それは、米国という社会の層の厚さを学ぶことにもなると思う。

 

Chesa Boudin氏の両親は、極左毛沢東主義の”Weather Underground”(日本語サイトにはウェザーマンとして紹介されている)の運動家であった。Weather Underground はミシガン大学におけるベトナム反戦運動の学生組織から生まれた。

 

この極左組織は、1970年、爆弾を製造している際に爆発事故を起こし、FBIの捜査を受けた。メンバーのかなりが逮捕され、結局1970年代後半に解散することになった。そこで、彼らの一部は別の極左グループ「519日」を創ってそこに移った。

 

Chesa Boudinの両親も、その中で左翼暴力革命家としての活動を続けた。因みに、519日はベトナム民主共和国の初代主席ホーチミンの誕生日である。https://en.wikipedia.org/wiki/May_19th_Communist_Organization

 

彼らは、19811020日、現金輸送車を襲撃し160万ドルを奪う事件の犯人グループとして逮捕された。Boudin検事の父親が75年、母親が20年の禁固刑を受け収監された。生後14ケ月のChesa Boudinは、Weather Underground の創設者であるBill Hyersの下で養育された。https://en.wikipedia.org/wiki/Bill_Ayers

 

母親のKathy Boudinは刑務所で多くの論文と何冊かの本を書き、収監23年後に出所し、コロンビア大学の法科大学院(Law School)で教鞭を執った。Boudin家は著名なユダヤ人大家族であり、多くの裁判官、弁護士、共産主義活動家などを輩出している。

 

Chesa Boudin氏は、2011Yale 大学法科大学院で博士号取得、サンフランシスコ公設弁護士事務所で博士研究員として働き、その後プロとしての仕事をする。

 

博士課程の時代には、南米ベネズエラのチャベス大統領のオフィスで通訳を行うなどの活動を経験している。米国の社会主義者らは、南米の社会主義者や共産主義者と友好的なようだ。

 

2015年にはサンフランシスコ公設弁護士事務所の次席公設弁護士としてフルタイムで働く。そこで、保釈金の設定が、容疑者の支払い能力を十分考慮していないとして、カリフォルニアの保釈制度は憲法に反するという議論を始めた。
 

2019年の選挙で、暫定的に地区検事だった対立候補を破った。Boudin氏は、現金保釈の排除、不法な有罪判決を再評価するためのユニットの設立、移民税関執行(ICE)の支援拒否などを実行し収監者を減少させると、選挙キャンペーンで主張し当選した。

 

サンフランシスコ警察官協会などはBoudinを落選させるべく活動したが失敗した。当時のWilliam Barr連邦司法長官も、警察を弱体化させ、犯罪者を野放しにして公共の安全を危険にさらすと、Boudin氏と彼と親しい地区検事たちを非難した。
 

尚、Chesa Boudin氏の父親は、収監中のニューヨーク重罪刑務所で40年経過したとき、Boudin検事の申請を受け入れたクオモ州知事により保釈された。クオモ知事は、新型コロナの流行もあり人道的見地から辞任直前に保釈を許可した。クオモ知事のセクハラ疑惑(これは有名になった)は、民主党系が仕掛けたことだろうが、ぎりぎりの所で決断したのだろう。

 

3)米国極左の運動

 

役情最前線の動画では、米国左翼のCritical Race Theory CRT;批判的人種論)の原点にあると思われる思想がWeather Undergroundの思想との関連で紹介されている(7分あたり)。これについて一言書いておきたい。
 

このCRTでは白人には原罪があるとし、その根拠を以下のように考えているようだ:

白人たちは白人至上主義(有色人種との差別化)の恩恵を受けている。全ての人種は平等であるべきだから、白人たちは生まれながらに(その時代を共有した黒人たちに対する)犯罪歴を持っていることになる。彼らはそれを考慮し省みない限り、罪を犯していることになる。
 

この思想は、米国における犯罪率、収監率、平均所得などに人種間で大きな差があることを足場にして、貧しい黒人側の思想として考え出されたのだろう。この人種間の社会的経済的格差に対する黒人やヒスパニックらの苛立ちが、CRT、キャンセルカルチャー、BLM運動などを産み、左翼運動の活動エネルギーになっている。

 

従って、BLM運動のBlack Lives Matter というフレーズは、「黒人の命は大切だ」であり、「黒人の命も白人や黄色人種の命同様大切だ」という意味ではない。つまり、批判的人種論の逆差別思想と共通の思考が背景にある。

 

この逆差別を要求するCRTBLMの膨大なエネルギーを何らかの形で解消しなければ、米国の政治的安定は無い。そして、このことは世界の安定にも重大な影響を持つ。このエネルギーに由来する左翼運動を制御できるのは、この左翼運動の原点に存在するユダヤ人たちかもしれない。(補足4)その一人としてあらわれたのが、Chesa Boudinサンフランシスコ地区検事だったのだろう。

 

仮にトランプが次期大統領選で勝ったとした場合、このエネルギーは一層激しく燃え上がるだろう。逆にトランプが民主党の選挙介入などで負けたとした場合、WASPを代表とする側の反発は尋常ではない筈である。平和な世界はあと2-3年しかないかもしれない。ウクライナ周辺は既に混乱しているが、日本周辺も同様になる可能性がある。

(短縮及び最終編集27日、7:00)
 

補足:

 

1)地区検事に立候補するにはその州の司法試験(2月と7月)合格者でなくてはならない。更に、道徳性、犯罪歴、健康などの良好なことなどが地区の司法管轄者によりテストされる。通常は、地区検事補になった人から選ばれるようだ。https://www.indeed.com/career-advice/finding-a-job/how-to-become-district-attorney

このサンフランシスコ地区検事になった人として、現在の副大統領カマラハリスも居る。現在サクラメントの地区検事の選挙が進行中で、その得票数が数万のレベルであるので、選挙民としては議員などの選挙と同様だろう。https://www.kcra.com/article/2022-california-primary-election-sacramento-county-district-attorney/40181025#

 

2)重罪でなく再犯の可能性がなければ、裁判まで一定の保釈金を受け取って保釈する制度。ここで「現金保釈の廃止」が意味するのは、収監のまま放置することではなく、収監しないことつまり処罰しないことを意味する。①②から、軽微な犯罪は逮捕後直ちに釈放されるので、警察は逮捕すらしないことになる。それが犯罪率の激増となり、今回のリコールに繋がったのだろう。


3)米国の人口は世界人口の約5%であるが、世界の刑務所収監者の約20%を米国が占める。この大量収監の問題を根本から解決しようとBoudin地区検事は考えた。「犯罪の根本原因としてこの社会に差別があるからだ」という左翼思想を信じるBoudin検事は、相当な犯罪でも目をつむる(起訴しない)ことにしたのである。極左以外の人達は、社会を崩壊させることになると批判するのは当然である。民主党支持者のユダヤ人法律家Boudin氏に、それが分からない筈はない。私の想像だが、「犯罪という結果には原因がある。それが明確に表面に出るようにしただけだ。次に、その原因を解消するのは政治家の役割だ」とBoudin検事は答えるのではないだろうか。

 

4)米国においてユダヤ人たちが権力の中心に居るのは事実である。その中心にいたズビグネフ・ブレジンスキー(カーター大統領の大統領補佐官)は、その方法はマイノリティーの権利拡大であると語っている。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12741093111.html

1)馬渕元ウクライナ大使による拉致問題解決に向けた話

 

最近、元ウクライナ大使である馬渕睦夫氏により北朝鮮の拉致問題の解決を妨げるものについての話がyoutube動画で公開された。https://www.youtube.com/watch?v=lC8gNmqxaAU

 

 

最初の方で馬渕大使は:
 

「北朝鮮による日本国民の拉致は、国家による侵略行為であり、戦争行為の一種である。本来なら、日本は北朝鮮に対し攻勢に出て然るべきだが、それが何十年と出来なかった」

「それが、北朝鮮問題というか、朝鮮半島情勢、或いは戦後日本の政治体制と言って良いのですが、それの闇というものの縮図である」

 

と仰っている。この言葉は本質的に正しいと思うが、文章①「攻勢」の意味が不明確であることや、文章②が回りくどい表現になっていることが不思議であり、その理由がわからない。特に②の「闇」とは何なのか、この動画の後の方にも説明がない。米国の朝鮮半島政策のことを言うべきなのだが、それを意図されているのかどうかもこの表現では分からない。
 

そして、
➂「この本質的問題があるにしても、とにかく拉致被害者を全員取り戻すことが政治的に重要であるから、様々な方法(タクティックスと言っておられる)を使って政治的解決をすべきである。その為に前提条件なしに金正恩に直接会ってこの問題を提起するのは、正しい方法だと思う」

 

と発言されている。しかし、そのような解決は間違いである。その指摘が本記事の目的である。


④「(上記①の理解に基づき)日本がこの問題を正面から取り上げるには、その為の土台が出来ていない。土台とは、軍隊が無いこと、そして情報機関がないこと等である。北朝鮮にはそれら両方があり、そこに日本と北朝鮮の差が生じている」と。
 

このあたりから、話が世界に対する情報戦について、日本が何もしてこなかったこと、国内メディアがまともに報道しなかったことなどを非難する内容となる。拉致問題について、正しい出発点(①の本筋論)に立ちながら、それ以下の議論は方向としては正しいものの、纏まりを欠く分かりにくい話で、非常に残念である。


上記➂の間違った議論になるのは、一つには、以下の様な分かりにくい言葉や表現を用いるからだろう。つまり、「政治的に重要」の政治的という言葉、「金正恩と直接会う」ことの政治的外交的定義付け、「問題を提起する」での提起という言葉など、意味が分かりにくい。何故このような表現になるのか、理解に苦しむ。そこで、以下のようなコメントを書いた。


非常に分かりにくい話です。根本にあるのは、朝鮮戦争が終わっていないことと、日本が北朝鮮を承認していないことです。日韓基本条約では、北朝鮮を含めて朝鮮半島全体を韓国の領土としていますから、韓国の了解を得て軍隊を(日本の立場としては原野と同様である)北朝鮮に出兵して取り戻すのが本筋の解決法です。(補足1)


それができないのは明らかですが、そのような解決に対する障壁を取り除くという考え方で、拉致問題の解決策を探るべきです。メディアの責任は、拉致問題の解決とは次元の異なる話です。
 

この大使の言葉の分かりにくさを、以下のような疑問文形式で指摘したい。


馬渕大使は上記③の部分で、「前提条件なしに金正恩に直接会ってこの問題を提起するのは、正しい方法だと思う」と発言されているが、日本の高官がどのような資格で、金正恩に会い、どのような(提案、叱責、懇願)を行うのか? 


日本国政府の文書に、金正恩との交渉をどのように書き残すのか? 国交がないのだから、国家の首脳間の会談ではあり得ないし、拉致という文字で合意文書など出来るわけがない。「行方不明者を探し出してくれてありがとう」と言って、「未承認国家のひとから日本国民を引き渡してもらった」と書くのだろうか?(補足2)

2)本質を離れた解決法の模索は、問題を複雑化し解決不可能にする:

この動画における馬渕大使の拉致問題の本質についての記述(上記①)は全くその通りであり、この点には敬意を表したい。政治家は兎も角マスコミまでもが、この本質論を明確にしてこなかった。勿論、自民党は日本を換骨奪胎する米国への協力者であり、マスコミはそのプロパガンダ機関であるとすれば当然なのかもしれない。(補足3)

 

ただ、馬渕大使の対策は、被害者のことを第一に考えた末のことであるとしても、間違っていると思う。一般の国民がそれが本筋の解決法だと考えると、拉致被害者の方にむしろ失礼になる。


つまり、拉致被害者の救出は、山で遭難された人の救出とは訳が違う。彼らの救出は、日本国と日本国民の義務である。それは国境を守れなかった日本国家の失政によるのであり、原状回復(つまり被害者を取り戻すこと)は日本国の威信をかけて行うべきことである。


拉致が北朝鮮による日本国への侵略行為だと考えれば、その被害者は、侵略戦争における戦死者あるいは捕虜となった人たちである。つまり、現在のウクライナ戦争におけるウクライナ人被害者やロシアの捕虜になったウクライナ人たちと全く同じ状況である。


ここでもう少し冷静になり、問題の本質を歴史を遡って考え、そのうえで損害を最小に抑えるもう一つの本質的な解決を考える。第一に注目すべきは、朝鮮戦争である。北朝鮮のこの行為は、彼らの国家防衛の一環であり、そのためのスパイ養成の為になされたことと考えるべきである。


従って、日本国が、拉致被害者の救出の一環として行うべきことは、この朝鮮戦争の正式な終結を関係諸国に要請し、その後日本と北朝鮮の間で平和条約を締結することである。(補足4)平和条約締結交渉の中で、拉致問題を解決するのである。

 

戦争状態も終わって居ない未承認の国から、捕虜だけ多額の資金と引き換えに取り戻すのは、(同盟国である米国や韓国の)敵側への軍費供給にあたる。


そのような解決法では、時間をとりすぎると言うのなら、上記のように日本も戦争の当事国となり、軍隊を派遣して北朝鮮から被害者を救出するしかない。どちらかの解決法にも努力しないのなら、日本国は国家としての基本的な要素も思想も有していないことになる。


日本国は、国民の命と財産を守るという最も根本的な機能も持たないで、国民に納税などの義務を押し付けていることになる。この一方的に”ぼったくりやくざ”のような日本国に対して日本国民はどのように対すべきか、一人一人がそれこそ命を懸けて考えるべきである。(補足5)


北朝鮮との国交樹立だが、それは北朝鮮が共産主義独裁の国であるとか、非人道国家であるとかの問題とは別である。そもそも北朝鮮は、英国やドイツを含め、世界のほとんどの国と国交を持ち、国連に加盟済の国であることを考えるべきである。そして、早急に国交を持つべきである。それが核兵器による攻撃などの悲惨な未来から日本を救う方法の一つである。


それら以外の解決法はない。拉致被害者を取り戻すために、直接金正恩に会うなど、言語道断であると思う。日米は軍事同盟を締結しているのだから、朝鮮戦争終結前に、日朝が平和条約を締結することはあり得ない。

3)朝鮮戦争が終結しないのは何故か:

 

朝鮮戦争が終結しないのは、恐らく米国が朝鮮半島を不安定に保ちたいからだろう。それは、米国が東アジアにおける存在理由を確保するためである。これはマッカーサーが朝鮮戦争に勝利しようとした寸前で、トルーマンがその考えを拒否し、マッカーサーを司令官から外したことからも想像がつく。


その後ソ連が崩壊し21世紀になり、共産圏の経済が停滞して資本主義圏との差が開いたときから、北朝鮮は継続的に朝鮮戦争を終結し、米国、中国、韓国、北朝鮮の間で平和条約の締結を望んでいたと思われる。


実際、2016年1月のロイターの記事に、「北朝鮮は中国を仲介として、米国(国連軍、追補1)との朝鮮戦争を終結し、平和条約を締結することを望んでおり、それが叶わないのなら、もっと核実験を行うと主張している」との記述がある。http://www.reuters.com/article/northkorea-nuclear-usa-をidUSKBN0UM12S20160108

繰り返すが、マッカーサーが極東を支配していた頃から現在まで、米国は北朝鮮を極東でのトラブルメーカーとして育てたかったのである。そして、北朝鮮の核武装も米国の希望通りだったということになる。北朝鮮制裁により、韓国や日本に恩を売る形で、米国の存在感を東アジアに示すことができるからである。

 

これは、中国やロシアに対して、米国の東アジアにおける存在感を示すのが主目的だろう。そして、中国にとっても暴れ者の北朝鮮の存在は、米国との綱引きの綱にあたるので、都合がよさそうだ。


ロイターの記事には、「米国と中国の両国とも、制裁の解除や平和条約の締結などのより良い見通しをチラつかせて、核兵器をあきらめさせようとした」という記述がある。原文は以下のようである。dangleの意味を考えて意訳した。
The United States and China have both dangled the prospect of better ties, including the lifting of sanctions and eventually a likely peace treaty, if North Korea gives up its nuclear weapons.


当然、日本人拉致は、朝鮮戦争休戦下のまま地域が不安定化されているために発生した。北朝鮮は、自国の安全をどう維持するかを考え、日本人を拉致して、日本語の教師などにして、スパイ養成などに使役したのである。このような歴史の総括とともに、朝鮮戦争を正式に終結し、平和条約を締結することは、拉致問題の本質的且つ唯一の解決法である。

 

 

終わりに:


このロイターの記事を参照して、「米国が東アジアでの米国の存在根拠を温存し、この領域が完全に安定しない様にする目的で、北朝鮮問題を温存してきた」との指摘は、過去の記事(2016年1月24日)で行っている。以下の二つの記事をご覧いただきたい。
https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466514866.html
https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466514862.html

米国ネオコンのウクライナを反ロシアに育てる企みと同様に企みが、緩衝国である朝鮮半島でも行われていたのだと思う。

 

追補1)ウィキペディアによれば、朝鮮戦争の当事国は韓国と北朝鮮であり、交戦国は国連軍と金日成の軍及び中国共産党義勇兵である。北朝鮮は国連に加盟しているので、当然終わっている筈の戦争である。正に、この部分が馬渕氏の話す闇の部分だと思う。

 

追補2)ロイターの記事中の英文の訳が間違っているとの指摘を受け、「米国と中国はどちらも、制裁の解除や、北朝鮮が核兵器開発を放棄し、平和条約の締結などより良い見通しをぶち壊した」から本文中の訳に変更しました。

 


(11時30分、一部文章を修正、補足4追加、終わりにのセクション追加;6月20日早朝、追補1の追加と文章の間違い3か所ほど修正;6月21日引用英文の訳を変更)

補足:

 

1)この方法は、本筋の解決法のうちの直接的方法である。日本国にとって損害の小さいもう一つの本質的解決は、以下に書くように、朝鮮戦争の正式な終結から、日本と北朝鮮の間の平和条約(多分日朝基本条約のような呼称になるだろう)締結交渉の中で解決する方法である。

2)小泉政権では国民から集めた税金を北朝鮮に与えることで何人か取り戻したが、それは上に書いたように、本質的解決にほど遠く、むしろ本質的解決を妨害する愚かな方法であった。それは、ダッカの日航機ハイジャック事件の時、福田赳夫総理が取った超法規的措置と同様である。
勿論、小泉内閣は、北朝鮮との国交樹立を考えたのかもしれない。しかし、朝鮮戦争の正式終結と米国、中国、北朝鮮、韓国の間の平和条約前にそれが可能と考えたのなら、愚かである。

3)日本の近現代史の様々矛盾点について、「国難の正体」などの馬渕睦夫氏の本で教えてもらった。従って、この文章も馬渕さんの本から学んだ延長での思考である。

4)朝鮮戦争を継続する理由は、韓国にも北朝鮮にもない。それは、米国のトランプ政権のとき、文在寅韓国大統領、金正恩北朝鮮首席の間で確認されたことである。朝鮮半島の両国には朝鮮戦争を継続する意味が消滅していることは、後で述べるロイターの記事内容からも明らかである。

 

5)本当に日本が国家として何も持っていないのなら、日本国を解体するのか、日本から逃げるのか、それぞれの地方が独立するのか、自分達の生命と財産を守ることを独自に考えて行動すべきである。拉致問題への解決に向けて何の行動も日本政府が行わないことは、重い政治的犯罪である。青いバッジを背広に着けて納得している政治家連中の姿が非常に疎ましい。