インドが、軍事や経済の面でロシアと協力体制を築くと言う話が、及川幸久氏により流された昨夜のサプライズニュースだった。ロシアからインドへのS-400地対空ミサイルシステムの供与が、開始されたというのである。

 

そこに紹介されていたWSJ(ウォールストリートジャーナル)の記事には、「Russia, India Cement Military Ties Despite U.S. Pressure」という表題が付けられている。https://www.wsj.com/articles/russia-india-cement-military-ties-despite-u-s-pressure-11638817730

 

Cement Millitary Ties “堅牢な軍事協力体制”という言葉が印象的であり、将来軍事同盟に発展する可能性すら存在するだろう。それは米国からの圧力を跳ね除けてのモディ首相の決断であった。https://www.youtube.com/watch?v=9WKXYYpQrCs

 

 

 

現在米国では、プーチンのロシアがウクライナとの国境付近に大軍(10数万人の兵士)を集結させていることへの批判が高まっている。バイデン大統領による警告(補足1)を無視して、プーチンはロシアを離れインドのモディ首相を訪問したのだった。

 

そして、2025年までに貿易額を3倍(300億ドル)にすること、外務防衛両相の2+2会談を始めること、S-400地対空ミサイルシステムをインドに導入すること、を発表した。貿易では、ドル決済システムから離れて自国通過で決済するとのことである。

 

この動画に、以下のコメントを投稿した:

 

大きな時代の流れを感じる。米国DSそして世界経済フォーラムに関係するグローバリストたちの世界支配のプログラムに対する新たな障害が現れたことになる。中国の習近平が倒され、米国グローバリストと中国共産党が手を組み直しても、この困難は残る。モディ首相も日本の総理とは大違いの知的に優れた人だったようだ。馬渕睦夫さんの意見がまもなく出てくるだろうと思うので、是非聞いてみたい。

 

ロシアと中国は同盟関係にはなり得ないことは、地政学的常識として認識されている。最近両国が対米関係において協力しているが、プーチンは中国とは同盟関係にないと明言している。中国にとっては、今回のロシアとインドの間の軍事協力はさぞかしショッキングなことだろう。

 

2)米国の国際政治における地位の低下:

 

米国と同盟関係にある欧州、日本、韓国などは、米国の国際社会における相対的地位の低下を考えて、将来の外交・防衛問題を考える必要がある。

 

2019年に米国からの警告にも拘らずNATO加盟国の一つのトルコが、ロシアからS-400ミサイルシステムを導入した。そして202012月、トランプ大統領時代の米国から制裁を受けた。(上記動画で及川氏が紹介している。)https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/12/ba2e60b6f5ec5cd0.html

 

トルコがロシアからミサイルシステムを導入したのは、NATOに盤石の信頼が置けないからである。中東に近いトルコは、シリア問題などで明らかなように、米国とも時として衝突する。それに加え、米国はトルコよりも絶対的に重視する国が中東に存在する。それらの事情もあるが、トルコによる警告無視の背景には、米国の力の減退があるだろう。

 

今回、インドのモディ首相が米国の警告を無視してロシアと軍事協力した背景には、バイデン民主党の“隠れた親中の思い”も関係していると思う。「米国がインドの対中防衛に協力してどのような得があるか?」を考えた上での、冷静な決断だろう。

 

インドはQUADの一角であるとの表現もあるが、AUCUS(英米豪の同盟)は同盟だが、QUADは協力を話し合うという程度の関係である。対中国関係が非常に深刻化している現在、QUADでは十分役立たないと判断し、ロシアとの軍事協力関係を樹立したのだろう。

 

このあたりのことは、日本は深刻に考えるべきである。ロシアにとっても、日本にとっても潜在敵国は中国であるなら、日露の接近のポテンシャルは当然存在する。それに北方領土問題という楔を打ち込んで、妨害しているのは米国であることをもっと日本は知るべきだ。

 

北方領土問題:https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466516752.html

宮家内閣参与は米国の味方:https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466516600.html

(18:00、小編集あり)

 

補足:

 

1)ウクライナ問題は、米国民主党政権とロシアの対立現象の一つである。ウクライナをロシアから引き離して欧米側に迎えるというのが、米国民主党政権の方針であり、その作戦の一つとして2014年、ヤヌコーヴィチ政権へのクーデター工作を行ったという説がある。そのオバマ時代のウクライナ政策責任者がバイデンであった。数日前の及川さんyoutubeでは、この2014年の件には触れていないが、全体的に参考になるので引用する。因みに、ウクライナガス会社の重役にバイデンの息子がなったりして、バイデン一家は当時多大の経済的利権を得た。https://www.youtube.com/watch?v=53I4KyxUat4

中華人民共和国(以下中国)の国務院総理である李克強が、月収1000元以内の国民が約6億いるといって、一時話題になったことがあった。しかし、中国人の爆買いなどで、中国の経済発展が相当進んでいることを実感していた我々には若干意外だった。

 

しかしその後、6億人と言っても赤ちゃんも青少年や老人も含めての話であり、勘違いしてはいけないという指摘が中国専門家の遠藤誉氏よりなされた。そして、習近平との政争の中での発言であったことも影響して、今ひとつ頭に残らなかった。

https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20211109-00267232

 

しかし、12月10日のEpock Timesが提供する新聞看点というyoutubeサイトで、李沐陽氏が中国経済の今後には暗雲が立ち込めているという内容の話の中で、月収分布という形でかなり詳細なデータを紹介した。中国の大手投資会社の中金公司(公司とは中国語で会社の意味)が、全人口を月収で11の層に分け、そこへの分布を公表したのである。それにより、李総理の発言の意味が正確にわかるようになった。

https://www.youtube.com/watch?v=vIYbFP0oFIs (640〜)

上に引用の李沐陽氏の6:40からの話は、2億2000万人余りの月収が500人民元未満だというデータ紹介で始まる。

 

表によれば、中国では月収0の人が546万人居る。未就学児童や老人の人口を合わせば、数億人になることを考えると、ここでの月収は世帯の収入を世帯人数で割った値としての一人当たり月収と考えられる。また、それ以外には考えられない。(補足1)

 

つまり、上に引用の遠藤誉さんの言葉も不正確だったことがわかる。(追補1)おそらく、中国では世帯や家族という単位が、現代日本の家族などより明確であり、おそらく個人よりも重要な単位として存在するのだろう。一人当たりの月収を議論する際、日本なら家族単位で考えるという定義を予め示す必要があるが、中国ではそうではないのだろう。(補足2)

 

このデータ紹介が本ブログ記事の目的である。それだけで終わるのは貧弱なので、そのデータからジニー係数などを計算してみたので紹介する。

 

因みに、ジニー係数とは全人口の所得を下位から積み上げたグラフの両軸を1.0で規格化した曲線(ローレンツ曲線)から計算した所得の不平等分配を表す指数である。引用のウィキペディアの記事によれば、0.4以上が社会騒乱多発の警戒ラインである。(補足3)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%8B%E4%BF%82%E6%95%B0

 

下にその分布と解析図を示す。右上のグラフが月収分布曲線であり、縦軸は人数(億人)横軸は月収(人民元;一元はほぼ17日本円)

 

ここでは、月収500 元以上800元未満を800にラベルして示している。更に、二万元以上を仮に3万元として示した。月収二万元以上の人たちの収入分布は、特に大きな範囲に亘っているだろう。この部分の平均月収は、中国人民の暮らしむき(経済ではなく)を考える上でそれほど大きな意味を持たないが、ジニー係数には大きく効く。

 

図右下のローレンツ曲線から計算したジニー係数は0.476である。財務省の広報誌「ファイナンス」に発表された「中国における格差」という論文(2019年)には、各国のジニー係数が図示されており、その図を読めば2017年の値は0.48である。(因みに日本は約0.34である。)

https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/201903/201903l.pdf

 

以上から、上記月収分布のデータが、ほとんど正確に中国人民の経済状況を表していることになる。今日はデータとその簡易的な分析を示して終わる。

 

尚、最初の李沐陽氏のyoutube動画は、今後の中国経済には暗雲が垂れ込めているという内容である。この中国の景気後退は、最初恒大不動産の倒産から不動産不況の形で始まるだろう。

 

 

この影響を、日米欧などはどのように受け、反専制主義を現在掲げている民主国のネットワークが、今後どれだけ維持できるか解らない。兎に角、来年は大変な年になると思う。

 

(18:00 編集、追補1を追加し、補足番号を整理)

 

補足:

 

1)月収0元の人とは、完全に自給自足で生きている少数民族だろう。自給自足とぶつぶつ交換では、月収として計上されない。0から500元も多くは自給自足にたよる農村部だろう。月収8500円は少ないようだが、日本の1950年台の農村部&大家族の家ではかなりあったと思う。

 

2)「こどもの貧困」が現代日本の問題として提起されているが、これも正しくは子供の親の貧困である。https://kodomohinkon.go.jp/hinkon/ また、最近の年収960万円以下の家庭の子供に10万円配るという話でも、政府与党は世帯の年収という言葉の定義を曖昧にして混乱を引き起こした。

https://news.yahoo.co.jp/articles/104dc7a4d5246063e9ee6292af30d74fd79f683c あらゆる問題に言えることだが、本質的な解決にはゼロから考える必要がある。そしてその為には、必然として言葉の定義には慎重且つ厳格でなければならない。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466515785.html

 

3)ジニ係数は所得再分配後の値を示すのが普通であるが、時たま再分配前の値が出ることもあるので注意が必要。再分配とは、富者から税金をとり貧者に分配する制度である。社会保障や公的負担を通じて行われる。世界のジニ係数(再分配後)は以下のサイトにある。

http://top10.sakura.ne.jp/CIA-RANK2172R.html

 

追補1)遠藤さんの記事内では、”「働いている人の月収が1000元程度」と言っているのではなく、働いている人の世帯人口で割り算した一人当たりの収入を指している。”と書かれている。

この文の意味は、後で読み返して上記定義と同じだと分かった。「世帯人口」ではなく、「世帯の人数」と書いてあれば、さっと読んだとき誤解しなかっただろう。この点で誤解があれば謝ります。

125日の記事「日本に人権外交をする資格は? マグニツキー法んが制定できる国になるべき」に、米国在住の方よりコメントを頂いた。そこには以下のように書かれている。

 

マグニツキー法は人権侵害のある他国への罰ではなく、国際間の貿易法です。だから他国の法や内政には関与していない。この法の前の法に、ロシアがユダヤ系のイスラエル移民を妨害しないことを一つの条件としてロシアを貿易優待国にする、というのがあり、その延長戦上でマグニツキー氏の死に責任ある人や組織の米国内での金融活動をさせない、という法です。

 

コメントへの返答としては、議論が長くなるので、別記事としてここに掲載することにした。マグニツキーの死以前に、古いバージョンがあったとの情報は、先ずは勉強になる。この指摘文の中での“国際間の貿易法”というのは、おそらく貿易に関する国際協定の例外規定(GATT21条など)という意味だと思う。その前提で以下議論する。自分の勉強結果をそのままブログ記事にしたので、冗長になっている点ご了承ください。

 

 

1)WTO協定:

 

国際間の貿易に関してはWTO協定が重要である。その前段階的な条約としてGATT(関税と貿易に関する一般協定)がある。両方とも現役の国際協定である。GATTは、工業製品の貿易について、加盟国に最恵国待遇(補足1)を与えるという条項が重要である。

 

WTOでは、サービス業や知的所有権についてまで対象範囲を拡大している点、そして協定だけでなくそれを実施する機関を運営する点が、GATTとの大きな違いである。この発展過程及びGATTWTOの関係については、以下のサイト参照。https://liberal-arts-guide.com/gatt/

 

WTOで、自由貿易の方向への協定つくりが進まなかったので、二国或いはそれ以上の国家間で自由貿易協定が結ばれることになった。例えばNAFTAからUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)に代わった北米での自由貿易協定などである。(補足2)

 

WTO加盟国が他のすべての加盟国に最恵国待遇を与えるというのは、USMCAなどローカルな自由貿易協定が存在することから考えて、原則論でしかないことがわかる。更に、“加盟国による正当な国内政策の実施を縛るものではない”ので、例えば安全保障に関する国内政策と結びつけて、貿易障壁を設けることなどが可能である。これは、安全保障例外と呼ばれる。(GATT 21 条)

https://www.meti.go.jp/committee/summary/0004532/pdf/2016_02_04.pd

 

マグニツキー法の位置は、おそらく上記安全保障例外のような国内政策上の要請からの例外規定と理解できる。つまり、「人権重視は米国の国是であり、その部分に瑕疵のある国には最恵国待遇は与えられない」という考えに基づくものである。

 

 

2)マグニツキー法制定が関係相手国の内政干渉になるのか?

 

GATTWTOは、経済のブロック化や孤立化などで、将来重大な国際紛争の原因とエネルギーが国際間に蓄積しないようにするため、国際間の経済関係を拡大する目的で制定・設立された。従って、例外を設けてでも、経済交流を重視する規定が設けられたのだろう。

 

ソ連が崩壊しロシアとなっても真の民主主義体制は一朝一夕には完成しない。そのためロシアは、かなり専制主義的な政治体制で漸く国家としての安定を保っているだろう。この国に対しても、WTO加盟を許したのは、将来民主主義や人権尊重といった近代政治文化の発展がロシアに期待されるからだろう。

 

この場合、それら近代西欧の価値基準が定着することに(将来に)期待するか、現在の人権軽視を問題視するかで対応が異なる。将来、民主的な国家群を形成する仲間となる期待が薄いのなら、マグニツキー法などで現状重視の姿勢で望むことになるだろう。

 

それは間接的だが、反体制派を擁護することになり、ロシアの崩壊と内戦につながる可能性がある。その意味で内政干渉になると前回の記事に書いた。

 

更に、主権国家体制や民主主義といった近代の西欧政治文化を受け入れる予定のない国に対して、WTOが門戸開放をするのは、西欧先進国にとっては非常に危険である。相手国の経済発展を手助けることで、国際社会の価値(民主や人権重視)を崩壊させられる危険性がある。それが当に、中国共産党政権(C国)の超限戦(補足3)による中華グローバル帝国を作り上げる企みに対する危惧である。

 

この問題の根本には、米国のウォール街を中心にしたグローバル化勢力が、WTOを用いて、中国共産党政権(以下C国)と彼等の経済的巨大化のために協力したことにある。つまり、独裁政権下、奴隷労働で安く工業製品を製造する国をWTOに加盟させ最恵国待遇を与えると、当然その国は非常に有利に貿易を行い、WTO加盟国の産業は打撃を受ける。

 

その稼いだ金で軍事力を整備して、世界制覇をこころみるような事態になれば、人類の未来は暗い。米国がもしこの過ちに気付いたというのなら、マグニツキー法をC国に適用するのは賢明だろう。敵対国と決まってしまえば、その国の内政に干渉するなどの諜報活動は当然である。

 

日本がC国を対象に“マグニツキー法”を制定するには、安全保障の問題を熟慮する必要がある。日本が一人前の独立国になって、その問題がクリアされるまで、その制定は無理だろう。この点の指摘が125日の記事の内容であった。

 

3)マグニツキー法の適用は冷戦的対応である

 

マグニツキー法”(英国等を含む)は、国内における貿易及び国際金融取引上の活動に影響力を持つ国内法だと思う。従って、国内に存在する外国人の財産や、外国人の入国審査などを対象にする。裁判は国内の裁判所が担当するが、証拠の収集はまともに出来ない以上、最初から明らかな事実がなければまともな裁判は出来ない。

 

例えばC国共産党員が、ウイグルの人権抑圧に関係したとして銀行口座を凍結されたとして、そんな事実は無いと米国の裁判所に訴えたとする。しかし、C国がウイグルでの人権抑圧などの事実について正確な情報公開をしなければ、まともな裁判など出来ないだろう。従って、“マグニツキー法”の制定とそのC国及びC国共産党員への適用は、超法規的に行うことになるだろう。つまり、冷戦的対応にならざるを得ない。

 

つまり、マグニツキー法は国内法だが、特定の国とその国民に対して適用される。名目上は、他国或いは他国民が関与する国内経済活動や入国管理に関して、自国の価値観で規制を掛けるだけだと言えるだろう。しかしその規制は、対象国の複数の政治勢力の一部を冷遇することになり、実質的にその国の内政に影響を及ぼす。

 

しかし、このような法律を特別に制定しなければならない程、C国の人権に関する価値観が米国のものと著しく異なるのなら、WTOに加盟の段階で考慮すべきことだった。

以上、現在各国で進行している“マグニツキー法”の制定は、民主主義圏と言われる米国を中心とした国家の集まりによる、C支配層を国際経済活動において冷遇する、冷戦的対応である。

 

(17:30 全体を編集しました。)

 

補足:

 

1)関税など貿易条件において、第三国以下の待遇を適用しないという規定。WTO加盟国でありながら、相手国が第三国(WTO加盟国であってもなくても)と自由貿易協定などを結ぶと、WTO条項違反となる。ただ、それが安全保障や特別な事情によることが説明できれば、WTO条項違反にはならない。それが例外条項である。

 

2)EUのように政治と経済を含めた協定があり、最終的には加盟国は主権国家と呼べなくなる方向に進む可能性がある。更に、EUと日本の間のEPA協定なども出来、WTOは経済交流拡大のための協定のベース部分を為すことになったと思う。

 

3)中国空軍の喬良、王湘穂は、今後の中国が行う戦争を、あらゆる手段で制約無く戦うものとして捉え、超限戦と名付けた。(ウィキペディア参照)