昨夜のTVニュースで、小惑星「竜宮」から持ち帰った砂にアミノ酸が含まれていたという報道があった。そのニュースは7日の新聞(中日新聞)の一面トップ記事であった。その見出しは、「生命の源、地球外で初確認」だった。

その記事には、「関係者への取材で分かった」と書かれているのみで、その成果は学会誌に投稿する段階にも至っていないと思われる。それを大々的に掲載する新聞と、それを許可する担当研究者の良識を疑う。

本当に小惑星由来のものかどうかは、論文として出された内容を専門家が審査しなければ、第三者は信用する訳にはいかない。それが科学者の基本的姿勢である。一般に公表する方法として、最初に新聞紙やテレビ報道を用いるのは、異常であり非常に無神経である。

新聞(中日新聞)には、「小惑星竜宮で見つかったもの(アミノ酸)に左手型(L型)が多ければ、宇宙から、それは宇宙からもたらされた可能性が高まる」(カッコ内は筆者が補足)という解説があるが、一体だれがそのようなコメントを書いたのか?

しかもその内容の根拠がわからない。地球上で混入したアミノ酸でもL型が多い筈である。そんな下らない解説の前に確認すべきは、確かな結果かどうかということである。それは報道する側の良心ではないのか。

元研究者の私が関心をもつのは、世界の専門家の審査に耐えるだけの論文が書けるかどうかである。論文になれば、その真偽を考えることも可能である。そうでなければ、記事を読む気にもならない。何故なら、全くの間違いである可能性があるからだ。

スタップ細胞の件を忘れたのだろうか? あのケースでは、マスコミの報道は、学会の専門家の審査を経て論文発表されてからだった。しかし、共著者間で十分な知識の共有がなされていなかったため、間違った内容を発表してしまい、あとで論文を取り下げることになったのである。

また、新型コロナの件でも、一流医学誌に発表された論文が幾つも、再現性が乏しいということで、撤回された。https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/082300015/062500169/

日本の新聞や報道機関は、あまりにも科学研究から発表までのプロセス、そしてそれが学会で真実として定着するまでのプロセスなどに無知である。

今回の結果は、非常にエキサイティングだが、それだけにもっとマスコミ報道は、慎重にするべきである。先ずは学会誌に投稿し、専門家の審査を経て、受理されるのを待ってからにすべきである。恐らく、分析プロセスに間違いがないかどうかなど、慎重に審査されるだろう。



また、その結果に、地球由来でない証拠がしめされているかどうかも非常に重要である。例えば、炭素、窒素、酸素、水素すべてに安定同位体が存在するので、その比が地球上と異なるかどうかなど注目されるだろう。(おわり)


 

台湾の林建良氏が自分の国際政治講座へ招待するために送ったメールに、ある核攻撃のシミュレーションが紹介されていた。それは次の質問から始まる。

Q: もしロシアがNATO加盟国に核ミサイルを撃ち込んだら、アメリカはどうするのか?

1.ロシアを核で攻撃する;2.ロシアに経済制裁で報復する;3.何もしない;
などなど。

実は、もしこうなったらどうするか?という議論が、既に米国で何度もされていると、米ジャーナリストの裏調査で明らかになりました。・・・・

さて、このシミュレーションはどうなったでしょうか。その結果は:

A: ベラルーシに核を落とす。
https://in.taiwanvoice.jp/futakaku_release?cap=hs4

そして林建良氏は日本の考えるべき隣国の核の脅威とシミュレーションすべきテーマを上げている;
 
もし、日本に核ミサイルが撃ち込まれたのなら:
・米国はどうするでしょうか? ・日本はどうするでしょうか? ・日本ができることは?
・日本国民はどう備えるべきか?

私は、林建良さんの講座を聴講する経済的余裕がないので、その問題設定のみをタダで使わせてもらい、答えは自分で考え出すことにした。


2)米国との核シェアリングは危険な選択である理由

このシミュレーション:ロシアによるNATO加盟国への核攻撃と、米国からのベラルーシへの核ミサイルによる反撃は、ボクシングで言えばジャブの応酬レベルである。当事国であるそのNATO加盟国やベラルーシにとっては悲劇だが、米露両国にとっては、相手の意思を測るための最初の核応酬である。

そこで米国の態度を「強硬」と見て、ロシアは核攻撃をしなくなるかもしれない。今回のケースで考えれば、ロシアが一歩引いた形での和平案に合意する旨が、仲介国により米国に伝達される可能性があると思う。

ここで米国のベラルーシへの核攻撃に、米国の「抑制」をロシアが感じとった場合、次の核ミサイルの標的が日本になる可能性がある。それは、ロシアは全面的な核戦争を避けたい訳ではないという強硬な姿勢のシグナルを米国に送るための核攻撃である。同じところへ核攻撃を繰り返すのは、メッセージ性が欠けるからである。

それを見て、日本との同盟を重視するという理由ではなく、全面核戦争の覚悟が出来ていないという理由で、米国はロシアに若干有利な形での講和にウクライナを導く可能性がある。ただ、このような繰り返し毎に、全面核戦争の恐れが急上昇する。

つまり、米国やロシアの大国どうしの覇権争いであるにもかかわらず、攻撃を受ける側は、差し当たり同盟国だということになる。

日本がもし米国から独立しており、中立の軍事強国なら、そのような事態に巻き込まれることはないだろう。日本はウクライナと同じ二極(中露と米)の間の緩衝国であることを忘れてはならない。(補足1)

NATO等軍事同盟は、一般的な国からの通常兵器レベルの攻撃には一定の効果が考えられるが、覇権国からの攻撃に対しては役立たないばかりか、対立する味方側覇権国の防衛壁や傭兵となる可能性が高くなる。(補足2)

日本の周辺では、米国が北朝鮮に制裁を強めた場合、北朝鮮の核ミサイルによる米国側への攻撃の最初の標的は米国本土ではなく、日本となるだろう。米国を直接核攻撃すれば、北朝鮮は短時間に国土の全域が壊滅的打撃を被るからである。

もし、中国と米国が核兵器を向けて対峙する事態になれば、その場合も最初の中国からの核攻撃の標的も、今回のウクライナにおけるシミュレーションにあったように、日本が最初の標的だろう。このように、米国との核兵器のシェアリングは日本にとって危険性が多きい割に、利益は少ないだろう。

伊藤貫さんは、チャネル桜での議論で、日本が核防衛するには、独自に核兵器を持つ以外にはあり得ないと言っている。その理由は、核シェアリングでは、核発射のボタンを押す実権は、核ミサイル供与国であるという点にある。 

 https://www.youtube.com/watch?v=rfHAdcVtMpM

 

上記議論は、単なる軍事同盟関係でも成立するが、非核配備国への核攻撃には一定の躊躇が残る筈である。しかし、日本が米国と核シェアリングしているのなら、日本は核攻撃の格好の餌食となるのである。


3)改めて問題設定:

ウクライナ戦争で今後核兵器が使われる可能性が議論されている。当ブログでも、日本の核武装に関する簡単な議論をしてきた。その一つの結果は、核兵器を持つためには幾つかの条件が必要であり、日本には核武装するだけの総合的な実力が無いというものであった。

どのような武器を持つにしても、国家防衛の第一歩は諸外国とまともに交渉ができる政府を持つことである。その第二歩として、日本は米国から真の独立を達成することが大事だが、それには独り立ちする能力を持たなければならない。

独立していない国家に真の防衛力など存在しない。国境と国土の大切さに国民が気付き、国民の支持で国防を具体化できる政府を育てなければ、日本国に真の防衛力など出来上がらない。憲法改正を口に出すだけで、保守政党を名乗れるような国では、核武装は数ステップ乗り越えた後の遠い未来の話である。

この多段階のプロセスを考えず、いきなり核武装すべきなどとネットのみで議論しているのが現在の日本の情況である。議論しないよりはましだが、それでは非武装中立を叫ぶ左派と同レベルである。70年間近く改憲が党是であると言いながら、国会に一度も改正案を出さなかった政党を政界から追い出すことが、その第一歩である。

そのような趣旨で書いたのが、4月24日の記事である:日本は核武装の前にまともな政治体制の確立を目指すべきである。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12739095349.html

日本がまともな政府を持ったとして、その後すべきは、先ず一定のレベルの独立したシンクタンクを幾つか、技術系、外交系、内政系の専門家を集めて創る。そこから出たレビューを議論する。シンクタンクは、篤志家が自分の私財を用いて創るのだろうが、それに対する国家の研究発注という形の支援が必要である。

防衛費のGDP2%達成という目標は理解できるが、それを米国の軍需産業に奉仕する形で、役立たない武器の購入に充てるのは非常に愚かな自民党の政策である。予算予算増加分は、この種のシンクタンクを育てるため等の”ソフト”の充実に使うべきである。

そのように考えると、国際政治や防衛問題の専門家、技術職の専門家が著しく不足していることに気付くだろう。防衛大学校だけでなく、一般大学にそのような部門を創るべきである。米国のコーネル大学には、軍事教育の部門(大学が経営するホテルの隣にあったと記憶する)があることを知り驚いた。https://armyrotc.cornell.edu/
 
そのような国内の政治体制、軍事関連ソフト機関などが、国民の防衛意識と相互作用的に育ったとき、そこで核武装までの具体的なシミュレーションが可能となるだろう。そこでは、北朝鮮、米国、中国、ロシアなどの国々の反応を予想し分析することになるだろう。

議論は、その機会を見出してから短時間に行うべきである。トランプがイスラエルの米国大使館をテルアビブに移した。その速いスピードに反対意見や反対運動がついていけなかった。日本の核武装もそのように迅速に実現すべきである。

反対運動が燃え上がるような時定数で核武装するのは、完全な独裁国でなければ途中で計画放棄することになる。それを北朝鮮が教えてくれている。動きの遅い民主国家が迅速に行動する独裁国と互角に渡り合うには、陰に隠れた機関を含めて、米国に学ぶべきだと思う。
 

(6/6早朝、下線部追加;一番重要な点を、当然の前提として書き忘れました。)

補足:

1)この現実について多少異なる角度からだが、産経新聞米国特派員の古森義久氏がある討論番組で以下の様に発言している。「(元自衛官の方とかが)近づくNATOの脅威に耐えられず、ロシアが仕方なくウクライナに攻め込んだように発言しているが、それなら、日米安保に脅威を感じた中国が仕方なく日本に攻め込むことも考えられる」と発言をしている。https://www.youtube.com/watch?v=NNl9eCd3joE (59分30秒あたりから)

2)朝鮮戦争のとき、米国は日本に憲法改正と本格的な武装を求めた。吉田茂内閣がそれに従わなかったのは、米国の傭兵になりたくなかったからだろう。自民党の憲法改正に対する躊躇は、そのような事情もあったと思う。その後、その危険性が小さくなったにも係わらず、岸信介に憲法改正を強く勧められながら行わなかったのは、中曽根康弘である。

 

 

ヤフーブログから引っ越して3年になる。読者も入れ替わっているので、以前書いた記事の中から“お勧め”を紹介することにした。今回の再掲記事は、「キッシンジャー氏は生まれながらの反日親中か?」(2017年12月)である。拙い文章もあったので、今回この記事を一部書き替えて新たな投稿とした。

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1)昨日(2017年12月1日)、政治評論家の加藤清隆氏のyoutube動画を観た。そこでは、トランプ大統領の知恵袋的なキッシンジャー氏に対する批判が語られていた。キッシンジャーは、米国において中国の利益を代表する人物であると語っている。https://www.youtube.com/watch?v=aSlZ_aiC4OU

 

キッシンジャーが10月にホワイトハウスに招かれた際、米中の取引で北朝鮮を平和裏に治める案を吹き込んだ可能性があるという。その内容はニューズウイーク紙の11/28日号に、中国専門家のBill Powell氏の記事として書かれているという。

 

それによれば:1.中国は全ての手段を用いて金正恩に核計画を諦めさせる;2.米国が検証し納得する;3.米国と北朝鮮を正式に承認し、経済援助を行う;4.在韓米軍は撤退する、の4項目であるという。(補足1)

 

この4番目は、日本にとって最悪のシナリオとなり得る。韓国にとっても最悪だと、加藤氏は言っているが、現韓国大統領にとっては織り込み済みのシナリオかと私は思う。

 

また加藤氏は、「トランプ大統領はキッシンジャーの意見に従ったために、米中首脳会談でも米国の主張が出来なかった。」更に、「キッシンジャーは中国の利益を代弁し、“日本に未来永劫核武装を許さない”という姿勢を米国政府に持ち込んでいる」と言っている。(「」中の文は話の内容であり、語りをそのまま書いたのではありません。)

 

その上で、キッシンジャーは「日本にとっては有害な人物と言う事もできる」と語っている。その様に語るのなら、その理由も具体的に語るべきである。「虫が好かない」レベルの「キッシンジャーは反日である」という議論は、有害無益であると私は思う。

 

2)キッシンジャーとともに、米国の国際戦略に重要な役割を果たした人に、ブレジンスキーがいた。あの「ひよわな花・日本」を書いた人である。今年( 2017年5月26日)死亡したらしいが、そのニュースが大きく報道されなかったことは、日本が政治と報道の両面で後進国であることを示している。

 

北野幸伯氏が自身のメルマガ「ロシア政治経済ジャーナル」にブレジンスキーの死去にふれている。そこで、伊藤貫氏(補足2)の著書「中国の核が世界を制す」の中の「ブレジンスキーもキッシンジャーも反日親中である」を引用し、更に、つぎの様に書いている。

 

キッシンジャーと同様の親中外交論を主張してきたブレジンスキーは、「中国こそは、アジアにおける”アメリカの自然な同盟国”と言ってよい。アメリカの国防政策は、日本政府の行動の自由を拘束する役割を務めている。この地域で優越した地位にある中国こそ、アメリカの東アジア外交の基盤となる国だ。」と述べているというのである。

 

一方、「この二人には違いもある。ブレジンスキーは日本人を小馬鹿にしているが、日本人を憎悪してはいない。それに比べてキッシンジャーは、日本人に対して鋭い敵意と嫌悪感抱いている。」とも書かれているという。

 

ところで、何故この二人の米国外交の中心的人物が日本軽視の戦略論を展開してきたのか? 私は、それを語らずして“誰それは日本に有害な人物である”と言うべきではないと思う。上記北野幸伯氏の文章では、その反日親中は、中国が彼ら二人の生い立ちから調べ上げ、プライドの高い二人の特性を利用して取り込んだ結果だと書いている。

 

それもその通りだろうが、キッシンジャーの反日姿勢(憎悪感を持つ)について、もう少し別の背景があるように思うので、それを書いてみたい。

 

3)伊藤氏の話にある通り、反日キッシンジャーは“日本には未来永劫核武装はさせない”と思っているだろう。しかし、キッシンジャーは“日本も核武装をすべきである”と考えた時期があったと、或る本に書かれている。片岡哲哉著「核武装なき改憲は国を滅ぼす」である。そのことは既にブログで紹介した。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466515511.html

 

日本が佐藤栄作政権下であり、米国はニクソン政権下であった。そのニクソン政権の安全保障担当の補佐官がキッシンジャーだった。私の理解したところでは、米国が自国のアジア戦略において、何処に重点を置くかを考えた時、第一に日本を考えた。つまり、日本を核武装した米国の同盟国にすることを考えた。

 

しかしその時、佐藤総理が日本はそのような役割はできないと断ったのだった。(追補1)その結果、未来永劫日本国民は、中国、ロシア、米国、更に朝鮮の核の脅威に怯えることになったのである。そして、中国を米国のアジア戦略のパートナーと考えることになったのだろう。(補足3)

 

更に日米繊維摩擦の際、ニクソン大統領は佐藤総理に何とかして欲しいと対策を依頼した。沖縄が交渉の末に1972年5月に返還されたのだが、そのような時期だけにニクソンは佐藤が合意に基いて有効な手を打ってくれると思っていたが、佐藤は何もしなかったという。そこで、ニクソンは烈火のごとく「ジャップの裏切り」と怒ったという。佐藤は、愚かにも日本のもの(沖縄)は返還されて当然だと考えたのだと、書かれている。(ウイキペディア参照)

 

つまり、そのような歴史的背景を念頭において、キッシンジャーの対日対中姿勢を考えなければならないと思うのである。「戦略なき政府は国を滅ぼす」である。

 

追補1)この日本は米国の軍事パートナーとなりたくないというのが、1955年以来自民党の一貫した政策であった。最近、その非武装政策には自民党と社会党が協力して進めてきたのだが、背後に米国CIAによる両党への資金援助があったという話を聞いたことがある。

 

補足:

1)上記4項目とティラーソン国務長官の「四つのNO」とは関連があるという。1.北朝鮮の政権交代を望まない;2.北朝鮮の政権は滅ぼさない;3.半島の統一は加速させない;4.米軍を38度線以北に派遣しない、は北朝鮮の主張を取り込んだもので、これも出処はキッシンジャーではないかと加藤氏は言っている。

2)訂正:「核武装なき改憲は国を滅ぼす」の著者を伊藤貫氏と書いた事があるかもしれません。正しくは片岡哲哉氏です。

3)上記片岡哲哉著の本の中に、ニクソン政権の時、佐藤政権の日本に核武装を打診した旨の詳しい記述がある。その時の安全保障補佐官はキッシンジャーである。「北朝鮮の核武装と日本の核武装論」https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/42740249.html