根も葉もあるウソつきごんぼ。 | BOOTS STRAP 外国語と ゆかいな哲学の館

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ありふれた日常を考察する
<芦屋・三宮>

人は、ダマされることを嫌う。
ダマしに対しては、怒りの報復を向けられることもある。
ところが、その一方で、上手にダマされることを期待している。

恋人同士であるならば、相手の不審なところを見つけて詰問すると、
見え透いたウソで逃れようとすると、途端に相手に幻滅してしまう。
ところが、詰問に対して上手にウソをつかれると信頼感と親密度が上がったりする。
名うてのプレイボーイは、そんな手管を駆使する達人とも言える。

映画もそのようなところがある。
最近の映画はCGを使ったりと、その技術力は目を見張るものがある。
ところが、ほんの僅かなところにも画像的な齟齬を感じると途端に幻滅してしまう。
CGを駆使した映画として、今年のアカデミー賞で話題となったのは、日本映画『ゴジラ-1.0(GODZILLA MINUS ONE)』。
この映画は、その名の如く「ゴジラ」シリーズの37作目となる作品。
この作品は、CG映像が評価され、米アカデミー賞の視覚効果賞を受賞した。

これまで視覚効果賞を受賞したのはスタンリー・キューブリック監督作品の『2001年宇宙の旅』のみ。
「ゴジラ-1.0」で山崎監督は55年ぶり、史上2人目の快挙を達成した。
視覚効果賞ということは、まさに上手にダマしてくれましたという、ご褒美の賞とも言える。

そう言えば、小説家の佐藤春夫は,与謝野晶子の弟子でもあった。
その彼が『晶子曼陀羅(まんだら)』という小説を書き大ヒット。
身近な弟子が書いた小説だから、さぞ、事実を書いたことだろうと思い、
記者が佐藤春夫に質問したところ,
「根も葉もある嘘八百」と応えたという。

根も葉もあるウソは、ダマすことにかけては最強だ。

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<了>