「記憶にございます」もあるでよー。 | BOOTS STRAP 外国語と ゆかいな哲学の館

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ありふれた日常を考察する
<芦屋・三宮>

禅問答と呼ばれるものがある。
その一つに「隻手音声(せきしゅのおんじょう)」というのがある。
これは「両の手で叩けば音がする。では片手ではどんな音がするか?」というもの。
また「非風非幡(ひふうひばん)」と呼ばれるものは、
揺れる旗を見て、一人が、あれは風が吹いてそうなっているのだ。
そうするともう一人が、いや旗自体が動いているのだと論争している。
そこで、老師の答えは、それは旗というより、君たちの心が動いているのだと答える。
これら禅問答は、わかったようなわからないような問答会話。

そんなものを見ていると、ちょっと古い小説を思い出した。
それは、中国の明の時代の小説『剪灯新話』の中に出てくる「清女離魂」という話。
その小説を簡単に紹介すると、
「揚子江の中流域に、大地主の張鑑の娘に「清」というたいそう美しい娘がおり、
また、その張鑑の甥に王宙という好男子がいた。
二人は成長し誰もが羨むほどの仲になったが、父の張鑑が欲を出し、身分の高い富豪と「清」を結婚させようと計り二人の仲を裂いた。
この相思相愛の二人は、思い堪(たま)らず駆(か)け落ちをする。
落ち延びた先で二人の子を授かるが郷愁(きょうしゅう)の念から故郷の村に帰ることを決意する。
帰郷し「清」の両親に駆け落ちを詫(わ)びると、両親は驚いて、
「清?」
甥の王宙が村を出てからというもの、心を患ってしまい、ずっと家に居たという。
見ると憔悴(しょうすい)し、抜け殻のようになった「清」が家の中にいる。
疑問の眼差しで見ている間に、今、帰って来た「清」と家にいた「清」の二人が、
お互いに駆け寄り再会を喜ぶようにしていたが、その拍子に一つとなった」という話。
これは、実話をもとにしているらしい。

さて、ここで疑問となるのが、どちらの「清」が実体なのか?
駆け落ちした方か? 家にいる方か?
この話、「清女離魂」として、中国の禅問答にも出て来るようだ。

「記憶にございません。」
これも「離魂」というものか?

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<了>