11月11日は、わたしにとって記念日である。
明治神宮にたまたま参拝したときに「近くに住んだら毎日お詣りにこれます」ってなんとなく思いついたら、
なんと徒歩3分の場所に破格の家賃で、しかも住宅補助手当をもらえるという有り得ない条件で
日当たり抜群、駅近、収納スペースも接客スペースもある物件がみつかり、入居した日が11月11日であった。
だから、毎日お詣りに行った。
だって感謝しかなかったもん。
そこで出会った人たちも、教えられたさまざまな知識も、マナーも、すべてがたからものである。
その中のひとつが、天敵くらい隔たっている「伊勢平氏おじさん」である。
♫ かごめ かごめ 籠の中の 鳥は〜 ♫
しろくまさんが、亡くなる数日前。
わたしたちふたりの最後の旅は、丹後元伊勢籠神社 鎮座1300年記念祭。
復曲能「真名井原」の奉納だった。
そこで歌われてたカゴメ歌。
♫よあけの ばんに つると かめが すべった♫
籠の中に、ひ・つき。
明。明治の明。
「よ」は、あける。
鳥籠に長くいれられた鳥は、籠があいても、自ら籠に戻るという。
夜は、明けても、
なかなか、世は、開けない。
鶴と亀は、なかなか統(す)べらない。
空を飛ぶものと、水に棲むものは、隔たりすぎるから。
でも、それが天意なら、きっとそうなる、と思う。
「どうせできない」
人間が自然にもつ制限こそが籠。
籠から出られないのは、籠があるからじゃない。
「できない」という、自分の思い。