ミャンマー音楽の謎めいた世界へin関西2018 | Pokopen Photographic

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イベント名:ミャンマー音楽の謎めいた世界へin関西2018
主催者: 村上 巨樹

4月24日
場所:ゆすらご
司会:岸野雄一
聴き手:細馬宏通
開場19時 開演19時半
料金:1000円+1D

4月25日
場所:大阪LVDB BOOKS
ゲスト:江村幸紀(エムレコード)
開場19時 開演19時半
料金:1500円
 

 村上 巨樹氏の紹介した内容
1)ミャンマー音楽の紹介
・ミャンマーの音楽番組の動画
(カラーボ:流行歌)

・サインワインの動画
・竪琴の動画
・ミャンマーの古典舞曲をピアノで弾く動画
 
ミャンマー音楽の特色
・ビルマ音階(1/4微分音を含んでいる)
・和音がない
・リーダーの演奏を聞いてそこからズラすかがポイント
 (ズレの美学)
 
2)ミャンマー音楽と生活
・宣伝カーの映像
・得度式の映像

3)ミャンマー音楽の体験
・SP盤掘り
・ミャンマーマンドリン習得の話(+映像)
・ミャンマーマンドリンの演奏

備考
映画「チョーミン楽団が行く!」紹介
5/19、20HOPKENで上映
 
ずらして歌う(演奏)することをミャンマー語で「ハン」
と言い、日本語で言えば「巧(たくみ)」と言った感じだ
そうで。微妙なずれが上手さの評価だそうで。
 
感想
4月24日25日とミャンマー音楽のイベントへ行ってきました。
元々ミャンマー音楽と言えば、かなり昔「サインワイン」の
音楽をレコードで聞いていて、インドネシアのガムラン
っぽい音楽だな、と言った認識しか持っていませんでした。
ここ数年、インドネシアのパンクやタイ音楽を聞くにつれ東南
アジアの音楽にも興味を持って来だして、それと写真が何かサ
ウンドシステムみたいな写真があって、それもにも興味を持っ
て行って来ました。最初は京都だけの予定でしたが余りに面白
くて、大阪の方にも参加しました。
内容は村上 巨樹さんがミャンマーの音楽に魅せられて、ミャンマー
を訪問。その時に撮った映像とか体験を語る内容。そして
それを他のゲストの人とトークするといいった感じ。

イベントで一番最初に紹介されたのが、ミャンマーの音楽番組の動画。
これは一寸衝撃でした。バックバンド(しかも指揮者がいない)バック
に歌っているのですが、伴奏と合ってないし、コードのような物もなく、
「この人音痴」とか「こんなのカラオケで歌えない」、
「でもTV番組だからこの人上手いのでしょう」とか・・。
初めて聞いたとき皆さんこう思ったそうです。さらに暫くすると
突然西洋音楽風の楽曲に変わり・・・。そして最後は再び元の音楽の
スタイルに・・。
形式的にはABAと言った形式でBの部分は西洋音楽風なスタイルで
Aはミャンマーの音楽スタイル。
すでに上に書いている通りにミャンマー音楽の特色のポイントは
3つ。微分音や和音がないというのはともかく、一番の戸惑いは
多分。ズレ。
紹介された動画ではまず最初にキーボードの人が演奏してその
リズムをボーカルの人が聞いてそのリズムで歌うのだとか。
つまりキーボードとボーカルの間では当然「ずれ」が生じる。
この「ずれ」がキーポイントだそうで、そこらへんが上手さの
評価になるそうです。日本で言えば「間」に相当する物
なんでしょうか?

日本でも能の音楽はお互いの音を聞きながら演奏するので当然「ずれ」
が起こるのですが、でもこちらの方が「ずれ」の大きさが違う
感じが・・。実は「サインワイン」でも同じでリーダーの刻む
リズムを他の奏者が聞いて演奏するのですが、こちらはそう
違和感はないですね。
違和感の差は何かと考えたら、一つはぱっと見が洋楽風で
その様な音楽が聞こえてくると思ったらそうではなく。
実は京都で細馬さんが「音楽を聞くというのは次に何が来る
のか期待しているいるということではないか。思った通りだ
ったらそれは嬉しいし、違えば成程そう来るかと思うが、
この音楽がそのどちらにも当てはまらなく結果、当惑が
先に来てしまう。」という話しをされていてまさしくそう
なのかと。

そんな感じで始まったこのイベント。その後もは村上さんの
紹介する動画や話に場内爆笑や関心したりと、凡そ2時間30分
のイベントでしたが、なかなか楽しかったです。
ところで紹介する内容はほぼ同じでもゲストの人によって
内容が大きく変わるというのが今回感じました。
京都は岸野雄一、細馬宏通のお二人で内容的には、ミャンマー
音楽の音楽分析みたいな内容でしたが、岸野さんの司会が
素晴らしく、学究的な内容にも関わらず、楽しい内容に
持って行ったのには感心しました。ミャンマー音楽の特色
にはなかったのですが、「反復がない」と言った所にも
話が進んで「詩に沿って音楽がつけられているのではないか」
と言った話しとなりました。
 
一方大阪は江村さんがゲスト。自身がタイ音楽のCDを
リリースしている所からタイ音楽との差とか、割と
音楽の「差」についてがテーマとなって。象徴的なのは
ラストの映像。京都では流さなかったけど、ミャンマー
マンドリンの先生である、コミンミンさんがミャンマー
マンドリン(ギターと調弦が違う)でギルバート・オサ
リバンのアローン・アゲインを弾いた動画が紹介されて
これがなかなかの熱演で皆さん拍手喝采でしたで、江村さん
が「今日の最後を締めくくるに相応しい」と言った
コメントも。

確かに素晴らしい演奏でそれはそれで楽しかったけど、
京都はミャンマー音楽の核心に迫ろうと試みたのに対して
大阪はあくまでも現在の立ち位置に留まって話を
進めて行った事にやや物足りなさを感じたのは事実。
さらに京都の場合はお客さんにミャンマー語を判る人が
いたりして、その人たちが話を補足してもらったのもあ
りがたかった。

最後に村上さんが、現地の若い人との話したところ、
村上さんが研究している音楽は若い人からは「古臭い
音楽」だそうで、若い人はヒップ・ホップやDTMを聞いて
いるとか。
確かに今東南アジアで熱いのはヒップホップ。そういう
認識でしたが、ミャンマーもそうなのかと。
村上さんがは伝統的なミャンマー音楽の良さが消えてゆく
のを憂いていましたが、実は日本もまさしくそれが当て
はまる。雅楽とか伝統的な物は保護されていますが、
民衆に伝わる音楽は消え去った物も多いと聞きます。
 
今開催されているKYOTOGRAPHIEでアフリカ出身の
ロミュアル・ハズメ氏が傘を使ったインスタレーションを
展示していてその部屋の一番天井に吊られているの
が番傘。「日本古来の文化を日本人はもっと大切にして
欲しい」というメッセ―ジだそうで。

ともかく2日間未知の音楽に触れられたのは楽しかった。
村上 巨樹さんの今後のご活躍に期待しています。
またこのような機会あれば是非行きたいです。
ありがとうございました。
 
ミャンマー音楽のレコード(SP)を纏めた本
 
 
村上 巨樹さん収集して来たSP