寒川晶子ピアノコンサート | Pokopen Photographic

Pokopen Photographic

写真を中心とした絵日記です。楽しんでいただければ幸いです。なおこのブログで用いられている画像の著作権は私に。また人物画像の肖像権は本人もしくはその所属事務所に帰属します。無断使用及び二次使用は固くお断り致します。

公演名;寒川晶子ピアノコンサート
~未知ににじむド音の色音(いろおと)~

 

場所:ロームシアター京都サウスホール


日時:2016年9月24日(土)
開演時間 18:00

料金
S席(1階席):一般料金¥3,000/学生¥1,500
A席(2階席):一般料金¥2,000/学生¥1,000


出演

ド音ピアノ:寒川晶子
アクースモニウム:檜垣智也
音の織機:伊藤 悟

 

演奏曲目

1)「音に溶けて」Vol.1(浮浮)、Vol.2(霞弦)
演奏:寒川晶子

 

2)寒川晶子さんのあいさつ

 

3)「にじませ震わせ」
演奏:寒川晶子/檜垣智也

 

休憩
 
4)「響紡ぎ織」
演奏:寒川晶子/檜垣智也/伊藤悟


5)ポストパフォーマンス・トーク
寒川晶子、檜垣智也、伊藤悟、小沼純一(音楽・文芸批評)


感想

初めて「ド音ピアノ」という言葉を聞いてしかも実際
それを聞いた人が「ドの音しか出ない」と言った物だから
正直想像がつかなかった。プリペアドピアノみたいに
なにかで弦の長さを調整しているのか?と思いました。


当日のコンサートのプログラムでは「ドとド#の間という
非常に狭い音程の中を十二分割した微分音程」と書かれて
いて、なるほどな。でも調律は大変だろうなと・・。


最近長谷川良夫の「瓶の中の世界」を聞いていて、
一寸エキゾチックな音楽を想像したのですが、実際は
全く違って、後で檜垣智也さんが「ドビュッシーが
ハーモニーでやったことを音色でやった」との言葉
がありましたが、まさしくその通りで、音色の美しさ
が際立った音楽でした。


次はアクースモニウムとの共演。私は1F席だったので
2Fの様子は判らなかったのですが、1Fに限って
言えばスピーカーは前と横前方のみでいつもの様に
周りをぐるっと囲む配置ではなかったです。私の席
は前から7列目で丁度私の横の壁までスピーカーが
配置されていてので立体音響を味わえる席には
ありました。実際聞いてみると、もともとこの楽器
が持っていた空間性という物がさらに広がった感じ。
一寸驚きでした。後で檜垣さんが「いつもよりポップ
な音にした」と呟いていましたが、一寸明るめな
アクースモニウムの音とピアノのグラデーション
が綺麗に合ってなかなか良かったですねえ。


休憩を挟んでの3曲目はさらに「音の織機」という物
が加わりました。「音の織機」というのは中国雲南省
のタイ族に伝わっているもので、「結婚前の女が人とな
りを想い人に伝えるため、故意に機の平衡を崩し、
身体動作や足捌きを工夫して音をつくった」そうで・・。

 

最初はピアノと「音の織機」のDUOみたいな形となって
その後にアクースモニウムが加わる形となりました。
この曲に関しては面白かったけど、一寸アクースモニ
ウムの音が目立ち過ぎた?のか一寸ピンと来なかった
部分もありました。

 

ポストパフォーマンス・トークでは「音の織機」
をソロで演奏?してもらいましたが、ソロで聞くと
また違った面白さがあって、実際人によってどう
音(音楽)が違ってくるのかとか、場所によっても
どう変わるのか、当然気温や湿度でも音が変わるし、
等々、興味が尽きないですね。また別の機会でもソロ
で聞いてみたいです。

 

ポストパフォーマンス・トークの時に寒川さんが
このコンサートの準備について話されていて、
特殊な楽器故、最初は寒川さんの拠点である関東
から持ってこようとしたが、運送費が膨大な物になって
結局関西で借りる事が出来たとか、コンサート始まる
数日前はまだ「音の織機」はバラバラでこの会場で
組み立てていったとか、たった1日の為に多くの人
の協力があってこのコンサートが成立した。
と言った内容でを話されていました。実はコンサート
中の挨拶で一寸涙ぐむシーンもありましたがこういう
場所でコンサートを開く喜びとは別この日の為に
普通では考えらえない苦労がその背景にあったのだ
と思うと一寸感動しました。

丁度2日前に「ベアーズ電子音響祭」に行きましたが
ある方法論に従って行えば多様な表現が、比較的容易
に実現可能な音楽に対して、「ド音ピアノ」の様に大きな
ハードウエアに依存する音楽はそれゆえの難しさがある
のだと認識を新たにしました。


いろんな意味で勉強になったコンサートでした。