ブゾーニ:歌劇「ファウスト博士」 | Pokopen Photographic

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なが~~い曲新春第二弾はフェッルッチョ・ブゾーニの

歌劇「ファウスト博士」3枚組LPです。

演奏は

ファウスト:フィッシャー=ディースカウ

ワグナー:カール・クリスチャン・コーン

メフィスト・フェレス:ウィリアム・コクラン

バイエルン放送響&合唱団

指揮:フェルディナント・ライトナー


録音は判りませんが、1970年頃。昔のDGGを知る人にとっては
懐かしい配役ですね。

ライトナー、ミュンヘンオペラで来日した時は「トリスタン」振って
なかなか良かったらしいです。当時はケンプのベートーベンの
ピアノ協奏曲の伴奏指揮者としか知られてなかったです。後に
NHK交響楽団に客演してその芸風に触れた人もいるとは思いますが
ミュンヘンオペラで来日した頃が一番指揮者として良かった
と聞きます。ネットで調べたら、200アイテムの録音がDGG
にあるそうで、アニヴァーサリー・エディション(発売はHaensler)
12CDでその中にはコルネリウス『バグダッドの理髪師』

もあって思わずポチッとしそうになりましたが、やめました。


さてこのレコード、番号も確かめないで発注したので、家に
物がついて初めて廉価版と知りました。おけげでリブレットはなし。
しばらくレコード棚に放置されてましたが、たまたまある人から
ケント・ナガノのCDを貰い。ようやく日本語対訳を入手。
ケント・ナガノのCDはなんと:フィッシャー=ディースカウ
が語りで出演。CD自体もヤルナッハ、ボーモント両版が聞ける
構成となっていて資料的には素晴らしい構成になっています。


話はライトナーの方に戻って
実は一度聞いてそのままだったので久々に聞きました。
まずはフェルディナント・ライトナーが指揮大変素晴らしい。
ライトナーは作曲をシュレーカーに習っているせいなのでしょうか
初演当時の時代的雰囲気とかそんな物も含めて、圧迫感、特に
終焉の恐怖に満ちた演奏で、フェルディナント・ライトナーの
英語版のwikiで彼のベストの録音と書かれていましたが、
さもありなんと言った感じです。

このオペラ実演ではファウスト役がかなり負担が高い役と
なります。フィッシャー=ディースカウの歌唱も見事です。
特にパルマ公の婚礼の儀式の場面はフィッシャー=ディースカウ
ならではの歌唱。
フィッシャー=ディースカウオペラなんかはどんな役をやっても
声の個性が強く、役柄よりも本人をすぐ思いだして、興ざめなんて
言う人いましたが、こういう珍しいオペラだったら聞いてすぐ
判るので、リブレットを見逃したりした時は大変ありがたい。
そういえばエイドリアン・ボールトの演奏会用編曲の録音
(指揮もボールト)にも出演してますね。


もう一人の主役ウィリアム・コクラン。このメフィストと
ファウストの二人がいたからこの演奏が成立した。
そんな感じです。

あえて難点を言えば録音かな?前回「ウイエリアム・テル」
やそその後クレンぺラー指揮の物も聞いたけどEMIの
キングス・ウエイでの録音。なかなか自然で定位もばっちり、
一方この頃のDGG。全体的に音像が大きく、一寸ぶかぶか
した感じ。フィッシャー=ディースカウの声が突然
中央に大きく現れたりと同じDGGでの以前持っていた
シェーンベルクのグレの歌(クーベリック指揮)だと
ライブ録音のせいか割と自然な感じでしたけど。
(レコード盤も分厚くてそのぶんどっしりした音に
で再生されていたのもポイントの一つ)


それと面の切り替えが、セルフの途中で切り替わる所が
あってそんな所が一寸マイナス。

とは言え、このような珍しい曲がかくも素晴らしい演奏で
聞けるのは貴重です。しかも現在入手難らしいです。


このオペラこのオペラ本人の没後ドレスデンで
初演されていますが、ドレスデンと言えばワーグナーや
R・シュトラウスのオペラの初演で有名な地。でも他の
作家の初演も行っておりなかなか壮観。ブゾーニ、
ヒンデミット、シェック、R・シュトラウスと
当時先端を行く作家の初演を次々と手掛けるのですから
凄いですね。


R・シュトラウス/サロメ
1905年12月9日・ドレスデン宮廷歌劇場

R・シュトラウス/エレクトラ
1909年1月25・ドレスデン宮廷歌劇場

R・シュトラウス/ばらの騎士
1911年1月26日・ドレスデン宮廷歌劇場

ブゾーニ/ファウスト博士
1925年5月21日・ドレスデン国立歌劇場

ヒンデミット/カルディヤック
1926年11月9日・ドレスデンの国立歌劇場

オトマール・シェック/ペンテジレーア
1927年1月8日・ドレスデン国立歌劇場

オトマール・シェック/漁師とその妻
1930年10月3日・ドレスデン国立歌劇場

R・シュトラウス/アラベラ
1933年7月1日・ドレスデン国立歌劇場

R・シュトラウス/無口な女
1935年6月24日・ドレスデン国立歌劇場

オトマール・シェック/マッシミッラ・ドーニ
1937年5月2日・ドレスデン国立歌劇場

R・シュトラウス/ダフネ
1938年10月5日・ドレスデン国立歌劇場