スタッフ矢野です。
8月9日~14日(5泊6日)猪苗代のぽかぽかハウスにて夏休みのぽかぽかプロジェクト8月第2弾が開催されました。
全日参加の6名を含め、30名の参加者と9名のボランティアでした。

  
開催の様子をFoE Japanインターンでボランティアスタッフ参加の栗原 志歩さんが報告してくださいます。

 

「福島ぽかぽかプロジェクト」にボランティアとして初めて参加させていただきました。

福島の子どもたちが野外で遊べる場、被ばくについて親たちが話せる場を設けて心身の健康、免疫力を高めるという週末保養です。

3.11福島第一原子力発電所の事故以降、本来は国が率先して行うプログラムですが、FoE Japanや他の市民団体が実施しています。

ボランティアの内容は、参加する子どもを親の代わりに見守ることです。
 今回参加した理由は、保養について学びたかったからです。

保養には「一時勤務や仕事から離れ、心身の健康の回復を図ること。」(出典:新明解国語辞典)という意味がありますが、どういった取り組みをすることで保養となるのか、なぜ保養が必要であるのかを自分自身で実際に経験したいと思いました。
福島県猪苗代町にある「ぽかぽかハウス」を拠点に六日間過ごしました。

 

ぽかぽかハウスでスイカを食べる子どもたち

一日目から振り返っていきたいと思います。
 一日目は、初めてみなさんとお会いするため、役に立てるのか、受け入れてくれるのかという不安でいっぱいでした。

しかし、実際にお会いしてみると興味を持って話しかけてくれたことや質問をすると優しく教えてくださる姿にとても安心しました。

子どもたちが元気に走り回って遊び、喧嘩をする姿を見て初日から圧倒されたのを覚えています。残りの五日間がとても楽しみになりました。

 二日目は、猪苗代湖で湖水浴をしました。

年々暑さが増しているのは猪苗代も例外ではなく、強い日差しとともに水温も高い状況でした。

「以前は湖水浴を楽しめるのはわずかな期間だったけど、今は長くなったような気がする」という話も聞き、ここでも気候が変わってきていると実感しました。


 

水遊びを楽しむ子どもたち

天気が良い中での湖水浴はとても気持ちよかったです。

子どもたちが元気に楽しそうに遊んでいる姿を見て、微笑ましくなりました。

今回、初めての参加ということもあり、子どもを見守ることへの責任感が強すぎてしまい自分自身が楽しめていないことに気づきました。

また、子どもと接することに慣れていないこともあり、何かしてあげなくてはという気持ちが大きくなってしまいました。

しかし、時間が経つにつれてそこまで気を張らずに子どもが遊んでいるのをただ見守り、危険だと感じた時に入ることが私の役目だということを知ることができました。

ぽかぽかハウスに戻ってからは、子どもたちと一緒に遊んだりスイカ割りや花火をしたりしました。

湖水浴後でも元気に遊んでいて、子どもたちの体力の凄さにとても驚かされました。

湖水浴やスイカ割り、花火など夏を感じることができた一日でした。

 三日目は檜原湖(ひばらこ)でカヌー体験や水上アスレチックなどで遊びました。

カヌーの乗り方をガイドさんに教えてもらい、最初はおっかなびっくりでカヌーに乗り込んでいた子どもたちですが、カヌーをこぐコツをつかむと、沖に出て湖の対岸にある山の景色を楽しんでいました。

カヌーこぎは貴重な体験の場になったようです。

 


 

カヌーに乗る子どもたち

水場で危険な場所が多いため目を離さずに多くの子どもたちを見守ることは大変でしたが、二日目よりは自分自身も楽しめる余裕が出てきました。

私は子どもたちと水上アスレチックで遊びましたが、暑い気温の中で水中に飛び込むのはとても気持ちよかったです。

子どもたちも普段できない体験ができてとても嬉しそうでした。

この時間で子どもたちとの距離が近づき仲良くなることができました。

しかし、この日にお別れする子たちもいたため、もっと早く仲良くなりたかったですし、積極的に話しかければよかったと後悔しています。
ぽかぽかハウスでは、子どもたちと気候変動カルタで遊びました。

みんな瞬発力が高くついていくのに精一杯でしたが、学びも多くとても楽しかったです。
三日目で学んだことは、他のボランティアと協力し合いながら活動することの大切さです。

自身が楽しむことも大切ですが、子どもの見守りというボランティアの仕事がおざなりになっては意味がありません。

子どもの人数が多いため責任感を持ち、ボランティアと親のみなさんで声を掛け合うことが大切だということを実感することができました。

あるお母さんは「兄弟姉妹だけで遊ぶのとは違って、他の子どもたちと遊ぶことはいいね」と言っていました。

このような保養プログラムは兄弟姉妹とは違う意味で、一緒にいてリラックスできる友達と出会えるという貴重な機会でもあるのかもしれません。

 四日目は、石筵ふれあい牧場に行きました。

人数が減ったため少し寂しさはありましたが、見守りがしやすい環境の中で子どもたちと全力で楽しむことができました。

動物とのふれあいやおもしろ自転車、マウンテンバイク、パターゴルフなどの体験をすることができました。

また、子どもと一緒になって虫捕りをしました。捕まえると嬉しそうに私に見せてくれました。

私自身も子どもの頃に戻ったかのように全力で楽しむことができました。

体験を通して成長していく子どもたちを間近で見て、幸せな気持ちになりました。

ぽかぽかハウスに戻ってからは、子どもたちと人狼ゲームで遊んだり、親のみなさんとお話をしたりしました。

ここまで過ごしてきてわかったことは、親は自分よりも子どもを優先してしまうということです。

今回のぽかぽかが親のみなさんにとって、心身共に休める場となっていたら良いと思いました。

 五日目は猪苗代湖で湖水浴でしたが、私は体調を崩してしまったため、午前中はお休みさせていただきました。

午後には回復し、夕食の夏野菜カレーとサラダの下準備をしました。いっぺんにたくさんの量を作ったのは初めてでした。

皆さんがお代わりをしている姿を見て作ってよかったと思うと同時に、親の大変さを実感することができました。

親の負担を少しでも軽減させるために子どもたちとどう接していけば良いのかとても考えさせられました。

夕食後はアイスクリーム作りをしたり、一緒に遊んだりしました。

私にとって初めて経験したことが多い一日になりました。

 最終日はぽかぽかハウスの片付けと掃除をしました。

これが最後の共同作業となりましたが、みんなと協力して取り組むことができました。

掃除が終わった後はお別れの時間でした。

皆さんとの仲が深まった時にお別れしてしまうためとても悲しかったです。

たくさんの思い出を作ることができましたし、人として成長できたように感じた六日間でした。

 六日間を振り返って思ったことは、ぽかぽかは人として成長するための学びが多いということです。

特に個を尊重する大切さを学びました。

個人がやりたいこと、話したいことを決して否定することなくありのままの自分で過ごすということは、普段なかなかできないように感じます。

個を尊重するためには、怒らないこと、注意をする場合は言い方に気をつけること、人のことを悪いような言い方で形容しないことなどを日頃から意識することが大切だと知りました。
また良いことをしたら褒める。

「片づけをしてくれたの、ありがとう!」というリーダーの矢野さんの声が響きます。

子どもたちが自主的に手伝ってくれたら他の親たちも褒めます。

たいしたことがないと思われる手伝いでもその子にとっては大きな出来事なのかもしれません。

 また、健康に過ごすためには、食べ物にも気遣うべきであるということを学びました。

グリーンコープや生活クラブの無農薬野菜、牛乳など安心で美味しい食材を使うことで、免疫力を高めることができることを知りました。

私は途中、体調を崩してしまいましたが、安全な食事を摂っていたこともありすぐに回復することができました。

食べるものを安全なものに変えることで、健康的な体を作ることができるということを身をもって実感することができました。

 


 

ぽかぽかハウスで食事をする子供たち

 最後に今回の活動を通して保養とは、普段できないことを仲間と共に行なったり、食生活などを見直したりすることで、心身の健康を守ることだということを知りました。

また、自分を見つめ直す時間を作るために必要だということがわかりました。
また子育てをする親は子どもの健康を願い、いろいろと悩みながら子育てをしています。

福島の親はさらに、子どもの外遊びのこと、食のことなど何が安全なのか、どうすれば暮らしていけるのかについてそれぞれ悩んでいるのだと思います。

国からの情報がきちんと示されていないことが、親たちの悩みをさらに増やしてしまっています。

国や自治体は必死に子育てをしている親、子どもたちに必要な情報を伝え、もっと支援すべきだと思います。
親たちはすでにがんばっています。

この保養プログラムを通して少しでも自己肯定感を取り戻して欲しいと思いました。

このような素晴らしいプロジェクトに参加できてとても嬉しかったです。

人、そして多くの活動を通してさまざまなことを学びました。

六日間という短い期間でたくさんのことを吸収して成長を実感したのは初めてです。

機会があればまた参加したいです。

その時は今回よりも役に立てるようになっていたいです。貴重な経験をありがとうございました。

 


 

外で遊ぶ子どもたち
(執筆 メイン:栗原 志歩、サブ:田渕 透)



猪苗代でのぽかぽかを始めて10年が経ちました。いつもぽかぽかを支えてくださる全国の多くの支援者の皆様に感謝いたします。
また、食材は共生地域創造財団のご支援です。添加物の少ない食品や無農薬や低農薬のお野菜果物で、免疫力がアップすることが実感できる5泊6日でした。

メニューをご紹介します。
9日夕 ぶっかけそうめん
10日朝 味噌汁 ご飯 魚 納豆 和え物 漬物
10日昼 おにぎり3種 きゅうりの一本漬け スープ スイカ
10日夕 ご飯 味噌汁 鶏むね肉の南蛮漬け 果物
11日朝 鮭茶漬け 又はふりかけご飯 漬物
11日昼 オープンサンドイッチ スープ
11日夕 ハンバーグ 温野菜 スープ ご飯 果物
12日朝 お好みホットオープンサンド・ウインナーとほうれん草炒め・スープ
12日昼 おにぎり3種 スープ ミニトマト
12日夕 ご飯 味噌汁 筑前煮 和え物 果物
13日朝 味噌汁 ご飯 魚 納豆 和え物 漬物
13日昼 おにぎり3種 スープ 魚肉ソーセージ
13日夕 夏野菜カレー ご飯 サラダ 果物
14日朝 蒸しパン(レーズン・チョコ・プレーン)サラダ 
≪料理写真≫


         

 

       

 

  参加者13歳のお誕生日ケーキ!
 

今回ボランティアに福島県の高校生3名が参加してくださいました。そして、大人が足りなかった10日と11日には、中学生も担当の子どもたちに寄り添ってくれて、安全にプログラムを終了できたこと、とても感謝しています。
そして、岡山から自費で参加してくださったおぐらせくんには、たくさん助けられました、ありがとう。

岡山の保養団体の方々と近づいた機会になりました。
水遊びの危険が伴う中、安全に楽しく過ごせたこと、ほっとしています。

参加者やボランティアのみなさん、一人一人の力でぽかぽかは成り立っているんだなぁと実感しました。
ありがとうございました。(矢野)