片手に満たぬ白い紙切れの
重さ身に沁む文披月(ふみひらきづき)
笹の葉色紙(いろがみ)を潜りながら
差し掛かるY字路の手前で
あの日の少年が今も佇む
デモの隊列に並ぶ街頭
思い認(したた)むスケッチブック
高く掲げ立ち向かおうとした
引き返す事跡(じせき)への勇気を
悔いる日がこれからも来てほしくない。
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※文披月=文月(七月)
読んでくれて、ありがとう。
【季節の季の記。】
安保法案の抗議活動に参加している姿を
新聞記事に取り上げられていた少年を
モデルに、七夕と絡めた『市民の歌。』。
ふと当時の具体的な情報を調べてみた所、
大体現在と似た時期の2015年6月27日、
渋谷ハチ公前での出来事だそうだ。
少年も今では、現行の新成人とされる
18歳くらいを迎えているだろうか。
“いい国づくり”に言寄せた主張を民衆に
刷り込む為政者の声が聞こえるにつれ、
自身の意思・選択を行使出来る機会が
増えていく青年となった彼が、あの日の
行動を悔いたりせず暮らせている事を
願う気持ちが強くなる。
☆前々回の詩→『デラシネ。』
☆前回の詩→『夢見(ゆめみ)。』