8月30日、都内で第1回絵本出版賞の最終審査が行われました。
今回、最終選考に残ったのは、絵本部門9作品、大人向け絵本部門8作品、ストーリー部門14作品。そのすべてに目を通して、審査させていただきました。
第1回絵本出版賞の総評については、絵本出版賞のブログにも記載していますので、ぜひそちらも読んでみてください。
今回の審査についてですが、所感としては、どの作品も非常にレベルが高くありつつも、「あと一歩」と思わせるような作品が少なくなかったです。
例えば、絵はプロかと思うぐらいとてもキレイなのにストーリーが若干支離滅裂だったり、奇想天外なストーリーだけど子ども目線が足りなかったり、イラストもストーリーも悪くはないのだけれども、二つが組み合わさったときの相乗効果が薄かったり。改めて、絵本のの奥深さを感じました。
私が好きな絵本に「だちょう」という作品があります。これは脳梁欠損という脳に重い障害を抱えた子どもがつくった作品なのですが、絵の下手・上手いに関わらず、既存の絵本に囚われない自由な発想があって、私にとって大切な作品です。
私は、絵本出版賞を通じて、このような今までにない新しい絵本を生み出していきたいと考えています。
私が大人になって感じるのは、子どもが生きていく姿を見るというのはとても幸せだということです。子どもは喜んだり、悲しんだり、色々な感情や表情を見せます。そのどの姿を見ても、大人は懐かしさや温かさ、幸せを感じるものです。
私は幼少期にさまざまな絵本に出会いました。そして、今振り返ってみると、その絵本たちが自分の人生や良心、世界観の基盤をつくってくれていると感じるのです。
今の時代、特に大人の世界は、元気がなかったり、悪いことをごまかしてしまったりなど、子どもの時に生きてきた世界とは少し違うと感じます。もっと子どもの時に持っていた、純真さや素直さ、愛情深さなどを今の混沌としている世の中、色々なものが失われている世の中によみがえらせていきたいのです。
絵本出版賞は、そのような思いのもと創設された賞です。
「子どもの時に絵本が好きだった」「絵本で子どもたちやひいては大人たちにも大切なことを伝えたい」。
そう感じている方々と一緒に新しい絵本の可能性を広めていければと思っています。