- でかい月だな/水森 サトリ
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☆☆☆☆
第19回小説すばる新人賞受賞作。
満月の夜、突然友人の綾瀬に崖から蹴り落とされ、足に後遺症が残るほどの大怪我を負う。
そんな「ぼく」の前に中学校の同級生の理系オタクの中川や邪眼をもつ少女かごめが現れる。
ちょっと不思議な青春小説。
人を殺す理由として、「その人を殺すことによって、自分にとってその人は永遠に自分のものになるから」
という考え方がある。
その考えに共鳴してしまうのは危険かもしれないが
感覚的に分かる気がする。
対象を殺すことによって、その人の人生はそこで終わり、対象者は意志をもって行動できなくなる。
殺した人の知らないところで対象者が動き回ることがなくなるのだ。
殺した人は自分で対象者の人生を終わらせたことになり、その死を選択したことになる。
つまり、対象者を「自分のもの」にしたのだ。
綾瀬が「ぼく」を蹴り落とした理由はこれと同じだ。
綾瀬は父が母と別れて家を出て行ったとき、母に言われた。
「大切なものは、いつか壊れてしまうものなのよ。永遠なんてこの世にないの」
その直後、綾瀬は大切にしていたプラモデルの犬、ドラケンを壊してこう言う。
「お兄ちゃん、これでもう僕のドラケンに<<いつか>>はこないよ。」
それ以来、綾瀬は無意識に大切なものを壊してしまうようになった。
そして大切な友人も。。
大切なものを最初から壊してしまうことによって
終わりを逃れる。
そこが とてもせつない、とても哀しい