【お台場の穴場「南極観測船宗谷」】 | pocopanのブログ 「地図がいっぱいある暮らし」

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今年の1月から3月にかけて、NHKでアニメ「宙よりも遠い場所」が放映されていました。「ゴジラ-1.0」で、「何かしなければ、奇跡も起きない」とのセリフがありましたが、まさに行動あるのみ。とんちんかんな行動も多々ありましたが、少女たちは、奇跡的に南極行きを手に入れます。

西堀栄三郎氏の「南極越冬記」を思い出します。小学校6年生のホームルームで、クラスの全員が順番に少しづつ読んでいくという時間があり、漢字や文章がちょっと難しかったけれど、楽しみに読んでいたものです。昭和基地が大陸本土にあるわけではなく、リュッツフォルム湾の西オングル島にあること。カラフト犬の太郎と次郎の話。予算不足で最新の観測器具を持っていけなかったこと。そのくせ、越冬中の余暇用に、楽器一式が用意されていたなど、今でも内容をよく覚えています。

当時のニュースでも、日本の観測船がソ連の砕氷船のオビ号に助けられたという報道が記憶に残っています。もっとも、宗谷は観測船であって、砕氷船ではありません。日本最初の砕氷船は2代目の観測船「富士」からとなります。

今回、その宗谷を訪ねてみることにしました。お台場に古くから存在する船の科学館。宗谷はその展示の一部です。船の科学館は、現在老朽化で営業を停止していますが、ネットで調べてみると、宗谷は係留位置を変え、無料で公開されていることがわかり、さっそく家内と出かけてみることにしました。

まずは、お台場を目指します。新橋で、ゆりかもめに乗り換えます。さすがはGW。人出がすごいです。ゆりかもめは、5分おきくらいに発着しているようで、一本後の車両に乗れば、座ることができます。ただし、満員の車両で、外の景色はまったく見えず、台場駅でようやく人心地がつきます。隣の東京国際クルーズターミナル駅で下車すれば、大きな「船の科学館」の建物が目の前です。歩道をしばらく南へ向かって歩けば、オレンジ色の南極観測船宗谷が見えてきます。

宗谷の歴史です。宗谷は、砕氷船ではないものの、日本海軍の技術を結集した軍艦かと思い込んでいましたが、まったく違っていました。まず、初代の南極観測船を務めたのは、1956年から1962年までの期間です。当初は、ソビエト連邦向けの商船として日本で建造され、1938年に進水しましたが、日中戦争の激化で引き渡しが不可能となり、日本帝国海軍が買い取ります。海軍時代は、輸送や測量任務を行う特務艦として運用されます。ミッドウェイ海戦で大勝していれば、ミッドウェイ島周辺の測量任務を行っていたことでしょう。戦後、海上保安庁に所属し、南極観測船の期間も含め、巡視船として活躍。1978年の退役後は、日本海事科学振興財団が管理を受託し保存艦となり、現在に至ります。

艦名の「宗谷」は、海軍籍になる機会に、特務艦の命名規則により、海峡、水道、瀬戸、港湾、岬、半島の名のうち、宗谷海峡から採用されています。なお、現在運用されている海上自衛隊の南極観測船「しらせ」は公式には「白瀬氷河」から採用されていることになっています。まあ、明らかに、南極を探検した白瀬中尉の名前から採用されているのですが、海軍の艦名に、偉人の名前を採用することについて、明治天皇が同意されなかった(万が一撃沈された場合の影響を考慮された)ことに基づく苦肉の策です。

乗船口には、係の人がいて、「寄付をしていただければ助かります」と優しく声がけしているので、コインを一枚だけ投入。パンフレットと記念カードを受け取り、いよいよ乗船です。緩やかなタラップを上がれば、ごつごつしたペンキを塗りたくった宗谷の甲板です。

しっかりと順路ができており、各部屋を廊下側から覗く形式。広めの部屋では、なかに入り、ビデオやパネル資料などを閲覧することができます。すべての部屋にいるわけではないのですが、精巧な人形が設置されていると、いつもびっくり。お化け屋敷でもないのに、声を上げてしまいます。船長室には、船長(観測船なので艦長ではなく船長)が堂々と座っていました。

部屋の内部は、昭和レトロな家具や機械類が満載。見ているだけでも飽きがきません。医務室を覗いたときは昼間でよかったと安堵します。人形以外は、実際に使われていたものばかりなので、リアリティーが半端ではありません。ディズニーランドでも、ここまでは再現できないでしょう。満足のいくテーマパークです。しかも無料です。

甲板に出ると、暖かい青空のもと、清々しさでいっぱいです。実際に使われていたヘリコプターが置かれていたら、なおよかったことでしょう。実に有意義な見学でした。次は、船橋に係留されている「しらせ」に出かけてみたいものです。

さて、温暖化で砕氷船が不要になるという時代が来ないことを願うばかりです。




さあ、今日も地図を広げて、
連休の穴場へと冒険にでかけましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。