独断と偏見まみれのショパコン備忘録 ファイナル2日目 |  田舎女 *ぽこ* のなんてことはない日々

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   独立した娘2人を持つパートタイマー主婦です。
   ワインのこと、愛猫のこと、
   寒冷地のド田舎暮らしのこと・・
   思いつくままに。

第19回ショパン国際ピアノコンクール

ファイナル2日目(2025.10.19.)

演奏動画

 

進藤実優(日本23歳)

前大会では三次予選まで進出し

惜しくもファイナルを逃してしまった彼女、

彼女のじっくりした表現に虜になっていた私は

他人事ながらとても残念で、

今回はファイナルの舞台で演奏できることになって

とても嬉しいと同時に緊張でドキドキしながら

(私が緊張してどうするって話ですが)

パソコン画面を食い入るように観ました。

ご本人はキリリと引き締まったクールな表情で登場、

予選までは椅子に座ってからたっぷり時間をとり

曲に没入していくスタイルでしたが

この日はすでにゾーンに入っているようで

スッと演奏に入り、

何かに取り憑かれたかのように

一心不乱に体を動かしていました。

幻想ポロネーズは、ソフトなタッチと

歯切れの良いタッチのコントラストが明快で

意図がわかりやすい演奏。

1音1音を大切にしてしっとりとした響きで

微妙な感情をしっかり表現していたと思います。

全体的に音がやや小さめに感じたのが心配ですが、

彼女の紡ぐ繊細な感情表現は

ちゃんと審査員に届いていたと信じています!

協奏曲1番はとにかく響きがクリアで美しく

音に力があって胸に迫ってきました。

序盤は哀愁と優しさが漂い、

ドリーミーで高揚感のある中盤を経て

終盤では美しい日々の流れを描いた後

微妙な心情変化(鬱屈、切なさ、愛しさ、

懐かしさなど)が入り乱れるような演奏で、

オケともバッチリ呼応しあっていました。

2楽章は温かみのある音色で

ドラマティックで物語を感じさせる演奏、

終盤の密やかな響きにも彩りがありました。

3楽章はキレよく軽やかで

同時に優しさもある響き。

愉快な響きと一瞬の翳り、

軽やかさと堂々とした重厚感、

決然とした響きと夢見心地なソフトな響き、

などなど色々な感情が見え隠れしていました。

終始、盤上で指と腕が踊り狂い

持てる感情を残らず吐き出すような熱演でした。

 

Zitong Wang(中国26歳)

バックステージでは硬い表情で

緊張しているように見えました。

幻想ポロネーズでは

タッチがごちゃついた瞬間もあり

演奏後の彼女の表情も冴えなかったのが心配です。

また協奏曲1番では

オケと合わせることに神経が割かれて

表現に集中し切れていない印象で、

オケが鳴りをひそめ

ほぼソロのようなパートになると

のびのびと弾いているように聴こえるのですが

全体的には感情の見え方が

弱くなってしまったように感じました。

彼女の演奏はやはり前大会から印象深くて

応援していたので

ファイナルに進めて嬉しいのですが。

 

William Yang(アメリカ24歳)

冷静に淡々とテクニックで押してくる、

進藤さんとは全く違うタイプ。

男性らしく骨太な音で

甘やかさは感じられないのですが

音質は柔らかく彩りもあって

この人の演奏も意外と好きです。

協奏曲2番の1楽章では

オケとのタイミングもピッタリ合っていて

ミスなく順調、なのに・・

なぜかオケと調和していないような

ひとりで我が道を歩んでいる印象がし、

何か物足りない感じもしました。

2楽章は私好みの彩りが復活、

前半は旋律にドリーミー&ロマンティック

な響きが出てきて

後半は絶望感が混ざります。

3楽章は音が冴えてとても綺麗でした。

 

Piotr Alexewicz(ポーランド25歳)

もともとあまり表情を変えない人ですが、

幻想ポロネーズの演奏後は

いつもにも増して無表情というか

険しい雰囲気でしたね。

高音が割れたように聴こえましたし

終盤でごちゃついたからでしょうか。

彩りある音色でさまざまな表現をしていましたが

それぞれが孤立していてうまくつながっていない

ように私には感じられました。

協奏曲2番1楽章は穏やかで品のあるスタートから

激動の渦に飲み込まれ感情の揺らぎを繰り返す様を

表現しているように感じました。

2楽章は甘く優しい感情から

悲しみの予感を経て

儚い恋の思い出を辿るような演奏。

3楽章は気を持ち直して力が湧いてくるような、

まだ少し未練を残しているような、

感情が行きつ戻りつしながらも

最後には前を向いて歩もうとする希望を

描いているように感じられました。

 

 

以上、演奏を聴きながら

ファースト・インプレッションを

書きなぐりました。

取り留めなく見苦しい文章になっていそうですが

どうかご容赦を。

聴き直したら考えが変わったりも

するかもしれません。

聴き手もその時の気分や体調で

作品の受け取り方が違ってきますよね。

ショパコンの演奏を聴くときは

好きな演奏者とそうでない演奏者とで
感想に温度差が出ないよう

どの演奏もできるだけ

同じコンディション&フラットな気持ちで

聴きたいとは思っているのですが。

 

 

今回のショパコンに関する記事の

目次はこちら 右矢印 ショパコン2005目次

 

 

今日はどんより曇っています。

紅葉はまだですね。

紅葉時期が毎年後ろにずれ込んでいて

ピーク時でもあまり綺麗でなくなってきているのが残念です。

今年はどんな色に染まるのでしょうか。