第19回ショパン国際ピアノコンクール
二次予選4日目(2025.10.12.)
この日の感想は長くなりそうなので
2回に分けて書こうと思います。
まずは昼の部から。
内容の濃い布陣でした。
Yehuda Prokopowicz ポーランド19歳
高音もキンキンせずまろやかな音質。
フォルテでもソフトなタッチで
特にプレリュードの最後は
「へ〜、こんな感じの終わり方もあるのね」と
世界が広がった思い。
音量や速度のコントロールが絶妙で、
胸が締め付けられるような切なさや絶望感、
アンニュイ感、不安と安堵、愉快さ、などなど
19歳でどうしてこんな感情表現ができるの?
と不思議になるほどの表現力に
私はゾクゾク、キュンキュンしっぱなし。
次はどんな音(感情の波)がくるのかと
耳が離せなくなる演奏で
出番が終わってしまうのが残念だった。
最後の英雄ポロネーズでは
ミスが多発してヒヤヒヤしたけれど
ぜひ次のラウンドに進んで
もっと聴かせてほしい。
Hao Rao 中国21歳
舟唄の序盤で引っかかるような雰囲気が
何回かあったように感じ
あれれ?と思ったのだが徐々に演奏は安定し
いつものパワーが出てきた。
でも、顔がむくんで表情も冴えないように見え
スケルツォではミスタッチも増え
やはり絶好調ではないような・・。
(降壇後に微妙な表情を浮かべていたので
ご本人も納得いかなかったのかも。)
それでも素晴らしい響きで
アンダンテ・スピアナートは
心が洗われるようだったし
大ポロネーズは心弾んだし
ある程度のレベルが保たれるのは
自力の差、さすがだなと思った。
演奏とは関係ないが
一次予選で左手の指輪に気づき・・
予備予選では右手中指だったはずなので
ファッションリングを付け替えただけ?
それなら左手薬指は紛らわしいぞ〜
とおせっかいな思いが湧いた。
Anthony Ratinov アメリカ27歳
軽やかな即興曲から始まり
次第に迫力を増していく構成。
ポロネーズOP44はハリのある音色が
緊張感を演出していて格好良かった。
フォルテで迫力を表現する部分では
ときどき雑さが見えるような気がした。
進藤実優 日本23歳
気合の入った表情で登壇、
しっかり時間をかけて集中し
これから創り上げる世界に入り込む。
最初の一音から実優節が炸裂。
じわりと立ち上がるメロディ。
しっとりしながらも
心にまっすぐ入り込んでくるような
強いパワーを内包した響き。
実優ワールドに引きずり込まれ
胸が掻き乱されたかと思えば癒され
もみくちゃにされて涙が込み上げてくる。
進むにつれ会場も彼女の世界に魅了され
曲間に咳をするのも忘れたように静まっていた。
英雄ポロネーズは煌びやかで
エレガントで堂々と力強くて
とにかく素晴らしくて圧倒され
私はパソコン前でとうとう涙腺崩壊。
(前日の中川さんのときでさえ耐えたのに!)
彼女が充分に実力を発揮できたようで嬉しく
素晴らしい演奏を聴かせてくれたことに感謝。
Gabriele Strata イタリア26歳
とてもエレガントな響きで
ボレロop19やノクターンop9-1が
よくハマっていた。
スケルツォop31のキラキラ感も綺麗だった。
ただ、充分にコントロールできるテンポを保った
端正な演奏は曲によっては見劣りしがち。
特にポロネーズop44などは
疾走感や迫力がもう少し欲しかった。
淡々と自分の表現を遂行する様子には
好感が持てたし、いい演奏だったとは思う。
力んで自滅する人も少なくない中
周囲を気にせず自分を信じて我が道を進む
勇気というかメンタルの強さは大事よね。
今回のショパコンに関する記事の
目次はこちら ショパコン2005目次
20年ほど前に新潮社のキャンペーンでゲットした人形。
あの頃は新潮文庫を読みまくって時計とかエプロンとか
パンダグッズをたくさんもらったなぁ。
このコはパソコンの上から
いつも私を見守ってくれています。
本をたくさん持っている形なのだけど
アコーディオン弾いてるみたいに見えて
楽しそうな表情に心が和みます。