【糖質ダイエットの最先端モニターアプリが注目を浴びてる件】


 

こんにちはMD.Kです。

本日注目する記事は【糖質ダイエットの最先端モニターアプリが注目を浴びてる件】についてです。

2019/10に開催されたCEATEC AWARD 2019は、IT技術に関するアジア最大級の国際展示会で、今回京セラが開発した「糖質ダイエットモニタ」がスマートX部門で準グランプリを取得しました。

 

☑ 今のダイエット方法が本当にあっていると思いますか?

これまで様々なダイエット方法が提唱されてきましたが、糖質に特化しており、しかも糖代謝レベルで解析を検討したデバイスというものはなかったと思います。この糖質ダイエットモニタは、特殊なセンサーを用いて手首の血管の脈波形状 (血圧の変化) の変化を計測し、間接的に糖質代謝状態を測定するヘルスケアデバイスです (細かい機序が気になる方はこちらを参照ください)。

 

糖質ダイエットを始めたけど、

・ むしろ検診の検査結果が悪化した。

・ むしろ体重が増えてしまっている。

・ 何を基準に効果判定すればよいのか分からず不安

 

こういった悩みを持っている方は結構いるのではないかと思います。

幾つか原因がありますが、要因の一つには【介入効果をモニタリングするシステムが十分にないから】という点が挙げられると考えます。たとえば、血糖のステータスとしては血糖値・HbA1cというなどがありますが、これらは基本的には糖尿病診断治療に使われる項目 (つまりすでに病気の人に使用する指標であり) で、これまで予防医学的に使用できるモニタリングシステムというのは、あまりなかったように思います。

 

☑ 何がすごいのか:

今回発表されたダイエットモニターの新しいブレイクスルーは

 

・ 糖代謝の状態をいつでも・どこでもモニタリングする事ができる点。

・ 手首の血管に装置を充てるだけで検査できる (採血など痛みを伴う処置は不要)点。

・ 個人レベルで介入できる予防医療を実現する装置であるという点。

・ 同じシステムを利用して脂質など他のパラメータも将来的にはモニタリングできる可能性があるという点。

 

このあたりかと思います。今回開発された糖代謝モニタによって、日常の糖代謝状態をモニタリングし、ダイエット効果の判定や、糖尿病発症の予防を皆さん一人一人の努力で実現する事ができるようになるかもしれません。

 

☑ 他のAI技術と併用する事で、更なる革命が起きるかも!

そういえば、別記事ですが12/3にオムロンがウェアラブル血圧計「Heart Guide」を発売します、これも大きなニュースになってますね。

時計のベルトに内蔵されたカフが、定期的に自動で締まり血圧を測定するという最新血圧モニターです。

これに京セラの持つ、センサー技術・糖脂質代謝モニタリングシステムを併用すれば、【持続的に血圧・脂質・糖の状態をモニタリングできる時計】が発明されるかもしれませんね。そしたらご飯やお菓子を食べる度にアラートが届くので常に自分の健康状態を把握する
ことができるかもしれません。今後がとても楽しみですね。

 

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こんにちは、MD.Kです。

今回ご紹介するテーマは【検診を受ければ、将来心臓が悪くなるかどうかをAIが判断してくれる】可能性があるという事です。

取り上げたのは医学会では有名なアメリカのメイヨークリニックのZachi I. Attiaさん率いる研究チームが2019年1月に発表したこちらの論文です。この論文はNature medicine (IF:34)という権威ある雑誌に掲載されたことは、この研究結果がとてもインパクトがあったということを物語っているんだと思います。

 

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☆ 注目した論文:

Screening for cardiac contractile dysfunction using an artificial intelligence–enabled electrocardiogramNature Medicine volume 25, pages70–74(2019). 07 January 2019

 

世の中には、特に症状はない (無症候性) けれど、心臓超音波検査上は実は心機能が低下 (心臓の収縮力が弱っている) していたという方が一定数存在するのですが、彼らは長期的にみると将来心臓病 (心不全など) に罹るリスクが相対的に高いとされています。この無症候性の心機能不全 (ALVD: Asymptomatic Left Ventricular Dysfunction) 患者がアメリカには一般人口の3-6%に存在し、約700万人以上のアメリカ人が罹患しているとされています。ただ、通常の検診では心エコーまでは実施しないため、こういったリスク対象者を検診レベルで検出することは困難と考えられておりました。

 

メイヨークリニックの今回の研究では、AI技術を利用し、心電図波形のみから無症候性心機能不全(ALVD) を見つけ出すシステムを開発したと報告されています。これであれば心エコー検査を受けていない集団から心機能が落ちていそうな人たちをピックアップできる可能性があります。

 

研究チームは、同病院に蓄積された620000セットにもおよぶ、心電図 + 心臓超音波結果のセットを抽出し、Convolutional Neural Network (CNN: 畳み込みニューラルネットワーク)をトレーニングしました。CNN属性(低心機能症例の心電図の特徴)を一般化して、心電図の特徴から、心機能の予測を行うようにプログラムされました。

 

こうしてトレーニングされたCNNを用いて、外部検証用に使用された52,870人の患者でテストを行ったところ、

感度、特異度、精度は、それぞれ85%、86%、86%の正確性で心電図変化から低心機能の症例を検出する事ができました。

 

さらに、心電図のAI解析で異常と判断されたが、その時点ではエコーの心機能は正常であった患者が、将来心機能低下するリスクは相対的に5倍程度増加すると推定されました。研究チームによれば、「心筋の代謝・構造の異常が、何らかの変化として心電図に現れ、AIが人間よりも早期の段階でこの変化を認識できることを示している」と指摘しました。

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☆ 個人的な感想を述べさせていただきます。

 

今回の発表は、Nature medicineという一流雑誌に掲載されている点で大きなインパクトがあるといえると思います。
医療界では、この【impact factorが高い】 = 【エビデンスの強い報告である】 = 【価値のある論文である】という考えがあり、

この考えの事を、Evidence Based Medicine (EBM)といいます。AI関連の論文がこういった雑誌に掲載されることは、医療界の大きなダイバーシティの1つあったと考えます。

僕ら医師は、新しいアイデアを世に広める手段として、論文を武器として使っているわけですが、今後こういったAI技術を利用した論文は新しい強力な武器の1つとして益々注目されるのだと思います。そこで、自分なりにどういったポイントを押させて、論文のテーマを考えていくのがよいか考察してみました。



・研究テーマを見つける上でのポイント:
① これまで人間(医師)の判断による影響を受けていたデータ (CT、エコー、心電図など画像情報が典型的)。
② これまでの医学で疾患との関連性が調べつくされたと考えられてきたデータを対象とする (例えば、心電図で虚血性心疾患の時にはSTが低下する、レントゲンでは肺炎は肺が白くなる。など)。
③ 人間(医師)には認識できない程度の小さなデータの変化を、記録数の多さを利用して炙り出すという考えを用いる (AIは、より早期の段階で変化を抽出できる、あるいはより微細な変化をキャッチできる。など)。


こういった発想をもって【AI×医学研究】を考えるといろいろな研究ができるように思います。
例えば【心不全では心拡大が起きる事が知られているが、AIではより早期の段階から将来の心不全発症を予測できる】【消化管内視鏡検査による前癌病変の診断制度はAIの方が医師よりも優れているかもしれない】など。もしかしたら既に研究結果が報告されているかもしれませんが、こういったテーマを選べば、現代の医学会に大きなインパクトを与えるエビデンスを築けるかもしれませんね。

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こんにちはMD.Kです。

今回取り上げるテーマは【Amazonのオンライン医療分野への進出が目覚ましい件】です。

Amazonが手掛けるオンライン遠隔医療システムは、すごい事になっています。

これは将来の医療システムを大きく変える可能性があると思います。

 

 

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最新ニュース:

① 【Amazon pharmacy】 処方箋薬一包化および搬送サービスを手掛けるPill packを買収

 

2018年6月、アマゾンは処方せん薬を飲むタイミングに合わせて個別にパックし、ディスペンサーに詰めて配送するオンライン薬局 Pill packを買収。現在はPill pack by amazon pharmacy というサービスで提供されています。

アカウントと処方箋情報があれば、ネット上で予約する事で、一包化(複数の薬剤を日付あるいは服用時間帯毎に一つの袋にまとめて入れる事)された薬剤が自宅に届きます。薬局に行く必要はなく、日本でも利用可能なようです。

 

② 【Amazon care】 オンラインのヘルスケアサービスを開発するHealth Navigatorを買収

 

2019年10月、AmazonはHealth Navigatorを買収。同社は2014年に医師のDavid Thompson(デビッド・トンプソン)氏によって創業されました。患者とのやり取りのプロセスを標準化する(診療過程標準化)ことを目指しており、健康に関連した訴えや治療内容などを自然言語処理ツールを用いて記録し、アプリに統合するシステムを構築してきていました。これらの技術は現在はAmazonの従業員向けにAmazon careというサービスで試用されてます。
 

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個人的な感想を述べさせていただきます。

 

① 【Alexa, 今日の薬は?】

これまで病院で処方された薬をもらう為には薬局に行き購入する必要がありました。特に高齢者の場合には医療機関の通院回数も多く、通院は高齢患者さんにとって大きな問題の一つでした。さらに認知機能障害なども伴った高齢者の場合には、服用間違いを防ぐ為に一包化(複数の薬剤を日付あるいは服用時間帯毎に一つの袋にまとめて入れる事)してもらう必要があったのですが、これも時間や手間もかかるという問題点がありました。アマゾンが今回pill pack社を傘下とした事で、特に高齢患者におけるメリットは上記の点の改善が期待できる点でとても大きいと考えます。さらにAmazonは2019年11月にはAlexaに処方管理機能を提供し、アメリカ大手スーパーマーケット Giant Eagleとの業務提携も検討されているようです。Alexaには服薬のリマインド機能や、処方箋の補充を管理させるプログラムが組み込まれており、【Alexa, 今日の薬は?】と問いかけると正しい服用方法を確認してくれたり、処方箋をもらいに行くようにアラートを通知したりしてくれるようになるのです。

 

【病院にかかる前にAmazon careに相談】

Health Navigatorの培ってきた診療過程標準化技術を利用・発展させる事で、遠隔で治療内容について相談する事ができ、医療機関への通院を最小限にすることが期待されます。これらの技術は、現在はAmazonの従業員向けにAmazon careというサービスで試用されてます。患者さん側から考えれば、いつでもどこでも自分の症状に対する治療計画を相談する事ができ、健康意識の向上や、早期の病院受診につながることが期待されます。また医療者側から見れば、医療費削減、無駄な救急要請の頻度減少、医療者の過剰労働防止などのメリットが期待できるかもしれませんね。

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アメリカで起きているこういったAI/遠隔医療システムの変化のインパクトを感じていただけたでしょうか。

今後病院通院の状況に起きるパラダイムシフトの例を二つあげてみます。

 

【Case1】: あなたは高血圧・糖尿病で病院に定期通院していたとします・・・

・これまでであれば【病院に通院、薬局で薬をもらう】というのが一般的ですよね。

・今後は【簡単な問診はAmazon Care】で相談し、必要時は病院へかかる。【もらった処方箋はPill pack by amazon pharmacy】で購入するので自宅で待機でOK。となるでしょう。

 

【Case2】: 朝起きたら、喉が痛いし咳がでるようになった・・・

・これまでであれば【仕事は休む or 遅刻/早退する】 → 【病院に通院、薬局で薬をもらう】というのが一般的でしたね。

・今後は【簡単な問診はAmazon Care】で相談。様子観察でよければ仕事には行ってしまう。受診必要であれば病院へかかる。【もらった処方箋はAlexa等にお願いすると、近くのスーパーから職場に薬が届く】ので、受診後は直ぐに仕事へ。となるでしょう。

 

のような感じになるかもしれません。国内ではまだこれらのサービスは完全に機能してませんが、利用できるようになる日は近いのではないでしょうか。最後まで読んでいただきありがとうございました、気に入っていただけた方はフォロワー登録をお願いいたします。