暖冬 | やるせない読書日記

やるせない読書日記

書評を中心に映画・音楽評・散歩などの身辺雑記
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朝は寒かったが昼から暖かくなる。去年は今頃雪が降ったのに。昼休み日の当たる窓際で読書をする。


「サド侯爵の手紙」サドには百七十九通におよぶ獄中書簡があり、これを任意に三十通澁澤龍彦がえら


びだしている。ほとんどはルネ夫人に宛てたもの。これを読むともう少しうまく立ち回っていればこんな目


に合わずに済んだのにと思う。二十五年も牢屋にぶち込まれていて死んだあとで聖侯爵なんていわれて


もねえ。と思ってしまう。なんとなく語り口が虐殺を行う相手に演説を垂れるサドの登場人物を思わせるから


面白い。お前の尻にねんごろに接吻する。という一筆がある。何を言ってんだかねこの人は。


仕事が終わりK町の歯医者さん。一週間後に金属をはがして中の様子を見るらしい。叔父さん、叔母さんが


入院しただの具合が悪くなったという話ばかり入ってくる。