39歳で突然亡くなった妊婦。医師の過失はある?【不妊治療分野の弁護士解説】 | 岩城産婦人科妊活ブログ

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早発閉経、難治性不妊、男性不妊、着床不全、不育症など得意。
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【 生殖関係の裁判例 】

妊娠中体調不良

 

倒れた女性が、

医師検査判断で、

帰宅となったが、

数日後死亡

 

何が起こっていた?

 

  
 
 

 

 

サムネイル

スーツ 解説を担当致します。

弁護士の、
甲野 裕大(こうの ゆうだい)
です。


【取り扱い分野】

不妊治療分野/離婚分野

・不妊治療クリニック顧問
・凍結胚トラブル
・精子提供、卵子提供
・不妊治療中の離婚
・不倫
など

 
 
 

 前回までのまとめ

 

 

⬜︎ 昭和50年うまれの女性Aは、

平成26年11月頃に妊娠が判明

 

 

【平成27年】

⬜︎ 2月18日 Y病院初診

 

⬜︎ 3月5日.27日 Y病院で妊婦健診

 

⬜︎ 4月12日 体調不良

Y病院に電話:「息切れと動機で辛い

 

⬜︎ 4月15日 「苦しいよ」と夫にメール

夫が帰宅すると会話はできる状態

 

 

⬜︎ 4月16日 倒れる 

 

Y病院へ行き、

C医師は不安だったが、

耳鼻科の受診を勧めた。

 

 

⬜︎ 4月21日 自宅で倒れているところを

夫が発見

 

Y病院に搬送されたが、

その日のうちに死亡

 

死亡時の年齢39歳

妊娠23週

 

 

【 裁判所の判断 】

 

まず1つは、

肺血栓塞栓症の可能性が考えられる。

 

 

 

 

以下、裁判所が認めた内容です。

 

 

 肺塞栓症は妊婦死亡理由の上位

 

 

⬜︎ 肺血栓塞栓症は、

一度発症すると、

重篤で致命的なので、

早急な対処が必要

 

 

⬜︎ 主な症状には、

呼吸困難、胸痛、息切れがある。

 

 

⬜︎ 急性肺血栓塞栓症の90%の方は、

症状から疑いが出て診断されており

日常臨床では、

このことを常に念頭におく事が必要。

 

 

⬜︎ 肺塞栓症を疑う場合は、

早急に診断するように心がけ、

リスクを持ち、

疑わしい症状がある場合には、

過剰診断を恐れることなく、

検査をする必要がある

 

 

⬜︎ 日本での妊婦・産婦の死亡は、

減少傾向にあるが、

肺血栓塞栓症は増加傾向にあり、

妊婦の死亡原因の上位を占めている

 

 

⬜︎ 妊婦の場合、

血流の停滞が起こりやすいとともに、

血液凝固能が亢進する

(血液が固まりやすくなる)

 

 

⬜︎ その為、

妊娠中の人の深部静脈血栓症の発症率は、

妊娠していない人に比べて、

5倍以上高く

妊娠は深部静脈血栓症の危険因子となる。

 

 

 

 18.肺高血圧症の可能性

 

 

⬜︎ 4月16日にあった心不全は、

肺血栓塞栓症の可能性がある一方で、

肺動脈性肺高血圧症」も、

妊娠可能年齢の女性に発症しやすく、

可能性がある。

 

 

⬜︎ 肺高血圧症は、

動脈酸素圧(PaO2)が正常か、

わずかに低い程度とする文献がある。

 

 

⬜︎ 女性Aには以下の様子があった

 

動悸や息切れの症状を強く訴えた

 

酸素飽和濃度が正常に保たれていた

 

下肢の血栓症の特徴である把握痛もなかった

 

発作は突発的でなく、

増悪と寛解を繰り返していた

 

CRP値(炎症値)が基準値を超えていた

 

死後CTで血栓が確認できなかった

 

上記の特徴は、

肺動脈性肺高血圧症と矛盾しない。

 

 

⬜︎ 以上からすると、

女性Aは、

肺血栓塞栓症だった可能性と、

肺動脈性肺高血圧症だった可能性がある。

 

 
 

 19.肺高血圧症とは

 

 


⬜︎ 肺高血圧症は、

特に原因となる基礎疾患を持たない高度の肺高血圧を特徴とする、

極めてまれな疾患で、

発症頻度は100万人に1~2人。

 

 

⬜︎ 安静時に右心カテーテル検査で、

肺動脈平均圧25㎜Hg以上。

 

 

⬜︎ 肺動脈性肺高血圧症は、

心不全が起こり得る。

 

 

⬜︎ 女性の方が、男性より2倍近く多い

 

 

⬜︎ 女性の発症年齢は、

妊娠可能年齢時に多いという意見と、

70歳代がピークという意見もある。

 

 

⬜︎ 初期では安静時の自覚症状はなく、

病気がある程度進行すると、

自覚症状として、

動いた時の呼吸困難、

息切れ、易疲労感、

動悸、胸痛、失神等が出る

 

 

⬜︎ 症状が出てきた時には、

すでに重症の可能性が高い。

 

 

⬜︎ また、高度肺高血圧症は、

労作時の突然死の危険性がある

 

 
 

 20.肺高血圧症の検査・予後

 

  

【肺高血圧症の検査】

 

⬜︎ 血液検査:
血液検査でBNPやNT-proBNPが上昇しているか見る。


 

⬜︎ 胸部X線写真:
右心房や右心室の拡張に伴って、拡大が認められる事が多い。

 

 

 

【肺高血圧症の予後】

 

⬜︎ 肺高血圧症は、

極めて予後が不良な病気だったが、

1990年以降、

効果的な治療薬ができて、

予後改善が見込まれてきている

 

 

⬜︎ 平成22年のフランスでの報告

 

1年生存率 89%

3年生存率 77%

5年生存率 69%

 

 

⬜︎ 平成24年のアメリカの報告

 

1年生存率 91%

3年生存率 74%

5年生存率 65%

7年生存率 59%

 

 

⬜︎ 平成20年〜平成25年のデータを集めた

日本の報告

 

5年生存率 92%

 

 

⬜︎ 最近の日本の報告(当時令和2年)

 

1年生存率 97.9%

3年生存率 92.1%

5年生存率 85.8%

10年生存率 69.5%


 

 
 

 21.死亡率

 

 

【妊娠に関する肺高血圧症の死亡率】

 

 

⬜︎ 平成10年〜平成19年に発表された

海外の文献

 

死亡率20%〜60%

 

 

⬜︎ 平成10年と平成24年に発表され

海外の文献

 

死亡率30%〜50%

 

 


⬜︎ 死亡率の高さから、

肺高血圧症の患者は、

妊娠は原則禁忌

 

⬜︎ 平成29年発表の日本の文献

 

肺高血圧症を合併した妊婦42例のうち、

18名が、

妊娠30週前後で中絶を行い

適切な投薬と、

麻酔管理等を行った結果

母体死亡は1例のみ。

 

  
 

 22.医師の過失の有無

 

 

裁判所は、

医師の過失の有無を検討した。

 

 

⬜︎ 女性Aは、

4月16日の時点で、

肺血栓塞栓症か、

肺動脈性肺高血圧症を、

発症していたと認められる

 

 

⬜︎ C医師は、

肺血栓塞栓症と心不全を疑っていた

 

 

⬜︎ C医師は、

血液検査の結果や、

鼻で呼吸して苦しさが増す為、

上気道閉塞かと考えた。

 

 

⬜︎ 当時のC医師は、

苦しさの原因を断定できず、

自分1人の判断で、

女性Aを帰宅させて良いか、

不安を覚えていた

 

 

⬜︎ 急性肺血栓塞栓症は、

死亡率の高い致死性の疾患で、

疑いを持った時点で

できるだけ早急な診断を心がけて、

過剰診断を恐れることなく、

検査を進める事が必要だった

 

 

⬜︎ 心不全も致死的な病気で、

その背後には、

様々な重大な原因疾患が考えられる。

 

 

⬜︎ 以上を踏まえると、

肺血栓塞栓症の確定診断の為に、

更なる検査をするべきだった

 

 

⬜︎ 具体的には、

造影CT、

肺シンチグラフィ、

肺動脈造影、

また、心不全が疑われた時の、

基本検査のNT-proBNPを測定すべきだった。

 

 

てんびん座 これらを指摘して、

裁判所は医師の過失を認めた

 

 
 
続きます。 
 
解説:弁護士 甲野裕大
 甲(きのえ)リーガル法律事務所
  

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文・イラスト:理事 岩城桃子  
 

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