皆様へのお願い
＊現在、DHEAとメラトニンは欠品してます。
お申し込みいただけません。
ご質問など頂く際に、
「匿名」様
「匿名希望」様
以外で、
お名前をつけてくださると幸いです。
匿名・匿名希望が多く、
過去にご質問頂いた内容が、
わからなくなってしまいます。
お手数おかけ致しますが、
なんでも良いので、
お名前をつけてくださるよう、
ご協力して頂けると助かります。
【 生殖関係の裁判例 】
妊娠中の体調不良。
倒れた女性が、
医師の検査と判断で、
帰宅となったが、
数日後に死亡。
何が起こっていた？
前回の記事
解説を担当致します。
弁護士の、
甲野 裕大(こうの ゆうだい)
です。
【取り扱い分野】
不妊治療分野/離婚分野
・不妊治療クリニック顧問
・凍結胚トラブル
・精子提供、卵子提供
・不妊治療中の離婚
・不倫
など
前回までのまとめ
⬜︎ 昭和50年うまれの女性Aは、
平成26年11月頃に妊娠が判明。
【平成27年】
⬜︎ 2月18日 Y病院初診
⬜︎ 3月5日.27日 Y病院で妊婦健診
⬜︎ 4月12日 体調不良
Y病院に電話：「息切れと動機で辛い」
⬜︎ 4月15日 「苦しいよ」と夫にメール
夫が帰宅すると会話はできる状態
⬜︎ 4月16日 倒れる
Y病院へ行き、
C医師は不安だったが、
耳鼻科の受診を勧めた。
⬜︎ 4月21日 自宅で倒れているところを
夫が発見。
Y病院に搬送されたが、
その日のうちに死亡。
死亡時の年齢39歳、
妊娠23週。
15.最初に倒れた日の血液検査
⬜︎ 最初に倒れた日、
4月16日に採血して、
凍結保存していた血液から、
4月28日に、
「Nt-proBNP」を測定したところ、
6312と高い数値だった。
医学的解説：BNPとは
「BNP」あるいは「Nt-proBNP」で、
わかる事は、
心不全についてです。
【心不全の可能性は極めて低い】
BNP：0~18
【心不全の可能性は低く、
必要に応じて経過観察】
BNP：18~40
【軽度の心不全の可能性あり、
精密検査・経過観察】
BNP：40~100
Nt-proBNP：125~400
【治療が必要な心不全がある可能性があり、
精密検査・専門医へ紹介】
BNP：100~200
Nt-proBNP：400~900
【治療が必要な心不全がある可能性が高く、
専門医へ紹介】
BNP：200以上
Nt-proBNP：900以上
＊女性Aの数値＊
Nt-proBNP：6312
16.裁判所：肺塞栓症の可能性
裁判所は、
以下の事を認定した。
⬜︎ 4月16日の時点で、
Nt-proBNPは6312で、
中等度以上の心不全の状態だった
と考えられる。
⬜︎ 「肺血栓塞栓症」は、
心不全を起こす疾患となり得る。
医学的解説：肺塞栓症とは
静脈で血栓(血のかたまり)が起こり、
肺の血管まで到達する病態。
血栓の他にも、
脂肪、空気、腫瘍などで、
肺の血管が詰まって、
肺塞栓症が発症する事もあります。
胸の苦しさ、痛み、
息のしづらさが症状となります。
医学的解説：肺塞栓症のリスク
肺塞栓症が起こりやすい要素は、
以下の事があります。
＜代表例＞
・飛行機やバスなどでの長距離の移動
・寝たきり
・妊娠
(特に年齢が高い時の妊娠)
・ピルの服用
・肥満
など
上記の項目は、
血流が悪くなりやすい状態で、
静脈に血栓ができやすい要因となります。
医学的解説：ピルと妊娠
不妊治療関連で言えば、
ピルの服用や、
エストロゲン製剤と黄体ホルモンの
服用の場面が多いです。
「血栓のリスクがあるならば、
ホルモン剤を服用しない方が良いか」
と聞かれる事があります。
しかし、
ピルやホルモン剤の服用よりも、
妊娠の方が、
圧倒的に血栓のリスクが高いです。
つまり、
不妊治療をしていなくても、
妊娠・出産を望む時点で、
残念ながら、
一定の確率で血栓のリスクは、
0にはなりません。
早期発見と早期治療が鍵
妊娠を目指す為に、
ホルモン剤を服用しなければ、
妊娠率は低い事と、
妊娠の方が圧倒的に、
血栓のリスクは上がります。
また、不妊治療をしていなくても、
妊娠・出産をしていなくても、
他の要素もあるので、
どう生活を送っても、
血栓発症のリスクは0にはなりません。
これらを総合的に考えると、
早期発見と早期治療を、
目指す事が良いでしょう。
17.裁判所が認めた事
⬜︎ 女性Aは、当時39歳の妊婦。
⬜︎ 妊娠は、
「肺血栓塞栓症」のリスク要因。
⬜︎ さらに、
「35歳以上の高齢妊娠」は、
「肺血栓塞栓症」の発症リスクを、
高める要因。
⬜︎ 4月16日の女性Aの症状の、
呼吸困難・息切れは、
肺血栓塞栓症の主要な症状と合致する。
⬜︎ 実際にＣ医師も、
当時、肺血栓塞栓症を疑っていた。
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