風邪やコロナに感染したら卵子の質は落ちる？(匿名様)

匿名様よりご質問頂いております。

※前回の続きです。

 前回の記事 

『胚盤胞の評価・詳細について（匿名様）』

 ご質問が載っている最初の記事

『【卵胞29㎜】過熟卵と周りの卵子への影響(匿名様）』

 院長の回答 

 前回の続きですね。

＂先生のブログで、

妊娠するには胚と子宮と半分ずつと知ったので、

早く移植したいところですが、

流産してしまった場合、

長くお休みになることもあるので、

正常胚が出るまで採卵したかったのが本音です。​＂

 前回までのブログでお書きした通り、

ＰＧＴ-Ａでは、

妊娠率・出産率は上がりません。

 ＰＧＴ-Ａ検査は、

流産の原因の可能性となり得るうちの、

ほんの一部となる、

染色体の本数に関わる検査です。

 その他の、

流産の原因や、

着床しない原因となるものは、

一切分かりません。

 つまりは、残念ながら、

ＰＧＴ-Ａ正常胚＝全てが正常な胚盤胞

ではありません。

 ご質問者様の場合は、

ＰＧＴ-Ａ検査よりも、

適した卵巣刺激の治療と、

妊娠率の高い移植周期の治療を、

一刻も早く行うことの方が、

圧倒的に重要でしょう。

 ＰＧＴ-Ａを受ける事や、

ＰＧＴ-Ａのみの正常胚となる事を、

重要視して目指す事が、

ご質問者様の妊娠・出産を、

最短にしてくれるとは思えません。

＂前回採卵が３月だったので次回は５月の生理で問題なければ採卵だったのですが、

先週から風邪を引いてしまい、

微熱が１週間続いています。

私は普段全く病気をしないので発熱したのが５年以上ぶりくらいです。

ということは、
普段より免疫が落ちているのかも？
と気になり、

コロナも気になるので今月の採卵はやめ、

体調を整え６月採卵と思ったのですが

年齢を考えると採卵すべきでしょうか？

もしくは移植すべきでしょうか？＂

 残念ながら、

発熱がある場合、

元々、移植も採卵も出来ない病院が多いと思います。

 また、現在では、

新型コロナウイルスの関係から、

発熱がある場合は、

来院のお断りや、

診察が出来ないという事も多いと思います。

 総合的に、

体調を整えてから不妊治療をした方が良いですね。

＂風邪や体調不良、

コロナだった場合、

卵子にもいくらか影響あるのではないかと

案じていますがいかがでしょうか？

またそういう身体の時に移植するのもよくないのではないか？と気になります。

年齢的に仕方のないことかもしれませんが、

少しでも卵子の質の低下を防ぎたい気持ちです。＂​

 風邪や体調不良が、

卵子の質にどこまで関係があるかは、

因果関係は認めれていないと思います。

 また、そもそも研究も、

なされていないと思います。

 なぜならば、

基本的に、

発熱となると採卵や移植は見送りになり、

あえて体調の悪い方を集めた、

研究はなかなかしないと思います。

 また、病院側が、

「発熱があるとキャンセルする」

というのは、

【卵子の質が悪くなるから】

という理由でキャンセルになる訳ではないです。

 その発熱が、

何の原因のものかわからない事、

また、発熱が悪化したり、

その他の症状も出てしまう可能性がある事、

など、

身体の健康を考えて、

キャンセルとなるのですね。

 コロナウイルスに感染した方を集めた、

採卵の研究もされていないでしょう。

 コロナウイルスに感染している場合も、

同様に採卵・移植は出来ません。

 これも、

卵子の質が悪くなるとか、

妊娠率が落ちるからではありません。

 命の危険を伴う事も充分にありますので、

コロナウイルスの治療が最優先です。

 続きます。

回答：院長　岩城雅範

文・イラスト：理事　岩城桃子

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