【43歳】年齢が高い場合、初めからPGT-Aする方が良い？(匿名様)

匿名様よりご質問頂いております。

※前回の続きです。

 前回の記事 
  

『【卵胞29㎜】過熟卵と周りの卵子への影響(匿名様）』

 追加の情報頂いております。

先生、お忙しい中、

メッセージご確認下さりありがとうございます。

②の記事内にありましたAMH0.5は

去年ではなく、今年の3月にはかった結果です。

③のFSHは薬を使ってない時でいうと

はじめての治療のD2の値かと思います。

FSH 10.5です。

取り急ぎ補足のみ送らせて頂きました。

宜しくお願いします。

 院長の回答 

 ご連絡ありがとうございます。

 すみません、

ＡＭＨ０.５は今年の数値ですね。

 ＦＳＨは、

薬を１ヶ月使わずにきた生理で、

生理２日目に１０.５ですね。

 Ｃｈｅｃｋ 

 ご年齢、ＡＭＨ、ＦＳＨと、

全ての項目で卵巣は低反応ですね。

 高刺激は避けましょう。

  ＰＧＴ-Ａについて

PGT-A希望でしたのですべて胚盤胞まで培養を目指し、

4個受精し2個胚盤胞になりました。

5日目胚盤胞（4BB）×１

6日目胚盤胞（4BC）×１

5日目胚盤胞（4BB）のみPGT-Aに出しましたが

3番モノソミーの異常でした。​

 ＰＧＴ-Ａの要件は満たしていますか？

 ＰＧＴ-Ａ検査とは？

 着床前診断のこと。

 受精卵の一部を採取して、

染色体の本数を調べる検査。

 ２回以上の繰り返しの流産をされている方か、

良好胚盤胞を２回以上移植して着床しない方が、

対象になっています。

＊抗リン脂質抗体症候群や子宮の形の異常など、

除外項目に当てはまると、

検査できません。

“今まで採卵２回のみで移植はしたことがありません。“

とのことでしたので、

「良好胚盤胞を２回移植して着床していない方」

には該当していませんね。

 流産を２回以上されていますか？

 不育症検査は受けた事がありますか？

 Ｐｏｉｎｔ 

 非常に重要な事としては、

PGT-Aでは、

妊娠率も出産率も上がらない

という事です。

 これは、

世界で最も大きい不妊症の学会である、

ESHRE（欧州ヒト医学会）でも、

日本産科婦人科学会でも、

発表している事実です。

 

PGT-Aをオススメする方

 不育症検査に当てはまらず、

繰り返し流産されている方です。

ご質問者様の場合は？

 ４３歳だと、

どうしても、

卵子の質は下がっているので、

PGT-Aで細胞を採取する事で、

本当は妊娠するかもしれなかった胚盤胞さえ、

ダメになる確率が、

他のご年齢よりも上がると報告されています。

 そのため、

４３歳以上の場合、

２回以上の胎嚢確認後の流産があったとしても、

かなりPGT-Aはリスクが上がります。

 Ｐｏｉｎｔ 

PGT-Aを受けられる要件を満たしていても、

ただちにオススメにはならない。

 特に、流産歴のない方には、

デメリットの方が大きいでしょう。

 PGT-Aは、

妊娠率・出産率は上がらず、

あくまで、

不育症検査に何も当てはまらず、

繰り返し流産される方に、

有効となり得る検査・治療です。

 不育症検査ならば、

胚盤胞にはダメージはないですが、

PGT-Aは胚盤胞に、

確実に、直接のダメージが加わります。

 流産予防の観点として、

「とりあえず受ける」とするならば、

不育症検査が良いでしょう。

 最終的には、

ご夫婦様のご判断ですが、

（要件を満たしている場合のみ）

ご質問者様の状態だと、

PGT-Aをするには、

非常にリスクが高いことは、

念頭に置いておきましょう。

続きます。

回答：院長　岩城雅範

文・イラスト：理事　岩城桃子

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