寅さんだけじゃ物足りない・・・・と言ったら怒られそうだが、イッセー尾形のシーンだけ観る積りだったので、もう1本映画を借りた。
(そう言いながら『知床慕情』も最後まで観たのだが)
まあ劇場公開時も寅さんは2本立てだったイメージだからね。
で、同時上映はこちら。
『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』
かなり古い映画だと思いながら借りた。
1999年公開だった。
アルバムはその2年前に出ていたようだ。
多分そのアルバムを聴いたことがあるんじゃないか、何曲かは聞き覚えのあるメロディだった。
ライ・クーダーをよく聴いていた時期はもっと若い頃だった筈だから、その時点で既に「懐かしのライ・クーダー・サウンド」といった感じだったんじゃないか。
それから更に20年近く経った訳だ。
この映画も多分細切れで観た気がする。
でも今回改めて観て良かった。
ライ・クーダーがキューバへ行って、現地の「忘れられしスターたち」とバンドを組む。
そのアルバムが世界的にヒットするのだが、そのヒットの後でライがキューバを再訪するところからこの映画は始まる。
メンバーの老ミュージシャンたちが一人ずつその人生を語るシーンと、彼らの演奏シーンを織り交ぜながら映画は進む。
実に淡々とした作りなのだが、ちょっと感動した。
老ミュージシャンたちのモノローグの内容は、いちいち覚えていない。
まあ乱暴に言ってしまえば、貧困、家庭的不幸、社会的挫折に彩られたクロニクル、だろうか(かなり乱暴だね)。
僕も字幕を追いながら観ていた訳じゃない。
彼らの表情、しゃがれた笑い声、しわ深い皮膚、背中の曲がった歩き方、煙草の吸い方、派手な化粧、それらがキューバの街並みや部屋の中の空気、海の風景などと醸し出す雰囲気、そして音楽。
全てを語る音楽。
最上級の音楽。
ライ・クーダーはいい仕事したんだなあ。
こういう映画は一人で観るに限る。
でなければストンプのマスターあたりとウィスキー飲みながら観るか。
いずれにしても女と観る映画じゃない。
いや、僕がそういう女を知らないだけか