かなり前になるが、『男はつらいよ』にイッセー尾形がチョイ役で出ているのを観たことがあった。
僕はイッセー尾形が好きで、若い頃はビデオで彼の「都市生活カタログ」をよく観ていた。
(その頃はもう新潟にいたので、残念ながら生の舞台は観たことがない。)
僕が観た『男はつらいよ』では、彼は医者の役だった。
寅さんとの絡みがなんとも面白くて、そのシーンだけはやけに覚えている。
イッセー尾形ファンとしては、チョイ役とは言えあの国民的喜劇スターと渡り合うのだから、実に晴れがましいシーンだった。
そして我らがイッセー尾形も上手いが、渥美清はさすがに年季が違うなあという印象だった。
あのシーンがどうしても観たくなって、ネットでイッセー尾形の出演している『男はつらいよ』を検索した。
竹下景子がマドンナの1987年公開『男はつらいよ知床慕情』だと分かった。
なるほど、これなら以前観た記憶がある。
堅物で不器用な獣医の三船敏郎が、スナックのママでちょいと粋な淡路恵子に惚れているという話だった。
映画が始まって5分でイッセー尾形の医者は登場した。
出て来ただけでもうその役作りに笑ってしまった。
「都市生活カタログ」を観るようだ。
そして寅さんの絡みはやはり強烈だった。
バカバカしいにも程がある。
イッセー尾形の出番は1分足らずで終わってしまうのだが、観てよかったなあ。
渥美清、或いは山田洋次はイッセー尾形を買っていたのだろう、シリーズでは他にも何度かチョイ役で出演しているらしい。
きっと渥美さんが芸をぶつけたくなる相手だったんじゃないかな。
このシーンも渥美清のアドリブとしか思えないオチだもの。
映画はちゃんと最後まで観た。
面白かった。
でもあのオープニング直後の1分間が、僕にとってのハイライトだなあ。