国公立の女子大学、女子高は性差別だという指摘が、憲法学者をはじめまことしやかに論じられている。
一見、正当性のある意見のように見える。
しかし、もしそれが正当なら、私立大、私立高でも、理由なき性差別として公序良俗に反して違法ということになる。
この議論は、戦後の教育が始まったころから取り上げられてきた問題だが、少なからずナンセンス感が漂う問題提起である。
おかしなことに、この女子大、女子高については、法律家の間でも違憲説が多数説らしい。
現在の国公立は、お茶の水女子大、奈良女子大、群馬女子大、福岡女子大の4校を残すのみとなっているという。
女子大、女子高が減る最大の理由は、学校経営の財政難だろう。
逆の意味で、希少な価値ある存在ともいえる。
その違憲説の論者の論説をいくつか読んでみたが、今一、女子大・女子高のどこが問題なのか一向に腑に落ちない。
国公立学校が、画一的に男女共学でなければならない理由は何なのかを逆に聞きたい。
自由主義の国での教育の場は、様々な種類の学び舎があっていいだろうと思う。
1.違憲論の根拠
その大方の違憲論者があげる理由の共通点は、ざっくり2つある。
1つは、女子大、女子高のもつ教育理念に、男尊女卑の性差別思想が色濃く残っている点を挙げる。
もう1つは、教育における男女別扱いは、生物学的区別とは何の関連もないので、憲法の禁ずる不当な差別に当たるとする点である。
(1) 国公立女子大、女子高の教育理念は、男尊女卑か。
違憲派は、「良妻賢母」という言葉に違和感を感じるらしい。
それは戦前教育の男尊女卑思想のの流れを汲むと言う誤った観念にとらわれているからだろう。
たしかに、戦前の男尊女卑思想では「良妻賢母」がうたわれたが、それは国家主義政策で都合よく利用された言葉に過ぎない。
「良妻」、「賢母」という言葉は、古代中国の史記や戦国策に出ているらしく、男尊女卑思想とは異なるものだろう。
この点では、違憲派の主張は、的外れと言えそう。
(2) 教育における男女の別扱いは、ホントウに、生物学的に関連性がないのか。
関連性がないと思い込んでいる人は、情報がかなり古い。
最新の脳科の実証データによれば、男と女とでは、脳の構造も違えば、その能力も違うという報告があるという。
つまりは、男子より女子の方が、頭がいいというデータらしい。
男はバカで女は利口と言えば、身も蓋もないが、そういうことらしい。
このことは、生物学的な身体の構造の違いは、別扱いをする合理的理由となりうると言える。
この実証データは、個人的経験-予備校時代の指導経験-からも大いに頷けるものがある。
2.法律論ではどうか。
憲法学的に、違憲合憲をいうときに「合憲性判断基準」というものがある。
学者によって多少表現の違いはあるが、「合理的関連性の理論」を持ち出す人もいる。
しかし、この事件の場合はその理論を持ち出すまでもない。
この男子受験生の訴訟提起の理由を見てみると、「家庭の経済的理由で希望の学部が福女しかない」という極めて個人的恣意的にすぎない。
大上段に構えて「性差別による平等権違反」を主張するには、余りに普遍性に欠けるように感じる。
希望学部のある他の大学を受験するのは、個人的経済的理由から現実的ではないからと言って、果たして「人格権の侵害」とまで言えるかどうか、疑問がが残る。
国公立の女子大、女子高があるのだから、国公立の男子大、男子高を作れと言うのなら、まだスジが通る。
法律論的には、個人の都合、個人の好みという程度の男女の区別は、違憲とまでは言えないだろう。
また、教育政策論的には、反社会的な性格さえなければ、いろいろな種類の学び舎があっていいし、またそうあるべきだろう。
どこでどう世の中に貢献できるか想像すらできないところに、学問研究の奥深さがある。
女子校の歴史的意義は、どうでもいいし、また、何でも男女共学というのも面白味に欠ける。
国公立でも、女子大、男子大など色々あっていい。
中から"ウサギ"が飛び出すかもしれない。
文科省にも大いに 小さくてもいいから多様な学び舎の設立を奨励してもらいたい。
3.現実にはどうか。
ちなみに、この男子受験生が、オカマちゃんなら話は変わってくるだろう。
今や社会問題となっている「性同一性障害」という妙なネーミングをつけているが、この呼び方には違和感がある。 特に「障害」という文字は気になる。
世の中には、経済的理由で、進学できない子。
働きながら、調理師の専門学校に通う未成年の子たちもいる。
この20歳の男子受験生の生活環境は、この記事からはわからないが、大学進学できる程の経済的環境ではあるのだろう。
だとすれば、その言い分は、憲法の「自由権、平等権」をはき違えてはいないだろうか。
疑問が残る。
『男子だけど女子大で勉強したい!「公立女子大」が男子入学を認めないのは憲法違反? 弁護士ドットコム 2014年11月20日 16:56
男子だけど女子大に進学したい――福岡市にある公立大学・福岡女子大に入学願書を受理されなかったとして、福岡県在住の20代の男性が大学を相手取って、受験生の地位があることの確認を求める訴訟を起こす。そんなニュースが報じられ、議論を呼んでいる。
報道によると、男性は栄養士の免許を取得するため、カリキュラムがある福岡女子大の「食・健康学科」の社会人特別入試に出願したが、受理されなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・(弁護士ドットコムニュース)』(blogos)
http://blogos.com/article/99333/
◆平成16年2月
衆議院憲法調査会事務局
『 26条1項 教育における平等 教育基本法(昭和22年)
○国公立の女子大・女子高
「・・・・・・・・・・・明治憲法の下においては・・・・・・・・・・・・・、東京女子高等師範学校、奈良女子高等師範学校などが女子教育のために果たした役割は大きかった。
これらの学校は戦後、それぞれお茶の水大学、奈良女子大学として国立大学の系列に入ることになったが、戦前の伝統を受け継ぎ、男子の入学を認めていない。
これは不合理な差別ではないかが、よく問題とされる。
一定の時代的制約のなかでその有していた意義を現代に受け継ぐものだといっても、国立大学の門戸が形式的には完全に平等に女性に対して開かれている今日、その取扱に合理性を見出すことはかなり困難である。
・・・・・・・・・・・・・・・」
(阿部=野中『平等の権利』 129-130頁)』
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/chosa/shukenshi038.pdf/$File/shukenshi038.pdf