ダーティダンシング | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

1987年 アメリカ
監督: エミール・アルドリーノ
原題: Dirty Dancing
 
 
秋のミュージカル祭りも後半なので、ガンガン本命登場しますよ~。BBC版「高慢と偏見」とか「Emma/エマ」とか「バーレスク」とか、その他にもちょいちょい、私が20代半ば~30代前半くらいの思春期(笑)の時代に悩んだり落ち込んだり、バイオリズムがローな時に心の栄養補給に繰り返し観ていたビタミン映画がこれまでにも登場しましたが、その中でも老舗中の老舗(←?)、大御所かつ不動の作品がコチラです!まぁ、ミュージカルっていうか「フラッシュ・ダンス」の流れを組むダンス映画ですけれどね^^;、そこは今回の祭りでの拡大解釈適用で堂々のノミネートです、ハイ(*'ω'*)。
 
私が初めてこの映画を観たのは学生時代、映画好きな後輩の家に遊びに行った時に彼女のおススメってことでレンタルで観ました。その時は既にパトリック・スウェイジが「ゴースト/ニューヨークの幻」は「ハートブルー」で成功した後だったので存在は知っていましたが格別これといって・・・という感じだったのが、この映画で踊るスウェイジにガツンとやられてもうゾッコンに。彼が元々バレエ・ダンサーだということも、こんなに素敵に踊れるということもこの映画で初めて知りました。・・・って思い返してみると、何気に昔から「踊れる人」ってのが私の琴線だったのかもしれませんね~。
 
 
キャストも抜群で胸キュン間違いなしの青春映画、そして何より60年代のオールディーズな感じのヒット曲の数々とそれに合わせた演出とダンスの振付、衣装がたまらない作品です。その当時を生きていないのに”懐かしい~”って感じちゃうから不思議です。(*'ω'*) 近代化に向けて時代の価値観が様々に変化していくアメリカで、純情ないい家庭のお嬢ちゃんが家族と夏の休暇に出かけた山荘で新しい世界に触れて、社会の理不尽や矛盾を知り、初めての恋を通して成長する物語です。「純粋さ」の「喪失」ではなく、「再発見」の物語なんだと、パトリック・スウェイジが後に語るインタビューでの言葉が印象的でした。
 
 
外科医の父親と優雅な専業主婦の母親に大切に愛されて育った、家族から未だに”ベイビー”と呼ばれる未来を夢見る初心な次女役に抜擢されたジェニファー・グレイが、本当にピュアで可愛くてベイビーそのもの!「フラッシュ・ダンス」のオーディションで惜しいところで役を逃してしまった彼女がリベンジを目指してオーディションにトライしたそうです。近いうちこのブログにも登場する往年の名作「キャバレー」でオスカーを獲得した俳優ジョエル・グレイの娘さんだそうです(*'ω'*)。そんな訳でダンスの訓練を受けたことはなかったけれど、生まれ持った素質アリ。スクリーン・テストの時点でお互いフィーリングは完璧だったと、スウェイジも語っていました。
 
 
山荘のオーナーの孫息子、通称「チビボス」 のニール(ロニー・プライス) が丁度年頃が合うからという理由で周囲の大人たちはやたらとチビボスとベイビーを突き合せようとお膳立てするし、勘違いキャラのチビボスがちょっと鬱陶しいけれど露骨に無視できないいい子なベイビー。チビボスのイタい発言やダサい行動の数々、役者的にはオイシイに違いない( *´艸`)。
 
 
チビボスから解放されてヤレヤレ、と山荘をお散歩している時にバックヤードでオーナー(チビボスのお祖父ちゃん)が従業員を差別的に扱うシーンを目撃してしまいます。曰く、従業員には2種類あってきちんと制服を着こんで礼儀正しくテーブルサービスをするウェイター達にはアイビーリーグの学生などの顔と素性の見栄えのいい男子学生を選び、親と来ている裕福な娘達をせいぜいときめかせてやれ、と斡旋する一方でダンスやリクリエーションなどの娯楽係りはクズ扱い。客と私語を交わすことすらならん!の態度。大人の嫌な部分をみちゃったベイビー。
 
 
メインホールで宿泊客達がバンド演奏に合わせて思い思いにダンスを楽しんでいると、エンタメ・スタッフのジョニ0(パトリック・スウェイジ)とペニー(シンシア・ローズ)が現れてデモンストレーションする姿にウットリ、圧倒されるベイビー。なんて素敵で完璧な大人の2人なんだろうと、憧れの視線。今までのベイビーの人生で出会ったことがない世界の空気をまとった人たち。
 
 
ベイビーの社会見学ツアーはまだ続きがありました。ジョニーの従兄妹のビリー(ニール・ジョーンズ)についてスタッフ専用エリアに足を踏み入れると、そこでは表でのフォーマルなダンスとはあまりに違った、セクシーで情熱的なダンスに興じるスタッフ達の姿が。当時「ダーティ・ダンシング」と呼ばれていた、男女が身体を密着させてセクシャルな動きをしながら踊るマンボでした。ベイビーには刺激が強くてびっくり。
 
 
ところで、この↑ジョニーの従兄妹のビリー。ベイビー一家が山荘に到着した時からベイビーに軽くアピールしていたり、この従業員専用のダンスホール(本来は多分倉庫)へも「俺のツレさ」顔だったり、ジョニーを「俺の従兄妹なんだゼ」と自慢したり、ぜったいベイビーに気があるでしょ( *´艸`) な素振りありまくりなのに、最初から最後まで全くカスリもせず、あっという間にジョニーに持って行かれてしまう可愛そうなボクちゃん、でもいじけず文句も言わない良い子ちゃんで何気に目をかけたくなるキャラです(笑)。
 
 
もうこの映画、好き過ぎて、何度も何度も観すぎていて、伝えたいことが溢れすぎてワンシーンづつ解説入れかねないほどなので、もうこの後のあらすじ説明もコンパクトにまとめることも放棄して、特に好きなシーンをいくつかダラダラとピックアップするだけという暴挙に出させて頂きます、ごめんなさい。ダーティ・ダンシングをドギマギして観ていたベイビーにジョニーが指をクイクイってして誘う↑シーン、好きです。このジョニーの指クイっと同時発生のこの表情!この映画で何度か登場しますが、初めて一緒に観た後輩も私もドハマリして、この後しばらく「ジョニー顔で指クイッ」の物まねが2人の間で流行りました(笑)。
 
 
事情あって、近くのホテルでのダンスショーの仕事にペニーの代役で踊ることになったベイビーの短期集中特訓が始まります。ペニーがベイビーの後ろについて振付を指導しながら↑だったり、ペニーとベイビーがワンツーマンで練習したりのシーンは、格好いいしちょっとドキドキします。どんなダンスも自由自在のパトリック・スウェイジ=ジョニー、「フラッシュダンス」で注目された元々歌手でダンサーの経歴をもつシンシア・ローズ=ペニー、正式なダンスの訓練は受けていないけれど筋の良い発展途上の初々しいジェニファー・グレイ=ベイビー、三者三様各自のキャリアと役柄がそれぞれのダンスに表現されていて、練習風景だけで一篇のドラマを観ているかのようです。
 
 
ダンスといえば、休憩時間やフリータイムにも各自でダンスや演技の練習に熱心な現場だったようで、そんな時のスウェイジやジェニファーのアドリブ・ダンスのセンスが良くて本番に取り入れられた動きも沢山あるんだとか。私も大好きなこの↑シーンも、きっとそんなアドリブから生まれたに違いないと思っています( *´艸`)。 ミッキー&シルヴィアの「Love Is Strange」という曲の途中にあるセリフ部分を2人が口パクするんですが、ちょっとじゃれあいの喧嘩から仲直り~でアツアツ♡な2人の状況と曲の歌詞がマッチングしてとっても素敵なシーン♪
 
 
アドリブネタでもう一つ。ペニーの代役ダンスの振付の練習の時に、この↑ポーズからジョニーがベイビーの左腕から脇、腰と身体の左側のラインに手を滑らせるんですが、ジョニーの指がベイビーの脇に触れる度にくすぐったがって笑ってしまって全然練習にならないというシーンなんですが、これは台本にあったものではなくて実際に撮影時にジェニファーが本当に笑ってしまって進まなかったのを、そのまま本編に採用されたそうです。後のインタビューでスウェイジが「あの時は本当に腹が立った。いい加減にしろ真面目にやれって思ったよ」と苦笑しながら語っていました。映画での、ジョニーの「マジ、勘弁」顔は演技ではなくリアルだったんですね^^;。
 
 
育った環境もそれまでの価値観の違いも乗り越えて互いに自分にない相手の良さに惹かれて幸せなひとときを過ごすジョニーとベイビーですが、世間的には認められない関係。本人たちも、ラブに酔いしれながらも現実の壁にぶつかってもがきます。この夏が終わってからの2人について気になるところですが、何も語られず。幼稚なロマンティシズム的にはその後も愛を深め続けて障害を乗り越えて・・・って夢想したりもしますが、まぁひと夏の思い出なんだろうなぁ(*'ω'*)。
 
 
湖でのリフトの練習シーンも、印象的。当時はダンス映画といえばスタジオ撮影が当たり前だったところ、この映画ではそんな常識を覆す様々な試みがなされていたとのこと。確かに。野外でのダンスシーンとか、丸太の上での練習とか、斬新だったのかも。ダンスシーンの吹替えナシ、というのも当時では珍しいことだったようです。
 
 
そして、何十回観ても、何年経ってもいっかな色あせない最高に感動的なラストのダンスシーン!iPodに落として持ち歩いて、四六時中眺めていた時期もありました(笑)。このシーンを思い出せば自然とビル・メドレーの名曲「(I've Had)The Time of My Life」が、曲をほんのワンフレーズでも耳にすればこのシーンが条件反射で甦るパブロフの犬状態(*'ω'*)。
 
 
最高に格好いいジョニーの見せ場ですが、撮影当時スウェイジは実は膝を痛めてしまっていて、このシーンもカメラがまわっていない時には激痛に顔をゆがめて耐えながらの撮影だったそうです。そんな素振りがカケラも感じられないプロ根性、完璧主義に脱帽しかできない。そりゃ、普通の人と違うわけですよね。才能の上にさらに覚悟と努力と根性が違いすぎるんですもの。
 
 
名優ジェリー・オーバックとケリー・ビショップによる夫婦役、両親役もとても素敵でした。前後しますが、この↑後ベイビーがジョニーと舞台で踊る姿を観たママが悲喜こもごも感無量なパパに「I think she took it from me(私に似たのね)」とウフフ♪な一言が大好きです^^。
 
 
忘れちゃいけない、ホントに実の姉妹なの?な「世界を飾る(Decolate the world)」のが宿命のベイビーの姉、リサ(ジェーン・ブラッカー)もかなりイカしてます。その自意識過剰さとかイタい勘違いっぷりとかKYなヌケっぷりとか・・・でも、最後は優しい姉心で妹をいたわる一面も見せてくれたり。集めの前髪と太眉も込みで愛すべきキャラクター。ついでに、この↑背後でリサのビキニ姿にニマニマのお金持ちジジィもどうぞ笑ってやってください(笑)。
 
ふぅー。写真も山ほど、そしてとりとめなくダラダラとダベるトーンでのブログ記事、大変失礼いたしました(>_<)。ウザいくらい好きなんだな、この映画・・・というのだけは伝わったことでしょう^^;。後年、舞台をハバナに移してのリメイク映画も製作されてテレビ放送をチラっとだけ観たけれども、いやいやいやいや。決してこの映画は真似できない、越えられません。何度観ても、こうして思い出すだけでも、一瞬で気持ちをワープさせて最初に観た時の感動や、悲しくて辛いことが合った時にループして観続けた頃のほろ苦い思い出や、大好きなシーンに元気をもらった瞬間に立ち戻れる、私にとってシェイプレスなタイムマシンのような映画です♪特典映像にある、怖らく20周年記念だかの時に収録されたと思われる生前のパトリック・スウェイジのインタビューも久しぶりに観ましたが、涙が出そうになりました。
 
私のダーティ・ダンシング愛がウザすぎて本文読む気になれなかった方も、とっておきの名曲・名シーンは是非ご賞味くださいませ^^;。まずは本文でも紹介した大好きなアドリブっぽい掛け合いのシーン。「Hey, Lover boy」の掛け声が一生忘れられません。素敵ステキー。招かれるチビボスにもご注目(笑)。ところでパトリック・スウェイジって作詞作曲もできるってご存知でせいたー?この映画にも彼の曲が採用されているんです!ラスト近くの重要なシーンで流れる印象的な曲「She's Like the Wind」。最後は勿論!ラストの「(I've Had) The Time of My Life」ダンス・シーン♡これだけで10回はループいけます(*'ω'*)。
 
 

 

 

 

 

 

 

 
最後までお付き合いいただきありがとうございました<(_ _)>。
他にもまだ書きたかったネタはいくつかあるのですが、またいつか別の機会があればということに(苦笑)。