Emma/エマ | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

 

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1996年 イギリス
ダグラス・マクグラス 監督
原題: Emma


ちょっと先週あたりから夏バテ気味で体調がイマイチ・・・で週末は寝込みがちで、あまり本を読む気力もなくて。そんな状態が続くと気持ちもドンヨリ・・・久々になんだかモヤモヤするなぁ~やだなぁ。と思ったので。7月のまとめ記事でも予告したジェイン・オースティン祭りを始めちゃおうっと(*‘ω‘ *)。で、私の中でジェイン・オースティン作品の映画化といえば、この、グウィネス・パルトロー主演の「エマ」!どうせならいっとうお気に入りの映画から始めましょう~♪20-30代半ば位までの思春期(笑)のドンヨリやモヤモヤや肉体疲労時にほんっとうにヘビロテして癒されて元気をもらった大切な映画。随分お久しぶりです(´ω`*)。

ちなみにジェイン・オースティンについては、BBC版「高慢と偏見」を紹介した記事で軽く書いてありますので、もし興味あればご参照ください^^。Jane Austen、日本語表記にする場合は「ジェーン・オースティン」と「ジェイン・オースティン」の2通りありますが、近頃は映画でも書籍でも日本語に翻訳する際には「ジェイン」とする方が一般的のようなので、時代の流れに迎合して過去記事も含め全て(と思う^^;)「ジェイン」に修正、統一しておきました。まぁどちらでもよいのですが、何となく揃ってないと気持ち悪いし何かでブログ内検索するときにひっかからないのも面倒なので・・・。さて。



物語の舞台は19世紀のイギリスはサリー州にあるハイベリーの街。裕福な家の一人娘、エマ(グウィネス・パルトロー)の元家庭教師(グレタ・スカッキ)と街の名士ウェストン氏(ジェームズ・コスモ)との結婚式から始まります。エマは、2人の結婚は自分が取り持ったと鼻高々。嬉しさと誇らしさの反面、早くに亡くした母親代わりでもあり大親友でもあった存在を失ってしまった寂しさを紛らわすため、次なるカップルを成婚させる恋のキューピット役をかってでようと張り切ってターゲットを探します。



エマ・キューピットのターゲットにロックオンされたのは、新しく知り合ったお友達、ハリエット(トニ・コレット)。どこかの紳士の私生児のハリエットは家庭教師の家で養女として育ちましたが、心根が素直で純真。そんなハリエットにすっかり夢中になったエマは、自分の導きでハリエットを素敵な淑女として磨き上げて立派な良縁を見つけてあげよう、と張り切ります。ハリエットもすっかりエマを崇拝して、何でもエマの言葉に従順に従います。

それまでの生活で十分満足していたハリエットですが、エマのお陰で社交界に触れ、焚きつけられ、せっかく兼ねて気になっていた立派な農家の青年から求婚されたのにソデにして紳士階級の男性との結婚を夢見てしまうのが、ちょっとばかし痛々しくて哀しい(T_T)。でも安心してください。ちょっと新しく触れた世界のまばゆさに目がくらんで惑いますがハリエットは常にハリエット、哀しい思いも経験しますが最後はちゃんと、本当に自分が望む幸せを手に入れます。現実にも沢山いるハリエットたちは、たいてい、気が付いた時には手遅れパターンだから本当によかった~と思います(´ω`*)。



エマがハリエットのお相手にと最初に照準を定めたのは「あの人は中々立派な紳士だね」と世間の評判もある牧師のエルトン氏(アラン・カミング)。八方美人なエルトンは、エマと一緒にいるハリエットにも優しい言葉をかけるのでエマはすっかり「これは脈あり!」と思い込んでさんっざんハリエットをたきつけるのですが、実はエルトンの狙いは街で一番財産のあるエマ。超打算的で俗物な薄っぺら男なのでした。エマとその父親に取り入ろうと一生懸命だから、必然、エマの横にいるハリエットもその場に居合わすことが多いだけ。当然、この歪んだ勘違いの空回り連鎖はこの後ゴタゴタを引き起こします。あーあ(;^ω^)。

ところでエルトン氏を演じるアラン・カミングを検索したら出てきた近影の画像を観てオヤ?!なんと「バーレスク」で端役ながらもめっちゃ印象深い、エントランスの会計係りのアレクシスを演じた人でしたΣ(・ω・ノ)ノ! ビックリ。


こちら↑がバーレスクの時。えらいキャラ変わってるやんΣ(・ω・ノ)ノ!
っていやまぁ、役柄ですけれど^^;。それにしてもビックリ。若い頃はなんか可愛い感じだったのだな、と比べると思います。


ちなみに素顔だとこんな↑感じ。年齢重ねてシャープに、いい感じに渋いおじさまになりましたよね~。ちなみにご本人バイセクシャルで、女性と結婚していたこともあるけれど今は男性のパートナーと同性婚で、LGBT界をザワザワさせているらしいです。思わずビックリ発見の余談でした。本編に戻ります^^;。



ゴタゴタあった結果、あっさりハイベリーの狩場を捨てバースに河岸を映したエルトンは見事に狙いの財産、いやご令嬢を妻にして大手を振って凱旋(笑)。この奥さん(ジュリエット・スティーヴンソン)がまた、お似合いすぎるほど見事な俗物でイタい勘違い女で中々笑えます。エマに焚きつけられたお陰ですっかりエルトンに恋した気分になっちゃったハリエットは本当にお気の毒としか言いようがありませんが、エマの勘違いと思い込みがもたらすハリエットの受難はまだ続きます(;´・ω・)。頑張れハリエット、最後はハッピーエンドだからね~^^;。



中々に出し惜しみをしておりましたが(笑)、エマには既に嫁いでいるお姉さんがいます。その、お姉さんの旦那さんのお兄さん、つまりエマには義理の兄であり幼馴染で生まれた時からずっとエマを見守ってきた大切な存在が、誰もが憧れる紳士の中の紳士、ナイトリー(ジェレミー・ノーサム)。年の差16歳。どう考えてもバレバレだからネタバレしますが、最終的にはこの2人、結ばれます。生まれた頃からずっと側で見守って大人になるのを待って・・・源氏物語の光源氏と葵上、あるいは一条ゆかり先生の漫画「砂の城」のナタリーとフランシス(息子)パターン。しかも22歳と37歳。若く可愛く機知に富んだお嬢さんと年上の大人の男性って、典型的な理想パターン( *´艸`)。

しかも演じるのが、この↑お二人ですから~。もう、どっちもキラキラ、ピカピカ、ツヤツヤ♪特にグウィネスに関しては、私、この映画と「恋に落ちたシェイクスピア」の彼女が大好きなんです。グウィネスはこの映画が初主演だったそうですが、ほんっとうに可愛い!(*‘ω‘ *) 細くてすっと長い首筋からデコルテのラインがもの凄く綺麗で、もちろん彼女の容姿やほっそりした体型が100%引き立つ衣装デザインのお陰もありますが、クラシック・コスチュームが本当によく似合います♡

エマって、ヘタに演じちゃうと、ただの思い込みが激しい世間知らずのジコチュウ女子で、イライラさせられちゃうと思うんです。「低い階級の方には優しくしようと努めている」とか「(ハリエットがほんのり恋心を抱いていた農夫のことを)あぁいう農家の方とはお付き合いがないの」とか「裕福な独身女性は尊敬されるのよ」とか鼻持ちならない台詞も多いのですが、それはエマの性格を表わすものというより、ガッチガチの階級社会があった時代の一般常識なので。他にも色々、現代の感覚では「あぁん?」はありますが、古典を楽しむにはいちいち反応するべきところではありません(´_ゝ`)。

少々話がそれましたが、ちょっとエマ、あんたそりゃダメでしょと思うような発言や行動があっても、グウィネスが演じていることでケンが立たず可憐でキュートに見えちゃうし、もっと沢山あるエマの美質、思いやりがあって優しい心を持っているとか、正直で誠実なところとか、上流階級の務めである施しや貧しい家の病人看護なども心を込めて嫌な顔せず笑顔でこなすとか、自分より友人のことばかり考えるとか(まぁ最後は自分の幸せ優先しちゃいますけれど、そこはしかたがない^^;)、自分が間違っていたと気が付いたら素直に反省し、謝罪できるところとか、そういった元々備わった良さがしっかり浮き彫りに見えてくるのです。だから、エマを嫌いになれないし、むしろ応援してしまいます。これは、このグウィネスが演じてからこそだと思うのです。



それにナイトリー!もう、ナイトリー、ナイトリー、ナイトリー!(笑) 素敵すぎて目が♡になります。エマが羨ましすぎる。でも、エマだからわかる、しかたがない(笑)。ヒュー・グラントでもコリン・ファースでもこの役はハマったと思いますが、グウィネスと ジェレミー・ノーサムのペアは最強です。最後の、2人で散歩する(お互いちょっとづつ勘違いしているのがまたもどかしくてたまらん(笑))シーンは、心が荒んでる時には(苦笑)何度も巻き戻して素敵な絵空事パワーのプラスオーラを補填していました。相当しんどい時期があったんだな、自分・・・と懐かしく恥ずかしく思い出されます(;´∀`)。



その他、個性的な街の住人たち。古くからのお馴染さんと、新しい刺激剤入り混じって物語をテンポアップし、おもしろおかしい騒動を巻き起こします。両端は没落して貧しい暮らしをしている未亡人のベイツ夫人と、持参金がないため結婚もできずオールドミスとなり母の面倒を1人で観ている、人はいいんだけれどちょっとあの人鬱陶しいのよねと遠巻きにされがちなミス・ベイツ。真ん中は街の人たちの噂の主人公、ミス・ベイツの自慢の銘で後見人のキャンベル夫人が病気のためベイツ母娘の元に休暇にきたジェーン・フェアファックス(ポリー・ウォーカー)とウェストン氏と前妻の息子で叔母が猫かわいがりして手放さなかったフランク・チャーチル(ユアン・マクレガー)。

何気にユアン・マクレガーが出演してるんですよねΣ(゚Д゚)。でも、何度観ても毎回、観おわってから「あれっそっか、そういえばユアンだったんだっけ・・・」と気が付くという^^;。ユアン、好きなんですがねぇ。ウェストン氏に届く手紙を通していったいどんな青年か皆が興味津々のアイドルがついに登場、想像したとおりの明るく社交的なハンサムで、エマのことが好きかのようなそぶりを見せながらとんでもないことしでかしてくれちゃうフランク。役柄的にも魅力的で目を惹くはずのキャラクターだし、ユアンだし、キラリと光ってしかるべきなんですが・・・なんでだろう、ウソみたいに光らない摩訶不思議(苦笑)。ナイトリー様に目がくらんでいるからかもしれませんが(笑)、それにしても・・・の謎なんですよねー。皆さんどう思います?ってアンケートとってみたい(゜.゜)。



最後にしつこいようですが(笑)、もうひとつ好きなシーンをリフレイン。エマとナイトリーがお庭でアーチェリーをたしなんでいるシーン。景色もきれいだし、2人のやりとりも気の置けない兄妹兼親友みたいな2人の関係性もよく表れていて楽しいです。エマのドレスと髪型も超キュート。ハリエットの縁組のことで意見が相違してナイトリーはたしなめるんですが、エマはプンってふてくされちゃったりもして。

ナイトリーが自分と違う意見だったことにムシャクシャして気が動転したエマが放った矢が大きく的を外れて、側で寝転がっていたナイトリーの飼い犬がびっくりして逃げていくんですが、ナイトリーに腹たつわ的は外れるわでムッツリ顔のエマをチロって観て「Try not kill my dogs.(僕の犬を殺さないでくれよ)」とプチ嫌味を言ったもののたまらずフフって笑っちゃう時の、ナイトリーの表情がたまらなく素敵なんです( *´艸`)。生意気でも跳ねっかえりでもどんな態度とられてもどうしようもなくエマが可愛くて憎めない、愛さずにいられないナイトリーの気持ちがダダモレ顔です。ぜひご注目^^。

濃ゆい時は一週間に10回くらい(部分とばし見も含め)観ていたこともありますが、今回は数年ぶり。やっぱり大好き。そして、平和でハッピーな映画はやっぱり癒してくれるし、元気をくれます。お陰で、ドンヨリ体調もだいぶ回復した気分に♪有難う、ジェイン・オースティン、有難う、エマとナイトリーの巻でした(*^-^*)。