『どちらかが彼女を殺した』 東野東吾 著 | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

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備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

 

 

 

うっかりすっかりご無沙汰してしまいましたが、久々に。前作『悪意』に続く加賀恭一郎シリーズ、第4の事件。

 

悪意』では、だいぶ最初の方に犯人が逮捕されて(しかも誤認逮捕とかではなく本当に犯人で)、残りはなぜ彼が犯行に至ったかを探るミステリー仕立てだったのが新鮮な驚きでしたが、今回もやってくれています。今度は、ミステリーの王道っぽく最後まで真犯人が解からない。というか、最後が終わってもはっきり明示されず読者の推理に委ねられるって・・・!出版時に大騒動になったようです。出版社に読者からの問い合わせの電話が殺到して、電話対応の模範解答集が急遽配布されたとか(巻末の解説より)・・・。しかし、さらに文庫本化の際に元々あったあるたったひとつの単語が削除されることでさらに一段と難易度がアップされたそうですΣ(・ω・ノ)ノ!

 

もひとつ斬新だったのが巻末の「袋とじ解説」。ミステリ研究所の所長と助手の会話という形式で犯人推理のヒントが提供されています。最初文庫本を手にした時にはなぜ袋とじ?切るの面倒くさい・・・(←苦笑)と思ったのですが、読み終わったらフムフムなるほどねぇとすっかり感心(笑)。そして、正直に告白しますと、どちらが犯人か?の推理にあたってクライマックスの場面である文章に引きずられて「そこだ!てことはこうだ!」と結論に飛びついたのですが、本来の推理の道筋からちょっとズレていたらしいことに袋とじヒントで気が付きました(;^ω^)。

 

ま、まぁ道筋はひとつだけが正解じゃないし結果的に同じ事実に到達できたんだからそれはいいとして、何となく気が向いて後からネットで色んな人のネタバレ記事や推理記事を読んでいて愕然・・・あれっ、辿り着いた事実は合っていたけれど、肝心の真犯人、逆だった?Σ(゚Д゚)

なんだかある事実に飛びついてそのまま短絡的に「じゃあこっちが犯人か!」て飛びついて納得してしまったのですが、その辿り着いた事実を元に推理のパターンを検証したら、私が思い込んだ容疑者ではない方が真犯人になる模様・・・あれ、あれれれれ?スッキリ納得して終わったつもりが、後から思いもかけないほど頭グルグル・・・。どうも私、ミステリーの才能はあまりないかもしれないです(T_T)。どんま~い、自分。

 

備忘のために事件のあらまし。被害者は、名古屋出身の東京で1人暮らしをするアラサーのOL。ある金曜の夜、早くに両親を亡くしてたった一人の家族である兄のところに電話が掛かってくるが何となく元気がなくて様子がおかしい。しかも「信じている人に裏切られた」といい、さらに「私が死んじゃえばいいんだと思う」という発言まで。その週末名古屋に帰るつもりだと言っていた妹が結局帰省せず、連絡もつかないままなので不穏に思った兄は仕事明けの月曜日に東京へ向かったところ、自宅で死亡している妹を発見します。

 

兄は、交通課の警察官。妹は自殺ではなく誰かに殺された、と直感した兄はとっさに他殺の可能性を示す物証を徹底的に回収してから警察へ通報します。警察には「自殺」で処理をさせる一方で自力で犯人をつきとめて自分の手で復習を遂げるため。ところが現場にかけつけた所轄の刑事の中に加賀恭一郎が含まれていたため、恭一郎vs兄、刑事vs警察官の対峙もまた事件の難易度と小説の面白さを底上げします(*‘ω‘ *)。

 

浮かび上がった容疑者はタイトルも示す通りに2人。妹が交際していた男性と、その男性を奪った妹の高校時代からの親友。どちらか、もしくは両方に殺されたのか。さらに私は最後まで、自分を裏切った2人をハメる為に妹が、2人のどちらか(もしくは両方)に濡れ衣を着せるためのヒントをわざと残して自殺したパターンも疑りながら読んでいたんですが・・・最終章は、どんどん話がこんがらがっていって、よくあの状況で皆(恭一郎と兄)は真相に辿りつけたなぁ、と変な関心をしてしまいました^^;。

 

次の事件『私が彼を殺した』では、同じように最後まで犯人の名前が明かされないパターンでしかも容疑者が3人に増えて難易度アップらしいです^^;。自力で正解導き出せる自信一気になくしました(苦笑)が、読むのが楽しみです。