逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。
何度も自分に言い聞かせてから車椅子を発進させる。
原宿駅で山手線を降り、大きな鳥居までたどり着いたところで、虚無を覗き込む。
まっすぐに伸びる参道、延々と続く下り坂。
行き交うのは何百もの人々。
網膜に映るものは同じであっても、
感じ取る思いは誰一人同じではない。
しかし・・・、
この景色を見て恐怖と戦ってる者が果たしているのだろうか?
坂自体は決して急ではない。
人によっては坂であることを意識しないかもしれない。
だが、車椅子で一度この坂を下りてしまったら、自力では登って来られない。
微妙だけど厄介な勾配、それを覆う玉砂利が車椅子の足を止めてしまうから、距離があまりにも長すぎるから。
明治神宮の参道は、原宿口から入ると、本殿を経て、参宮橋口へ抜けられる。
事前のGoogle Map調べではその距離1.2~1.5km。
車で周辺を走ることはあっても、どっちの口が標高的に高いかはよく分からない。
しかも森に囲まれた広大な宮内、中がどんな地形になっているかなんて、皆目見当もつかない。
ただ、今見えているのは、底の見えない下り坂。
やはり行くしかない。
そのためにここへ来たのだ。
いつだってリスクはついて来る。
それがバリアフリーマップを作る旅。
ゆっくりと車輪を前へ転がし、終わりのない坂を下ってゆく。
つづく。