グーグルマップでの事前チェックによると、駅同士の距離はわずか数百メートル、都心にほど近い住宅と商店の街。
コンパクト & オールインワン & 好アクセス、車椅子での生活には理想的なキーワードだ。
さぞ暮らしやすい場所なのだろうと目星をつけて訪れた。
が、悪夢は板橋駅から始まった。
埼京線の電車を降りると、駅のホームにエレベータが
ない。代わりにいたのはJRの制服を着た男4人。
瞬時に回れ右をして逃げようかと思ったが、
脱出口は彼らの待つ階段だけ。
あっという間に取り囲まれ、車椅子はお神輿と化し、階段へと吸い込まれてゆく。
正気を失う前、最後に目にした光景は、眩いばかりの女子高生たち。その眼差しはイノセントな好奇に満ち溢れていた。
第二の悪夢が訪れたのは、何とか正気を取り戻したわずか3秒後だった。
駅の改札の外、現在の地点及びこれからの行先を把握しようと見回すと、どちらを向いても目に入るのは坂道だけ。
― 平坦な道などどこにもない ―
そんなん佐藤浩市だか反町隆史だかの出てくる自動車CMのキャッチコピーだけの話だと思っていたが、
実物が板橋トライアングルにあったとは・・・。
最後の悪夢は第三の駅、下板橋だった。
ようやく調査を終え、電車に乗ろうとすると、
行き先側のホームへの車椅子導線がない。
改札の駅員に尋ねると、逆方向へ2駅戻って、
行き先方面への電車に乗り換えるのだと。
おいおい東上線、そんなん、水前寺清子のマーチだけの話だと思っていたぜ。
ついでにグーグルマップ、この街、住むどころか、もう来ることはないと思うぞ。