京王線の改札を出て目にした光景、かつての面影とはどうやっても重ならない。
記憶の中、あのダーティーな路地。新聞・赤ペン・ワンカップ・モツ煮、気怠く静かにくすぶる射幸心がそこかしこに・・・。
どうデフォルメしようとも賭博場の空気に満たされていた東京競馬場は、5年前の改修により大人のお洒落な遊び場に
変貌を遂げていた。
入場して迎える広い吹き抜けのロビーは高級ホテルさながら。
和・洋・中、何を食べようか決めるのも大変なレストランの数々、その中には「オークラ」の看板までもが。
お昼もこれからなので、じっくり検分。
今回はイタリアンのトラッドリアへ。
運ばれてきたピラフ、クオリティーは
代官山あたりのカフェと変わらない。
もう、自分がどこへ連れてこられたのか
分からなくなりそうだ。
しかし、ここで時間を費やしていてはいられない。
競馬観戦を兼ねたバリアフリー調査、レースの数も限られてる。
ビールを一気に飲み干し、いざパドックへ。
事前のHPチェックで想像して来たものの、やはり車椅子の背丈ではツラい。
人込みに遮られ、馬の様子をしっかり捉えることはできない。
レースも同様だ。ゴール間近の1Fスタンドは人の背中だらけだ。
ということで、観戦には車椅子席がある4Fスタンドの
ほうが断然適しているようだ。
ここなら、パドックだってターフだってバッチリ
見下ろせる。
ただ・・・、
馬の息遣いや蹄の音が聴こえない。ゴール前の腹に響く振動が伝わらない。
競馬を始めた20歳の春、「パドックでは馬の目を見よ」と教えてくれたのは、故大川慶次郎氏だったか・・・。
これまで生きてきた過程、その中で得られた「いくつかの術」(すべ)。
途中、車椅子になったことで使えなくなった「いくつかの術」。
逆に車椅子で生きるために新たに得ることになった「いくつかの術」。
ここでもまた、競馬観戦の「術」を改めなければならないようだ。
あ、そろそろメインレース。
ということで今回はこの辺で。