道志・積雪の倉見山日帰り周回(中央道西桂BS~倉見山~相定ヶ峰) | 単独行者の山行録

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歩いた山々の記憶を詳らかに。
山行中心の備忘録。

富士山の北東に位置する杓子山は、山容も良いし、登っても良い、是非再訪したいと思っていた山の一つだ。
その少し北側の倉見山と結んだ縦走を何度も考えていたのだが、交通費と所要時間何れを考慮しても日帰りだと少々不安が残る。
今回、新宿から高速バスを使うルートで非常に便利なアクセス方法を発見してしまったので、即座に高速バスの予約ボタンをポチって、衝動的に行くことにした。

1月29日
新宿バスタを発った河口湖行きの高速バスは平日にも関わらず、途中三鷹や調布で乗客を拾い、座席は半分以上が埋まる盛況ぶり。
車窓から見える奥多摩や丹沢、道志の峰々は白く雪化粧していて、私が向かう山もある程度積雪していることが予想されるが、この時の私は見通しが甘かったことなど露知らない。
中央道西桂BSから望む三ツ峠山

中央道西桂バス停で降り立ったのは、勿論私一人。
ここから倉見山登山口は徒歩10分程度で、富士急行の駅から歩くより近い。
それでいて交通費も半額程度で済むのだから、このアクセス方法を見つけた瞬間高速バスの予約をポチるのは必然だった。
登山口までは住居や工場を見ながら間近に聳える山に向けて歩いていく。
除雪はされているものの、圧雪で凍結した箇所が随所にあるので油断は出来ない。
登山口からは早速踝上程の積雪。
倉見山は○○百名山に選定されている訳でも無い地味な山なので、トレースは全く期待していなかったのだが、既に複数トレースがつけられている。
昨年3月丹沢以来のラッセルを覚悟していただけに、こりゃラッキー^^
ラッセルは冬の風物詩という見方も出来るけど、無駄に疲れ、膝を痛めるような苦行は私は大っ嫌いなのだ。
ってことで、甘んじて踏み跡を使わせて頂きます。(笑)
登山道は沢の右岸を登っていく

登山口から暫く進むと、登山道の痕跡もピンクテープの類いも無く、同じような光景が広がる。
もしトレースが無かったら読図は必須だった。
途中から樹林の中へ。
ここからは登山道が浮かび上がって見えるので、問題ない。
沢を渡り、左岸の尾根に取り付くと、ここからは尾根の斜面をジグザグに折り返しながら登っていく。
ふと、麓から町内放送が聴こえる・・・。
○○の○○さんが27日から行方不明になっています。
特徴はショートカット・・・
行方不明高齢者の行政放送だ。
繰り返し否応無く聴こえてくる不明者の情報を頭の中で整理しながら人物像を想像。
・・・だぁーっ、気になって登山に集中できねぇーw
しかも無駄に考えに耽ったせいか、息が上がってきたw
可哀相だけど俺には関係ねぇ、山に向き合わないと。
と自分に言い聞かせるも、山に入り込んでいる可能性もあるので、登山道から斜面や沢を注意深く見ながら登っている自分がいた。
職業柄ゆえかな。(笑)
稜線が近付くと、俄に急登に。
こんなの楽勝だぜ!と思いながらキックステップで登ろうとすると、これが全然登れない。
それどころか、ズルズルと身体が斜面から滑る有様。
何度試しても同様で、素手を雪に突っこみ、隠れた木の根を掴んでやっとクリアした。
やっと稜線に出た。
木々の間からは御正体山が見える。
あちらもまた、近く再訪したいと考えている山だ。
季節を変えて、春先にでも再訪しよう!
分岐を右へ。稜線上は部分的に地肌が露出しているが、まだまだ雪が深い場所が殆ど。
山頂直下はかなりの急傾斜で、とてもじゃないけど全く登れない。
稜線南側の傾斜は急で、無理に登ろうとして滑落でもしたら阿呆の極みだ。
帰って洗ったりするのが面倒だけど、そっと軽アイゼンとグローブ、オーバーグローブを装着した。(今更かよw)
特にオーバーグローブは余程の山じゃないと普段持ち歩かないのだが、今回は気紛れで持ってきていた。
これがここから先、大活躍することとなる。
装備を整えたからにはこんな斜面など私の敵ではない!
そう嘯いて斜面に足をかける。
・・・ズルズル~。
まさかのまさかである。
軽アイゼンが歯が立たない。
そう、サラッサラの雪質だったのだ。
故に踏み固めて足場を作る事も出来ない。
屈辱的だが、部分的によつん這いになって漸く登ることができた。
四苦八苦しつつ、10:49、倉見山(1,256m)の頂に立つ。
しかしここはあくまで中間点に過ぎない。
この先、難路の破線ルートを辿って杓子山に向かわなければならないのだ。
樹間からは重厚な山容の杓子山が間近に見え、これから辿る稜線の全容も確認できる。
その険しさに気持ちが怯んだ。
一般コースのここまでのルートさえ容易ではなかったのだ。
この先、痩せ尾根と岩稜が続くとされるバリエーションコースを行くのは自殺行為だと。
だけど、折角ここまで来たのに倉見山だけでは時間も余るし費用も割に合わない。(貧乏性故の発想w)
別ルートで帰るか、行けるところまで行ってみるかの悩ましい選択。
とりあえず、堂尾山方面への分岐がある相定ヶ峰まで足を進めることにする。
倉見山頂からコルへ下り、再び急傾斜の登り返しへ。
ここもやはりと言うか、軽アイゼンでは力不足。
幸い掴める木立があったので、それを頼りに無事通過。
登り返した先の展望台があるピークは手前の倉見山より優れた眺望。
道標と背後に富士山。
ベンチもあるので、積雪の無い小春日和のような時季に富士山を眺めながら弁当を食べたら最高だろうなぁー。
展望台のピークを後に、更に雪を掻き分けて稜線を進むこと数分、11:05相定ヶ峰に到達した。