横浜市中心部の下末吉面の台地には急傾斜地が多くあります(「急傾斜地崩壊危険箇所」が公表されています)。
 下末吉面は約10万年前に形成された台地(海成層)なので、台地を侵食する樹枝状の谷が多くあるようです。
 なお「丘陵地」とは、「台地」の持つ「平坦面」がほとんどないように侵食されているものを言います。
 

 なお急傾斜地崩壊危険箇所については、私のHPを参照下さい。(一部転載します)
 http://www4.hp-ez.com/hp/pitagorasu/page101
『…なお急傾斜地崩壊危険箇所というのもありますが、これは土砂災害危険箇所の一つです。

⇒土砂災害危険箇所とは(千葉県HPより)
「傾斜度30度以上、高さ5m以上の急傾斜地で人家や公共施設に被害を及ぼす恐れのある急傾斜地および近接地を急傾斜地崩壊危険箇所といいます。 」
「渓流の勾配が3度以上あり、土石流が発生した場合に被害が予想される危険区域に、人家や公共施設がある渓流を土石流危険渓流といいます。」
「空中写真の判読や災害記録の調査、現地調査によって、地すべりの発生する恐れがあると判断された区域のうち、河川・道路・公共施設・人家等に被害を与える恐れのある範囲を地すべり危険箇所といいます。(引用終わり)」

⇒土砂災害危険箇所と土砂災害防止法の関係(千葉県HPより)
「公表した土砂災害危険箇所は、⇒「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」(以下、「土砂災害防止法」という)の対象となる箇所を縮尺2,500分の1~10,000分の1等の地形図を基に机上で抽出した調査結果です。今後は、土砂災害防止法に関わる土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域の指定対象区域となるものです。」
「なお、土砂災害対策を目的とする法律には、「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」、「砂防法」、「地すべり等防止法」、及び「土砂災害防止法」があります。このうち、前者の3法は、災害の原因となる土砂の発生源としての渓流や斜面に着目し、当該区域の行為制限を行い、必要な施設整備を行うためのハード対策が中心の法律となっています。
これに対し,後者の「土砂災害防止法」は、土砂災害のおそれのある区域を指定し、危険の周知、警戒避難体制の整備、住宅等の新規立地の抑制、既存住宅の移転促進等ソフト対策が中心の法律となっています。(引用終わり)」

 急傾斜地崩壊危険箇所」というのは、つまり土砂災害防止法のソフト対策の立法趣旨から、まず基礎調査をして、その危険可能性のある箇所を特定し、その箇所を周知させることを目的としているようです。

 ⇒急傾斜地崩壊箇所と急傾斜地危険区域(静岡市HPより)
「「急傾斜地崩壊危険区域」とは急傾斜地法第3条に基づき指定され、「指定」された場合は所有者及び管理者、占有者に対し急傾斜地法第7条により行為の制限が及ぶことになります。「急傾斜地崩壊危険箇所」とは急傾斜地法による制約はありません。しかし、土地所有者及び地域住民に対し広報活動等により急傾斜地に対する土砂災害に関する防災意識を高めていただいております。 急傾斜地法の考え方は、急傾斜地が各個人の所有地であるため所有者等による土地の保全義務及び住民の自営の努力義務を期待しております。急傾斜地法第9条では、急傾斜地の崩壊対策について定めてあり、急傾斜地の所有者等は崩壊防止のため維持管理を行い、被害を受けるおそれのある住民は防災に関する必要な措置を講ずるよう定めております。(引用終わり)」

 そして、急傾斜地法第9条の崩壊対策の趣旨から、急傾斜地崩壊危険箇所の土地の所有者等は、その土地の保全義務・自営の努力義務を期待されているようです。(以上私のHPより)』

参考:横浜市の土砂災害ハザードマップ
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenchiku/kenbou/bousai/gake/gake/hmap/

 以前は急傾斜地崩壊危険箇所となっていたものが、最近土砂災害警戒区域に移行しているところも多いです。
 元々急傾斜地崩壊危険箇所は土砂災害警戒区域の対象となるところ机上計算したものであり、現地調査などを踏まえて、その要件が該当すれば正式に土砂災害警戒区域に指定されることになっています。
 東京都でも最近、急傾斜地崩壊危険箇所が徐々に土砂災害警戒区域に移行しています。

参考:土砂災害警戒区域・特別警戒区域の告示状況(東京都)
http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/jigyo/river/dosha_saigai/map/dosha_r.html

 この急傾斜地に、最近「地下室型のマンション」が建築されており、大きな問題になっているようです。

参考:地下室マンション
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E5%AE%A4%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3 
「1994年の建築基準法改正により、住宅の地階のうち、延べ面積の1/3以下の面積を容積率に含めないという規制緩和がなされた。この「住宅」に専用住宅と共同住宅の別はなく、法改正により、従来では建設コストがかさみ敬遠されていた傾斜地に容積に算入されない地下[1]部分を多く含んだマンションを建てて分譲すれば価格競争力のある物件となりうることに開発業者が着眼した。
 これによって傾斜地の周辺に住む住民から見れば従前の法の下では建築できない、例えば地上4階と地下3階を足した7階建てにもなるようなボリュームの建物が相次いで誕生することになった。
 また、地上か地下かの区分は敷地の平均地盤面[2]によって決定されるため、盛土をして「地下」部分の範囲を広げる(平均地盤面を高くする)など、より有利な建築となる操作が加わることもある。」
「これまでは傾斜地のため建築しにくく、山林として放置されていた土地が、近隣住民にとって緑地として認識され、その場所が開発されるため、地域住民からすれば住環境の甚大な悪化となる。また、災害防止等の観点から問題視されることもあり、地域住民と開発業者とのトラブルに発展しているケースもある。近年では、各地方公共団体が条例で斜面地建築・開発を制限する動きも出てきている。(引用終わり)」

参考:横浜市 建築局 地下室マンション問題研究会提言の骨子
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenchiku/shidou/kenki/kenki/jourei/chika/teigen.html

参考:横浜市における斜面地マンションの実態に関する研究 - J-Stage
https://www.jstage.jst.go.jp/article/uhs1993/2004/47/2004_77/_pdf

参考:地下室マンションは どこへ行ったか
http://www.retio.or.jp/attach/archive/67-058.pdf


(横浜市における土砂災害リスクについての記事)
参考『NHKそなえる防災 第7回  都会でも起こる土砂災害
 執筆者 池谷 浩政策研究大学院大学 特任教授』
 http://www.nhk.or.jp/sonae/column/20131007.htm
「横浜市と多様な土砂災害
 今年は関東大震災から90年に当たることから、改めてその被害の内容に注目が集まっています。1923(大正12)年9月1日に発生した大地震では、家屋の倒壊や火災などにより東京府、神奈川県、千葉県を中心に関東・甲信地方で死者約10万5,000人、全壊家屋約11万棟という悲惨な被害が生じました。
 この地震により横浜でも崩壊や崖崩れによる土砂災害が27箇所で発生し、79戸以上の家屋の倒壊と70名を超す死者が出ています。特に横浜市磯子町字新地(旧町名)では、高さ120mの崖が幅約200mにわたって崩れ落ち、偕楽園の建物7棟が完全に土砂に埋没し、4棟が半壊埋没、21名が圧死するという悲劇が起こったのです(中央防災会議、1923関東大震災報告書、第1編)。」
 
「横浜市内では火山災害による被害もありました。横浜市で火山災害というと意外と思う方が多いかも知れませんが、1707(宝永4)年の富士山噴火に伴い横浜市周辺では約10cmにも及ぶ火山灰が降り注ぎました。そして、その後の降雨で火山灰が流れ出し、現在の保土ヶ谷区などを流れる帷子川(かたびらがわ)や中区、南区などを流れる大岡川で土砂災害が発生したという記録が残っています(中央防災会議、1707富士山宝永噴火報告書)。今でいう土石流災害と考えてよいでしょう(図2参照)。
 火山災害は火山の周辺だけで起こるのではなく、噴火の規模によっては広域にわたって被害が発生します。横浜市では2009(平成21)年2月にも浅間山の噴火に伴う火山灰がうっすらと観測されました。この時の火山噴火は小規模でしたが、風向きによってはこのような火山灰の降下が生じるのです。火山から遠く離れた都市でも火山災害に備えた事前の対策が大切であることを示唆しています。このような状況のもと、横浜市は富士山噴火時の降灰に備え、市の防災計画に火山災害対策を盛り込むことを決め、市民からの意見を聞いた後、運用を始めることとしています。」

「神奈川県の調査による横浜市内の土砂災害危険箇所は、土石流危険渓流3渓流、崖崩れ危険箇所1,445箇所の計1,448箇所となっています。特に急傾斜地を多く抱える横浜市では豪雨による崖崩れが発生し、被害が生じています。
 そこで、豪雨による土砂災害を調べてみると、2003(平成15)年~2012(平成24)年までの10年間に崖崩れ災害が220件発生し、その被害は家屋の半壊または一部破損が34戸(神奈川県資料)という状況になっています。このように横浜市内で豪雨により年平均22件もの土砂災害が発生していることはあまり知られていません。(転載終わり)」

 どうも地震による崖崩れ、火山灰による土石流などの危険性もあるようです。

お願い
http://www4.hp-ez.com/hp/pitagorasu/page43