笄川は、銀座線の外苑前駅辺りと青山一丁目駅南側の公園辺りを湧水源として、青山霊園の両側を流れてその南端で合流し、日比谷線広駅駅辺りから渋谷区との境界を流れ、古川(天現寺橋より上流の呼び名は渋谷川)に注いでいました。その形はみごとに鹿の角のようです。

 参考:東京の水 2005 Revisited 2015 Remaster Edition 【4‐1】笄川水系の概要
 http://tokyowater2005remaster.blogspot.jp/2016/01/41.html
「[笄川本流]
 地下鉄銀座線外苑前駅付近を水源とし青山墓地西縁を南下する流れ
(※蛇が池からの流れを本流とする見方もありますが、ここでは全長の長いこちらを本流とします)
[長者丸支流]
 南青山3-6近辺を水源とし、南青山4丁目の谷を東進する流れ
[根津邸支流]
 根津美術館の池近辺を水源とする流れ
[蛇が池支流]
 南青山1丁目にあった蛇が池を水源とし青山墓地東縁を南下する流れ
[龍土町支流]
 六本木7-6近辺を水源とし星条旗通りを西進する流れ
[高樹町支流]
 南青山7-12にあった丹南藩高樹邸の池を水源とする流れ
[宮代町支流]
 聖心女子大学の北側境界の谷を東進する流れ
[有栖川宮支流]
 有栖川宮記念公園の池に発する流れ
 (※川があったかどうかは不明ですが、便宜上支流と名づけておきます)(引用終わり)」

 参考:東京都 建物おける液状化対策ポータルサイト
 http://tokyo-toshiseibi-ekijoka.jp/chireki/chireki_search.html
 土地条件図にチェックしてみますと、旧川筋はピンク色の「盛土・埋立地」(沖積層)、湧水源は薄緑色になっている場合が多いです。
 
1.銀座線外苑前付近の水源
 上記「東京都 建物おける液状化対策ポータルサイト」を見ますと、長青山梅窓院の西側の外苑西通りに抜ける道沿い(標高差約5m)と青山小学校の南側の公園辺り(標高差約4m)が湧水源のようです。その後は外苑西通り沿いに流れて、東側にカーブする辺りでは青山霊園との標高差は約10mになり、その段差をよく確認できます。また青山霊園は馬の背のようになっており、中央の尾根筋の道から両側の段差を確認できます。
 参考:【4-2】笄川上流部
 http://tokyowater2005remaster.blogspot.jp/2016/01/42.html

2.長者丸支流
 上記「東京都 建物おける液状化対策ポータルサイト」を見ますと、表参道駅の少し北東側、青山通りの東側の辺りが湧水源のようです。駐車場になっている奥のほうがやや低い感じがします。その後は南東側にカーブしながら流れますが、途中から両側の高台と差が約10mもあるので、谷地状になっているのが確認できます。青山霊園を横断する高架の手前辺りで、1の外苑西通りの流れと合流します。
 ある方は1と2の間の半島状の台地には、古墳があったのではないかと推測しています。
 参考:青山墓地に隣接する南青山古墳(仮)
 http://chinchiko.blog.so-net.ne.jp/2017-12-15
 確かに古墳のような形状をしています。
 
 参考:【4-3】笄川長者丸支流
 http://tokyowater2005remaster.blogspot.jp/2016/02/43.html

3.根津邸支流
 上記「東京都 建物おける液状化対策ポータルサイト」を見ますと、表参道駅の南側辺りから根津美術館に至るところが湧水源のようです。根津美術館内には庭園内に池も残っており、往時の自然な地形が分かります。この庭園と台地の標高差は約10mあります。その後この谷地は東に向かい外苑西通り(笄川本流)に至ります。

参考:【4-4】笄川根津邸支流
http://tokyowater2005remaster.blogspot.jp/2016/02/4-4.html


4.蛇が池支流
 青山一丁目駅の南側の「都立青山公園 北地区」の辺りが湧水源のようです。昔ここには「蛇が池」という池があったそうです。その後、南西にほぼ青山霊園の東側沿いに流れ、霊園の南端で上記1・2・3の流れに合流していたようです。乃木坂駅の南西側に、駅出口と青山霊園を結ぶ高架がありますが、ここでの台地と下の道路との標高差は約8mあります。

参考:【4-5】蛇が池支流、龍土町支流、笄川中流部
http://tokyowater2005remaster.blogspot.com/2016/02/4-5.html


5.龍土町支流
 「東京都 建物おける液状化対策ポータルサイト」を見ますと、六本木のミッドタウンの南西側にピンク色の川跡があります。その後西南西方向に、米軍の星条旗新聞社沿いの道なりに流れていたようです。
この5の支流と4の支流の間に半島状の台地(標高約30m、両側の川筋は約20m)があり、道路はそこを貫通しています(トンネルがあります)。この高台には米軍基地関連施設があるようです。

参考:赤坂プレスセンター
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E5%9D%82%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC
「赤坂プレスセンター(あかさかプレスセンター、英語: Akasaka Press Center)とは、東京都港区六本木7丁目にある在日米軍基地である[1]。面積は3万1670平米。東京都区部にある唯一のアメリカ軍基地であり、六本木の一等地でもあるため、東京都は全面返還を求めている[1]。付属のヘリポートによるヘリコプターの騒音問題や不安も根強い。麻布米軍ヘリ基地と呼ばれることもある。」
「…敷地内には、ヘリポート・ガレージ・将校宿泊施設・米軍準機関紙「星条旗新聞」(Stars and Stripes) 、米陸軍国際技術センター・太平洋(International Technology Center-Pacific) 、アメリカ空軍のアジア宇宙産業開発事務所 (AOARD) 、アメリカ海軍のグローバルアジア研究所 (ONRG-Asia) などが設けられている。(引用終わり)」

6.高樹町支流
 「東京都 建物おける液状化対策ポータルサイト」を見ますと、六本木通りと骨董通りが交わる地点の南側辺りが湧水源のようです(昔は池があったようです)。東南東に流れほぼ外苑西通りに沿い流れる笄側川に合流していました。

参考:【4-6】笄川下流部と高樹町支流・宮代町支流
http://tokyowater2005remaster.blogspot.com/2016/02/4-6.html

7.宮代町支流
ここの湧水源は聖心女子大学の中にあるようなのでよく分かりません。

8.有栖川宮支流
 有栖川宮記念公園の北西縁側に川跡があります。

参考:【4-7】有栖川宮邸の湧水池
http://tokyowater2005remaster.blogspot.com/2016/02/4-7.html


その後、笄川は天現寺橋で渋谷川(古川)に合流します。


 港区浸水ハザードマップ
https://www.city.minato.tokyo.jp/dobokukeikaku/bosai-anzen/bosai/shinsui/hazard-map/documents/omote_1.pdf
 蛇が池支流の湧水源辺り、青山霊園の南端の合流地点などが青、紺色が目立ちます。
 
 参考:東京都 建物おける液状化対策ポータルサイト
 http://tokyo-toshiseibi-ekijoka.jp/chireki/chireki_search.html
 土地条件図にチェックしてみますと、旧川筋はピンク色の「盛土・埋立地」(沖積層)、湧水源は薄緑色になっている場合が多いです。なお黄色に△は砂州などです。一般的に液状化の可能性の大きいところとみられています。
 参考:港区液状化マップ日本語版(地図面)(PDF:1,199KB)
  https://www.city.minato.tokyo.jp/bousai/hazard_map/documents/ekijyoukahazard2905.pdf

 参考:港区 土砂災害に備えて
 https://www.city.minato.tokyo.jp/bousai/bosai-anzen/bosai/saigai/dosha.html
 港区には土砂災害(特別)警戒区域が多いです。
 また急傾斜地崩壊危険個所も多いです。こちらは現地調査など精査し後に土砂災害(特別)警戒区域に移行する場合もあります。
  参考:砂防三法、急傾斜地崩壊危険区域、土砂災害警戒区域
  https://www4.hp-ez.com/hp/pitagorasu/page101


 参考:港区揺れやすさマップ日本語版(地図面)(PDF:1,289KB) 
 https://www.city.minato.tokyo.jp/bousai/hazard_map/documents/yureyasusahazard2905.pdf
 

 参考:東京都の被害想定結果(想定地震別最大被害)(港区データ)(PDF:313KB)
 https://www.city.minato.tokyo.jp/chiikikeikakutan/documents/higaisoutei_minato.pdf

 参考:東京都液状化ポータルサイト
http://tokyo-toshiseibi-ekijoka.jp/other_data.html
港区
http://tokyo-toshiseibi-ekijoka.jp/pdf/103_minato-ku.pdf
 こちらのボーリングデータを見て、土質・N値など確認しましょう。

 参考:換算N値と地盤 スウェーデン式サウンディング試験換算N値と地盤(ジオテック�様)
https://www.jiban.co.jp/service/kouji/kouji02.htm
砂質土の場合はN値5以下が軟弱、粘土質の場合N値3以下が軟弱とのことです。

 参考:ボーリング柱状図とは?
 http://www.shimane.geonavi.net/shimane/boring.htm
 
参考:9. 地盤液状化 液状化危険度 
 http://dil.bosai.go.jp/workshop/03kouza_yosoku/s09ekijyoka/liquefaction.htm
「液状化は,締まりの緩い砂質層の存在と地下水による飽和,という2つの条件の組み合わせがある場所で生じます.砂丘以外のところでは,地層はごく表層を除き地下水で飽和しているとしてよいので,結局,砂質層が分布するか否かの把握が危険度判定の基礎になります.ボーリングデータにおける地質の記載では,シルト質砂・礫まじり砂・貝がらまじり砂などいろいろな表現がなされていますが,砂の文字が入っていれば液状化の可能性があると判断してよいでしょう.液状化が最も起こりやすいのは細粒・中粒の砂で,その粒径が揃っているほど液状化の可能性が大です.締まりの程度はN値によって判定します.砂層の深さにも関係しますが,N値がおよそ20以下であると液状化発生の可能性があり,N値が10以下であると液状化の危険性は大きくなります.深くなると液状化の影響は地表にまで達しなくなるので,問題になるのは深さ15~20m以内の砂層です(図9.2 液状化発生条件).液状化しない地層(泥層など)が上に載っていると(厚さおよそ3m以上),噴水・噴砂が抑えられるので,地表面の変形は生じません.(引用終わり)」
 液状化を考慮すると、土質が砂交じりである場合、N値が20以下ですと可能性があり、N値が10以下ですと危険性が大きくなるようです。

参考:http://www.gsi.go.jp/
 国土地理院地図:色別標高図にチェックして、該当場所で右クリックしますと、その地点での標高がでます。
 台地と川跡の低地の標高差を確認してみましょう。