プラスチック ストーリー  ~ゆるり恋愛物語~

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「もうこのまま片思いのままでいい!」

と願っちゃうくらい大人しい女の子の恋のお話です。

想い合うのではなく、ただ想う。

その気持ちを大事にしたお話にしていきたいです。

基本ゆったりまったり書いています。


このところ、個人的事情(多忙!)のため更新がすっかり遅れてます。

申し訳ないです!

どうか気長に読んでいただけるととても嬉しいです。



反省、及び、お詫び そして言い訳

いくら何でも遅れすぎですね・・・

そういえば!と久々に開いてみたら1年以上経ってました!

我ながらびっくりしました。今、猛烈に反省してます。

こんな拙い小説(といっていいのかもわからない代物)を読んでくださってた方

お許しいただけるのなら、またどうぞよろしくお願いします!!

え~白状しますと、去年の秋からは就職活動というものに追われてましたが

無事、進路は決定いたしました。

そして次は卒論・・・ってことで、また停滞しそうだなぁ、とは思ってますが

学生のうちに完結させるべく、頑張ります!

そんなわけで、またつらつら再開させていただきます。

長々と失礼いたしました。





↓↓目次はこちら

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目次

プラスチック ストーリー 目次 


   その1  ~ことの始まり~


     


   その2 ~何かの幕開け~


           


   その3 ~揺らぎ~


             


   その4 ~終焉~


         


   その5 ~曇り空~


 


   その6 ~告白~


 


    その7 ~距離感~


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「おはよう」




いつもの柔らかい声に、顔を上げる。




「おはよう」




電車を降りた時には肌寒いと感じた風が、今は心地いい。

温かい、というには少し刺激が強すぎるような疲労感。

じっとりと汗ばむ背中。

あいかわらずの坂道を、彼はいたって爽やかに駆け上がる。




だいぶ髪が、伸びた。

ほんの少し前まではぴんと上を向いていた毛先が、へなりと下を向いている。

それでもまだ、ふわふわと宙に浮く程度には短くて。

彼が一歩踏み出す度に、その髪が上下に跳ねる。



「寝癖かなんか、ついてる?」


私の視線が上ばかりにいくのに気付いたのか、彼は自分の頭をがしがしこすった。


「ううん。だいぶ伸びたなぁと思って」


「ああ。でも元の長さくらいまで戻った頃には、また坊主にするかも」


「なんで?」


「うち、弱小チームだから・・・」



最後の言葉は消え入るようだった。

私の一歩前を歩く彼は、私の後ろに何かを発見したようで。

つられて振り返った。



「おはよう」



何とも言えない無邪気な笑顔で、ぽんと肩を叩かれた。




鈴木君だ。

登校中に会ったのは初めてだった。

びっくりして、私は、おはようの一言さえまともに返せず、藤山君の方に視線を向けた。

すると何を思ったか、藤山君は


「俺、先行くわ」


と、軽やかに坂の頂上へと消えて行った。




「朝会うなんて初めてだよね」


彼のことは気にも留めずに、さらさらと言葉を紡ぐ鈴木君に、

私はただ曖昧に頷いて返すだけだった。



3日と経たずして、肌寒い風が一気に私達を襲った。

我先にと、冬服に姿を変えていく。

誰も、彼もが。




文化祭。体育祭。


そう言えばそんな催しがあったな、と思い出したのは

本当につい最近のことだった。



「舞」



振り返ると、彩が苦笑を浮かべて立っていた。


「何してるの?」


「うん、何か私、いるべきじゃないかなって思って」


「だったら私も」



ほら、と差し出されたのは、缶コーヒー。

もっと可愛らしいもの渡せないのー、と悪態をつきながら、笑って受け取った。



うちの学校は、屋上があるのに出られない。

屋上に続く扉は鍵がしっかりと掛けられていて

ヘアピンでがちゃがちゃしたくらいでは、びくともしない。


だから、屋上に続く扉の前に、彩と2人うずくまる。

薄暗い、埃の溜まった、この一隅に。


今の私ほど、ここが似合う人間はいないだろうな、なんて自嘲気味に。



「そんなに落ち込むことないじゃん」



沈黙に耐えかねたのか、彩がおそるおそる口を開いた。


「落ち込む? 私が?」


「うん。落ち込んでるじゃん。舞」


「別に落ち込んでなんかいないよ。

文化祭だの体育祭だの、クラス行事に馴染めないのは昔からだもん」



騒ぐのが嫌いだとか

馬鹿馬鹿しくてやっていられないとか

そういう風には全然思わないのだけれど。


みんなで頑張ろう、と盛り上がる人達がいる中で

そんなの面倒くさい、やりたくないと思ってる人達もいる。


その光景を、妙に冷めた目で見てしまうのだ。

まるで他人事のように。

だから、そういう行事ごとには馴染めない。




「そうじゃなくて」



彩の声のトーンが少しだけ下がった。

顔を向けると、真っ直ぐに私を見据えていた。



「藤山君のこと」



いいの?




そんなストレートに聞かれても。


どうして良いかわからない。




黙ったままでいる私に、彩は大袈裟なくらい、大きな溜め息をついた。



何も、変わらない。


藤山君とは毎朝、ちょっとした会話を交わす。

鈴木君は時たま、何か口実を持ってやって来る。


本当に、何もかもが変わっていない。

私の気持ちは、想いは違うんだよ、と、声高に叫ぼうと思っても

場所がない。

決定的なことは何も起きていない。

誰も何もしていない。



あの藤山君の言葉が、夢だったかのように。



夢だったんだろうか・・・・・・

つい、そんなことまで思ってしまう。






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