トリオの受信機、9R-59Dは高周波1段・中間周波2段増幅(高1中2)で、IFは中波ラジオと同じ455kHzのシングルスーパーです。一応は上限30MHzまで4バンドですが、この構成ではSSB通信機としては7メガ帯までしか実用性はありません。
理由として、周波数が高くなるほど安定度とイメージ比が悪くなり、ダイアル目盛が詰まってきて同調操作も周波数読み取りも難しくなるというのが大きなところです。同一バンド内における感度差は重要な事の割にその調整の難をあまり解説されませんが、キットであろうと自作する上では妥協も必要とされる最後の関門です。結局これらを総合すると、7メガ帯と同じバンド・ポジションに属する14メガ帯でも使い物にはなりません。7メガ帯でさえも回路と動作を知らずに扱えるものではなく、まず正確な周波数を知ることさえ初心者には困難だと思います。
トリオもハイバンドが無理なのは承知なので、9R-59Dの前身である9R-59の時代に外付けでブリセレクター兼クリスタルコンバーター(3.5メガ帯に出力)のSM-5を発売しており、これは9R-59D の時代になってもパネルを換えてSM-5Dとして引き継がれました。それに関する9R-59Dの取説上の説明は次の通りです。
(9R-59Dは)とくにコンバータを使用しないでも十分にアマチュア局用受信機として動作しますが、さらに安定な通信を望む場合にはコンバータを使用します
本当に「十分に」ですかねぇ。AMの時代で空もガラガラだったら、無理して多少は使ったかも知れませんが。とにかくSSB時代が到来してもメーカーとしては自己否定できない苦しさがここには見て取れるではありませんか。